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エピローグ 再生の芽
数年後。 カリマンタン島の元・廃棄物処理場。 かつて「死の土地」と呼ばれた場所には、まだ背の低い、しかし力強い緑の苗木が一面に植えられていた。 土壌改良は難航したが、少しずつ、黒い土は本来の赤土の色を取り戻しつつある。
汗にまみれ、泥だらけになった真紀が、一本の苗木を植えていた。 隣には、松葉杖をついたアグスがいる。
「見て、アグス。新しい芽が出てる」
「ああ。……強いな、植物は」
空を見上げると、一羽の極彩色の鳥が飛んでいくのが見えた。 それは、投資パンフレットの中のCGではない。 息づく、本物の命だ。
真紀は額の汗を拭い、スコップを握り直した。 ここには、一攫千金の夢も、派手なスポットライトもない。 あるのは、土と、水と、太陽と。 そして、嘘のない「緑」だけだった。
(完)
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件等とは一切関係ありません。




