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蒼氷のゼニス  作者: 天御夜 釉
第1部:第1章
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第21話「ファーチ制度1」

「ふぅ、終わったねー」


 説明会が終わり、今俺と零璃れいりは校舎内を歩いていた。

 【同盟アライアンス】の勧誘待ち、というよりも様子見だな。

 どうやら、【同盟】には縄張り的なものが用意されているらしく、そこに近づけば勿論。


「ん、加入希望者かな?」


 絡まれる。

 ちなみに、見ているのは俺ではなく男か女かわからないような容姿をしている零璃である。


 男はみんな、美しいものに惹かれるんだよ知ってた!

 俺はおつきか、ちくしょう!


「い、いえ」

「そんなことを言わずに、さ。ね、おい……」


 俺は掴まれかけた零璃の手を引き、男子生徒の手から遠ざからせる。

 そして憤慨したような顔の男には眼をくれず、零璃を見つめた。


「おま、このまま掴まれたら手を切り落とすつもりだっただろ」

「う、バレたぁ?」


 そんなことしたら、まず間違いなく乱闘だ。

 体力のない零璃は血祭りにあげられる。


 ここまで普通に推測できるため、俺は相手のヘイトをこちらに向けておきながら彼女……じゃなくて彼の刀を霧散させるように指示する。


「ん、君たち新入生だよね?」


 ちょっと序列みせてもらってもいいかな? と男子生徒。

 ちなみに、彼が名乗ったのは700。


 確かに、700といえば6万人いるなかでかなり上の方だろうが、俺と零璃の基準で言えば、低いのかな。


「えっと、関帝かんてい零璃れいり。序列コード499:【黒鉄クロガネ】、です」

「えっ」


 零璃の時点でこんな声上げているんじゃあ、駄目だな。

 俺は彼の手を引いて、そこから離れようとする。


「待ってくれ! 君の方はどうなんだい!?」


 俺もか。

 うぇぇ、そんなに教えたくないな。


 あー、でも、離してくれなさそう。

 零璃は無理矢理つかんだら切り落とすだろうけど、俺はそんなことしません!


「ネクサス・アルカディア。序列コード:150」

「アルカディア……? まさか、【伝説】の!」


 男子生徒が驚いているあいだに、俺は零璃の手を引いて退散することにした。

 150程度で驚かれたら駄目だ。というよりも俺を【伝説】の息子だとわかってるってことは是が非でも獲得しようとするだろう。


 上にでかい顔をさせちゃ駄目だ。そういう団体は結局上には上がれない。


縄張りテリトリーの一覧とかあったらいいんだけどなぁ」

「はいよ」

「おうありがとっていつの間に!?」


 あまりにも自然な流れだったため、素で返事返事したがいつの間に洸劔こうきがいたんだ!?

 隣で零璃に至っては「はぅ」と気絶しかけたし。


「で、これはなんだ?」

「さっきネクサスが求めてたものー」


 大切に扱ってねー、と相も変わらず軽い口調で彼は言うと、ひらひらと手を振ってどこかにいってしまった。

 神出鬼没という言葉が一番あっているような気がする。


「なんだったんだろ」

「これを渡しにきただけ、か」


 本当にアライアンスの縄張りがすべて記されている。

 最初のページはランキングになっており、勢力の強さと構成人数、平均序列順位でそれぞれ順位付けがされている。


「平均でみたら、ぶっちぎりなんだな【楽園エーリュシオン】」

「まあ、1位と7位と……あと数人は1桁ナンバーって聞いたことがあるよ」


 うわぁ。

 そりゃあ、ぶっちぎりだな。


 姉さん、そうやって周りを固めているのかな。

 で、勢力的にも1位なのか……。


「零璃、やっぱり【楽園エーリュシオン】に入った方がいいんじゃないか」

「ううん。2つだけ見て判断するのもどうかと思うし、ソロでやっていくっていう選択肢も用意されてるよ」


 ソロは、たぶん今の体力じゃあきついと思う。

 俺はそう思ったが、あえて言わないことにした。


「ていうか、『ソロは心細いけど、アライアンスにはちょっと……』っていう人の為にも、なにかあると思うんだけど……」

「救済措置か。……王牙さんに直接訊いてみるか」

「……うんっ」






 王牙さんは、職員室の前で見つかった。

 どうやら、女子生徒と話をしているが、どうもその女子生徒たちが顔を赤く染めている気しかしない。

 うむ、そろそろ40近いはずなんだけどな、王牙さんって。


 それでも、身体は老いを感じさせないし、すべてが爽やかなのだ。

 おかしい。この人エルフか何かなのか。


 しかし、よく考えてみれば王牙さんに限らず能力者はみんな若々しいのだ。魅烙みらくの母親である華琉はるさんとか、どう見ても40間近に感じられない。

 考えて大目に見ても20後半。これが能力者のアンチエイジングか。


 っと、王牙さんが俺たちに気づいた。


「おっと、ごめんよ。用が出来たみたいだ」

「はい、ではまた~」


 と、俺たちの目の前まできた王牙さん。


「大人気ですね」

「……いや、今の生徒は授業の話をしていただけだ」


 実技の、と王牙さん。

 ああ、これはあれだ。


「いや、俺のことはどうでもいいんだ。……どうかしたのか?」

「あの、実は……」


 と、零璃が説明する。

 対して王牙さんは、「あるよ」と即答した。


 お、やっぱりあるのか。


「でも、デメリットもいくつかあるぞ」

「まあ、なければみんなアライアンスなんて作らないだろうし」


 王牙さんの話によると、【同盟アライアンス制度】とは別に【小組ファーチ制度】というのがあるらしい。

 【同盟アライアンス】は最低5人からなる団体だが、これは2人でもいいとのこと。


 しかしあくまでも一時的なものであり、それは一回公式試合が終わると解消する。

 引き続きの場合、登録し直さなければならない。


 その他面倒がことがいくつか合ったが、ここでは割愛されて書類を渡された。

 『よく分かる小組ファーチ制度』ぉ?


「今週末だったかな、……土曜日か、第1回は。制度を利用するなら金曜までに冊子の裏にある書類を書いて提出してくれ」

「はぁーい」




 さて、読んで使うかどうか決めるとするか。


今日はあと【三作品】更新しなければ!

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