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蒼氷のゼニス  作者: 天御夜 釉
第2部:第3章
146/199

第146話 「学園公式試合 弌」

 と、言うわけで学園公式試合の日である。

 一応、昨日決定したと同時に洸劔の加入は届け出たため、洸劔は【ソキウス】のメンバー扱いと言うことになっている。

 が、今日はそんなの関係ないかな。


「新入生は、試合とかまだみたことないのかな?」

「ないです。強いて言えば、清崙せいろん君とアルカディア先輩の決闘が初めてです」

「なら、今回はゆっくりみた方がいいかもね」


 特に銃を使うスローネではなく、既に戦闘慣れしている清崙でもなく、七星ななせは一番よく見ておくべきだと思われる。

 今回の戦いは参考にならないかもしれないけど。


 ……今回、俺は一年前の敵と戦う予定だ。

 俺が殺意で覚醒したあの日、能力の才能を開眼させた日に戦った同盟アライアンスとの再戦を、俺はずっと待ちわびてきたのだ。

 理由は簡単、1年越しにあの日のお返しをするためである。


 この手に入れた力、【ゼニス】を使う相手としてはいささか不十分ではあるが。使うとしたら、世界を救うためとか、この前みたいに澪雫を助けるためとか……もっとさ。

 もっと色々有意義に使いたいものだが、あいにく世界のために使うほど博愛主義ではないし、やっぱり仲間たちを守るためかな。


 まあ、今回くらいは私情を挟んでもいいだろう。

 目的として、「ソキウスの力を見せつける」「学園の頂上への足がかりにする」「復讐」と言ったところか。まあどれもそれほど美しくなく、醜い理由ではあるのだが。


「本当に一人でいけるんですか?」

「属性皇νεροネロのお話によると、父親の8割は出力でだせるらしいし、大丈夫でしょ」

「1割でも充分だと思うのですが。……ちなみに、ネクストさんの本気の8割なんでしょうか」

「覚醒したらそっちになるんじゃない?」


 まだよく分かってないから、今日は殺さない程度に手加減しながらやってみるとするかぁ。

 まだ人は殺したことがないんだけれども。ただ、本当に怖いのが。

 ……この能力、【ゼニス】は多分能力制御装置『アビリティ・ギア』の干渉外だと思われるってところだ。

 だから、こうやって考えるともしかしたらそのまま人体が、凍死とか。


 今回は出来るだけアレを使わないでおこう。そう、ギアの解除である。

 ただ、ちょっと気合いを入れたら壊れそう。


「ネクサス君のそれ、ずっと赤く点滅してません?」

「んー、知らない振りをしよう。壊れないって大口叩いたんだ、壊れても問題ないさ」


 安全装置と言えば、一応戦闘フィールドの方にもあるんだからな。

 天王子学園。父親の世代はこんなにぬるくないっていってたけど、それでも死んだ人はいなかったはずだから、考えれば大丈夫なのかもしれない。

 前の世代、安全装置はあってないようなものだと聞いたからね。


 ちなみに、本気で人を殺そうとすれば俺の場合、切れ味を鋭くすればいいんだから簡単だ。

 出力はあがったけど、俺のスペックすべてはもっと上がったのかな。

 たとえば能力の使用回数貯蓄とか、あとは他に何があるかな。

 速力も、8割継承したら足だけでマッハ近くいけるんだが。


「さてさて、もう少しで指名くるぞ」


 楽しみにしていると、王牙さんがマイクをとって『第1試合、ソキウス 対 フォートレス』と宣言した。

 実に、……実に楽しみだ。

 俺は立ち上がると、魅烙が「うわ」と引くくらい気味の悪い笑顔を浮かべながらフィールドに向かう。


 周りの人の、此方を見る目が明らかに違う。

 前までは見せ物を見るような目であった。コロシアムの中で、奴隷同士を戦わせる民衆のような目をこちらに向けていた。

 しかし、今回は違う。

 今回からは違う。……俺は、もう弱者ではない。


 単体でも、怒りの力に飲まれずとも、相手全員を一方的に叩き潰すだけの力を持っている。

 俺はもう、誰にも負けたりしたくないのだ。


「えーっと。ネクサス、君だけかい?」

「一人で充分ですから」


 俺は目の前に広がるただっ広い空間と、敵の数50人ほどを見つめる。

 相手はこちらも総力戦でくると踏んでいたのか、呆気にとられたような顔をしていた。

 1年でメンツも多くなったな。相手にとって、不足はなし。


 新入生の加入は……おお、20人近く集まったのか。

 これは中型の同盟アライアンスですね。ただ、烏合の衆50人とかだと、がっかりするんだけどな。


「1年前は随分と可愛がってもらったが、今回はこちらの番だ」


 そう言った俺の顔は、狂気ではなく、凶器をはらんでいた。

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