表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼氷のゼニス  作者: 鶴琉世乃
第1部:第1章
22/199

第22話「ファーチ制度2」

「一つみんなに聞きたいことがある」


 夜。俺の部屋にいるのはいつものメンバーだ。

 八神やがみ魅烙みらく関帝かんてい零璃れいり、そして霧氷むひょう澪雫みお


「なんで、毎日俺の部屋に集合なんだ?」

「あら、ネクサス君は分からないと思いますが、この部屋はほかの部屋よりも大きいのですよ」


 え、そうなの?

 俺はそんなこと、全く知らなかったが。


「正しくは、ふつうの部屋よりも2倍大きいのです」

「ベッドもなぜかキングサイズなんだけど、何で?」


 知らねえよ。

 十中八九、父親の特注だろう。


「というわけで、この部屋に集まるのが一番最適だと考えています」

「お、おう。ところで、魅烙と澪雫は同盟アライアンス、どうだったんだ?」


 その言葉に、二人が一瞬つまづいた。

 なんだろう、その同盟アライアンスの秘匿主義があるのなら仕方ないんだけど。


「魅烙は、ゼニスを保有する同盟アライアンスの意味と重要さを教えてもらったにゃ。ほかに1年は2人、新しく加入してたみたいにゃ」


 今日はいなかったみたいだけど……と魅烙。

 加入条件は、()()世代の子供のみ。


 でも、名字だけで見たら姉さんは魅烙たちとは別なのに、いいんだろうか。

 今度姉さんに確認してみよう。


 ……本当に、他の人に見つからないように姉さんと接触するのって難しいな。逆に堂々と言った方がいいのかもしれない。


「……私は、なんだか微妙ですね。部活に近い印象を受けました」


 澪雫は苦い顔。思っていたものとは違ったらしく、そんなに楽しくはなさそうだ。

 そもそも、この学園に母さんの門下生は何人いるんだろう?

 聞いたら、3桁行くか行かないかくらいということ。


 そりゃあ、人が多くてそんなに楽しいものじゃないかもしれないな。

 たしか、【同盟アライアンス制度】って最初は仲良しグループで一緒にパーティを組んで戦うっていうようなもので、あるようでないような微妙な立場のものだった。


 そんな微妙な制度、【同盟アライアンス制度】をがらっと変えたのが……これもたしか父親だったか。

 結果、戦争が起こっても何とかなったという。


「本当に、私があそこにいる意味はあるのでしょうか……」


 加入したことに、かなり後悔しているようだ。

 ……うーむ。

 最終的には、俺も自分の同盟アライアンスを作るべきかな?


 最低5人以上必要だけど。


「こっちは、今見ているとおり【小組ファーチ制度】っていうのがあるって分かったよー」


 零璃が状況を説明してくれる。

 確かに、これなら初戦だから様子見にもなるかもしれない、と俺は思っているんだが、零璃はどうだろう?


「ボクも、これならいいかなー。ネクサス君、組んでくれる?」

「おう」


 そして勿論、澪雫と魅烙が反応する。


「見せてにゃー」

「はい」


 ふむふむ、と『よく分かる小組ファーチ制度』の中身をみる魅烙。

 中身は本当に簡単に書いており、使用する場合のメリットとデメリットを明確に示してある。

 何か隠し要素があるのかもしれない、けども。


「ふむにゅ、この制度いいなぁ」

「使いやすいだろ? 全体的に見ると」


 手間はかかるが、本当にそれだけだ。

 あとは状況に応じて、その制度を使いこなすだけ。


「まあ、第1回だし本当に様子見の範疇だ。……俺と零璃の能力が、どこまで通用するのか見てみたいし」


 全部ネクサス君一人でいいんじゃないかな、と少し自信なさげに笑った零璃。

 正直そうですよね、と零璃に賛同する澪雫と魅烙。


 俺は三人の意見に対して首を横に振る。


「俺は防御に乏しいからな。その点零璃には色々とやってもらう可能性がある」

「はぁーい。……でも体力がなぁ」

「キツくなったら発動時は支えてやる」



------------------------------------



氷羅ひょうら、今日も寮には帰らないのか?」

「……赫良かくらくん」


 天王子学園から少しはなれた、人工島『刃夙はつと島』のとある建物。

 そこに、私……理創源りそうげん氷羅の率いる【楽園エーリュシオン】の、実質的本部がある。


 『刃夙』とは、この日本に存在する『天王子学園』を含めた能力育成機関の頭文字をとったもの。


「寮に帰らなくてもすむように、ここに人数分のベッドを用意してるじゃない。……寮に戻ったって、結局襲撃されて眠れないし」

「そうか。……ここだったら俺が守ってやれるからな。安心しろ」


 赫良くんは、炎焔のように真っ赤な髪の毛を掻き上げながら私の腰に手を回して抱きしめた。


 注意。この人女の子です。

 どう見ても男にしか見えないけど、女の子です。


「本当……。赫良くんって、弟さんと同じ」

「性別逆転姉弟て、よく言われるけど。逆に便利じゃないか? 俺の場合は」


 もう、彼女が「君」で呼べっていうからどうしても最近は赫良くん呼びだし、どんどん本当に女の子に見えなくなってくるね。


「好きな人はいないの?」

「氷羅かなー」


 ……私はさすがに勘違いしないからね?

 たしかにちょっとこの子百合っ気あるけど、私は大丈夫。

 私は正常。……弟が大好きなだけだもの。


 え、弟に愛情を注ぎすぎるのも異常?


「でも、氷羅も弟大好きだろ?」

「私は事情があるし……」


 私とネクサスには、直接的な血の繋がりはない。

 だけど、遺伝子てきに考えると私は家族全員と、ほかの家族よりも強くつながっている。


 そんな、関係だから。

 家族が、より大切に感じられるんだ。


「まあ、氷羅は複雑だからな」

「うん。……でも、悲観しちゃ駄目だね」


 私は天王子学園のゼニス。

 この学園での頂点の存在。


 弱音なんて、普通じゃ吐けないけど。







 ここなら、心を許せる。

キマシ


今日は昨日の反動で書く気力がわかず、少々短くなってしまいました。

申し訳ないです、次回はいつも通りの長さに戻ると思います!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ