平行宇宙編AMラジオ「Amikana & Mika」:第17回「生きることと感じること」
<次のお便りです。ラジオネーム『午前零時の観測者』さんから。いつもありがとうございます。『アミカナさん、ミカさん、こんばんは』>
<「こんばんは!」>
<『お二人が、もし一日だけ身体を交換できるとしたら、何をしてみたいですか?』とのことですが……>
「私はね、まず、お腹一杯食べたい! で、ぐっすり眠りたい!」
<ああ、それは人間の根源的欲求ですからねぇ。最後の一つについてはどうですか?>
「最後?」
<三大欲求の最後です>
「あ……ああ、それはまあ……取り敢えずいいかな」
<今でも何とかできるもんね>
「ラジオで言うな!……後はねぇ……そうだな、思い切り走って、息切らして、汗だくになりたいかな?」
<え? なんで?>
「呼吸とか、汗とか、あと体温とか、そういうのを実感したい。何て言うか、『生きてる』って感じがすると思うから」
<なるほどね……でも、それって代償行為じゃない?>
「代償? 何の?」
<三つ目の欲求の>
「ミカ! もうホントやめて! 結構真面目な話してるから! 『生きているとはどういうことか』について、アンドロイドの立場から語ってるから!」
<ごめんごめん>
「そういうミカは、アンドロイドになったら何したい?」
<う~ん、そうだなぁ……具体的にこれっていうのはないけど……>
「けど?」
<ただ、アンドロイドになったことを実感してみたいというか。世界がどう見えるかを知りたいというか。ああ、本当に見るだけじゃなく、聞いたり触れたり、要は、全感覚で、世界を感じてみたいかな>
「深いね!」
<そう? アミカナは、人間とアンドロイド、両方を経験してるけど、私はアンドロイドになった経験がないから、あなたの世界を体感してみたい>
「そう……」
<例えば、私があなたの唇を感じる時、同じように、あなたも私の唇を感じるのかどうか?>
「……ん?」
<人間はさあ、みんな無意識に、自分が知覚しているものを、他人も同じように知覚していると思っている。でも、本当にそうなのか。そこに興味があるのよね……>
「うん。凄く高尚な話になってるけど、サラっと爆弾ぶっこんだね?」
<ちょっと! 茶化すのやめて>
「いやいや! 何で唇?!」
<だって、例えば、私があなたの胸を触ったとすると、私が感じるのはあなたの胸だけど、あなたが感じるのは私の手でしょう? そもそも対称じゃないじゃん>
「いや、そうだけど……しかも、何で胸?」
<本来対称であるべきものを、対称に感じられるかどうかが重要なの>
「いや、分かるけど……だから、何で唇?」
<……>
「ん?」
<……何か、既に奪われてるみたいだから、もうどうでもいいかなって……>
「いや! 違うでしょ! あれは、泥酔ミカの執事ごっこじゃん! 『執事になって奪って』って自分で言ったんでしょ! 言うこと聞く私も私だけど……」
<ちょっとやめて! そんなの、ラジオで言うことじゃないから!>
「……知るか……。じゃあ、結局何? 自分の唇がどれだけ柔らかいか、アンドロイドになって確認してみたいわけね!」
<……まあ、そうかな?>
「そこは否定しろ!!」
<以上! 『AMラジオ>
「アミカナ・アンド」
<ミカ』でした>
<「バイバ~イ!」>
「……何かさぁ、いっつも下ネタじゃない? いいのか……」




