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蒼氷のゼニス  作者: 天御夜 釉
第2部:第3章
144/199

第144話 「学園運命の投票」

「こんな場所があったのですね」


 入学前にここの場所、喫茶店「Mag mellメグメル」の場所を知らされているのは父親の関係者だけだから、勿論新入生の七星と清崙はしらない。

 スローネは知っているようだったが、まあいい。


 とにかく、現「ソキウス」のメンバーを全員ここに集めてきた。

 何事かと入ってきた影劉えいりゅうさん、洸劔の姿を認め次第激昇する。


「どの面下げて此処に来た」


 俺たちが止める隙もなく、影劉さんは能力を解放。

 バチバチと音と火花を立てながら、紫色の鎖が洸劔を拘束した。


 成る程ね。初めてまともに影劉さんの能力をみることが出来たが、紫電っていう奴かな。

 ……って、暢気にそんなことを考えている場合じゃない!


「ストップ」


 ギリギリと拘束の鎖を絞り出した影劉さんを制止し、皆に提案する。

 提案の内容は、多数決だ。条件として、1人の影響力によって票が1になるとは限らないと言うこと。

 勿論、1人が持っている票数は伏せておき、開票と同時に発表する。


 とりあえず俺・刑道が2。

 影劉さんが3でほかの人たちが1ということにする。

 澪雫と魅烙を1にしたのは、澪雫が余りにも敵視しすぎていることと、魅烙が「どうでもいい」という顔をしているからだ。


 新入生には何がなんだかわからないと思うから、とりあえず彼自身に今までの経緯いきさつと、2・3年生からの意見を全て聞いてもらうことにした。

 偏見ばかりの意見だが、この際は仕方がない。


 俺は正直、入ってほしい。洸劔がソキウスに入ってくれるというのなら、【ー雷帝ー】時代に集めていたこの学園の情報が何割か入ると言うことなのだろうし。俺だけで決断しても良いんだが、メンバーが強く拒絶している以上、やっぱり多数決に持ち込むしかなかった。

 洸劔とは気が合うからこそ親友なんであって、こういう軽い口調の多い人だけど、中身はまともだと想っているから。

 少なくとも、人の女に手出しはしないだろう。……しないと思いたい。


 しないよな?

 


「決断できないリーダーってなんか」


 スローネはきっと俺ではなく、洸劔を非難しているのだろうけれど、自分も一緒に非難されている気持ちになった。

 澪雫は相変わらず向けられたくない厳しい顔をしているし、魅烙は先ほどから欠伸を繰り返している。

 神御裂かんみざき姉妹は無言で直立不動、零璃れいりはどこか不満げで、刑道とルナナは真面目に「利用価値」について議論しているようだった。


 新入生、何も考えていない様子。


 そんななか、洸劔は影劉さんに拘束されたまま、その成り行きを見つめていた。







「はい、そろそろいいかな」


 刑道とルナナの議論が終了した頃を見計らって、制限時間終了とする。

 意見がある人からは、ちゃんと意見をもらった上で最終的に俺が入れる。

 とはいっても、聞いたのは澪雫の何というか、凄い言葉と。

 ルナナ・刑道の議論結果だけだったが。


「さて、開票するぞー」


 運命の瞬間である。

 まあ、とりあえずは皆に俺からの偏見で、影響力を発表させてもらう。


「……ええっと」

「ネクサスの中と、ソキウスの影響力は違うでしょ」


 影響力に間違いがあるのではないかと、澪雫が文句を言い掛けたが魅烙がそれを阻止する。

 魅烙、深読みしてくれたのはありがたいんだが、本当は君たちの態度がそうさせたんだよ……。


 まあ、わざわざそんなことを言うほど俺も愚かではないが。

 そして、全員の意見を当てはめていく。

 簡単だ。結果なんて、分かり切ったものになると想っていた。


 でも。……やっぱり、決まりきっていること何て、人間ではわからないよな。


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