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蒼氷のゼニス  作者: 天御夜 釉
第2部:第3章
148/199

第148話 「学園公式試合 参」

「はわぁ、アルカディア先輩、このままじゃぁ勝ち目なくないですか?」

「いや、正直この学園の私たち以外全員が束になっても、勝てると思うけど」


 観客席で、七星ななせさんとそんな話をする。

 私は、不安がっている可愛い後輩にそう答えて、去年のことを思い出していた。


 うーん、揃いもそろってみんなガタイいいねぇ。

 ネクサスくんは、なんだかんだいってひょろひょろしてる。身体は余り鍛えてないように、やっぱり端から見るとそう見える。

 でも、私はネクサス君をたくさんみてきた。あの細い身体からどうやってあんな速度が出るのか、不思議がってしまうほどまず速い。

 そして、今回強くなった。


 だから、大丈夫。私たちのリーダーは、私たちの彼氏はそんなに弱くないのだ。


「でも……魅烙せんぱぁい」

「ネクサスくんは大丈夫だから。まあ見てて」


 恐らく、今回はネクサス君にとって、周りの印象を大きく変える1戦になる。

 神鳴かみなり陸駆りくを破った。理創源りそうげん氷羅8ひょうら)に後一歩となった。

 でも、本当の強さは? きっと、氷羅さんを大きく越えている。

 それが分かってしまうほど、ネクサス君は強くなっている。


「同盟序列30位、同盟アライアンス『ソキウス』。代表リーダーネクサス・アルカディア、学園序列2位、序列コード『蒼氷そうひょう』」


 ネクサス君の宣言が聞こえる。こうやって聞くと、やっぱり異常。

 2年生なのにね。なんで、ここまで成長できるのか、こちらとしては充分疑問に思っている訳なのだけれども。


 でも、まだまだ。

 ネクサス君の父親は、入学時点で学園最強の地位を気づいていたって聞いた。

 才能に恵まれ「過ぎた」人物だと、私の両親から聞いている。

 だから、ネクサス君にはネクストさんを越えてもらわないと。


「アルカディア先輩、ちょっとどころか結構変わった?」

「あら清崙君、もしかして鈍感?」


 朱鷺朔ときのり清崙せいろんくんは、やっと今気づいたよう。

 一回ネクサス君に勝負を挑んでいるというのにね。

 やっぱり、この人は眼が足りないのかな。相手の強さを、よく判断できていないみたい。


「いや、なんか。ええと」

「属性宝?」

「そう、それを持ってないのに、それと同じオーラを感じます」


 本質は少し違うけれど。そういうのは見分けられるんだ。

 さっきの言葉、「鈍感」は撤回。


 属性宝は、たしかに属性皇の世界の産物、神話の領域だから。

 だから、その属性皇から力を得たネクサスくんが、同じようなオーラを持つのは当然とも言える。

 怖いのが、多分今日後で持ってくるはずだから、そのときの相乗効果でこの闘技場が壊れないか心配って言うところかな。


「あ、壊れた」


 ことり、と機能を停止した【アビリティー・ギア】が地面に落ちるのをスローネちゃんが気づく。

 新入生たちも、この装置についての説明は受けているはずだから、壊れるというのがどういうことなのか分かっているはず。

 【ギア】がはずれると同時に、会場すべてを蒼いオーラが駆け抜けたのを、私は見逃さなかった。


 同時に、私達に底冷えするような感覚が走り抜ける。

 恐ろしいね、やっぱり。ネクサス君は味方がいい。

 今は一番の味方だから安心できるけど、これを相手にしたら気を失うかもしれないね。


「それでは双方、試合開始!」


 パパの声が響く。会場内をわたりきる前に、ネクサス君が動いた。

 走れ、かき乱せ。


 突風の如く、周りを蹴散らせ。

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