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蒼氷のゼニス  作者: 天御夜 釉
第2部:第5章
186/199

第186話 「神力の制限」

 リースさんが私と一体化してから、私の剣の腕というものは、飛躍的に上がりました。

 視覚が、聴覚が、勘が。感覚直感全てが時済まされて、目を閉じていても相手の行動が手に取るようにわかります。


 私は敵なしになりました。いつ能力を使っていいのか、いつ剣を振ればいいのか。すぐに分かるのです。


 でも、ネクサスくんはいい顔をしませんでした。

 敵なしとは言いましたが、それはソキウス以外の話で。もちろん、ネクサスくんには勝てません。


 ですが、ネクサスくんの心配事はそこではないようです。


「澪雫、なんか変わったな」


 ネクサスくんは私の心理を理解しているようでした。ただ、こちらとしてはそんなに嬉しいことではないのが残念です。


 いきなり、不自然に強くなってしまったら何かを疑うのは当たり前のことなのに。

 私はその、「当たり前」すらわからなくなるほど自分を見失っていたのです。


「でも、強くなったんです。これでネクサスくんの隣を歩けます」

「澪雫が培った力じゃないから、多分母さんは喜ばないと思うけれどもな」


 思えば、強くなってから驕ってしまって。

 私は、毎日の鍛錬すら蔑ろにしてしまっていました。師範と同じ感覚を手にしてしまったのです。鍛錬は追いつくための鍛錬です。


 しかも、ネクサスくんは見抜いていました。


「ネロ、何かした?」

『私は何も。リースの選択かもしれない』


 それを聞いたネクサスくんは、納得したようにうなずきます。

 私に向き直ったかとおもうと、「霧氷澪雫」へではなく、「リース」に話しかけます。


 まだ母親と同等の感覚を持つには早過ぎること、そのためにもある程度制限を設けてほしいこと。


 リースさんはそれを聞いて承諾しました。

 そして、先代と同じことをいうのですね、とネクサスくんに話しかけます。


 こういうやり取りを、師範とネクストさんもなさっていたらしいのですね。

 やっぱり、ネクサスくんは自分の父親を尊敬しているということもあって、やることも似ているのでしょうか。


「澪雫が強くなることは俺も嬉しいけれど、やっぱり頑張っている澪雫が綺麗だと思うよ」


 ネクサスくんは、自分の好意を隠しません。

 そして、してほしいことは、私のように隠したりいたしません。


 そんな彼に、ソキウスのみんなはどう思っているのでしょうか。きっと許容できるから、ついていっているんですよね。


「一回、本気で俺と戦ってみる?」

「……いいんです?」


 ネクサスくんは、今の私を試してみたいのでしょう。

 私は確かに、ネクサスくんに追いつきたくて、隣を歩きたくて努力しました。

 でも、どうしても実際戦ってみなければわからないことだってあります。


「もちろん。自分の培った力だけでで、いい?」


 つまり、覚醒の力と【神力ゼニス】は使わないということでいいのでしょうか。

 そうなると、ネクサスくんの特異分がなくなってしまうのですが。


 まあ、いいということにしましょう。

 私は何も制限しなくていいのですから。



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