塩の価格高騰
寒いですね。お待たせしました、更新です。
旅行先でも、お客様が滞在中でも、子供たちは勉強からは逃れられない。
ということで、今日はみんなでお勉強会です 。
客室のひとつをみんなで勉強できるように大きめの丸テーブルを設置したりと改装したぜ。
ノイルくんも参加しているため、勉強が嫌だとは言えないバーバラ嬢がちょっと面白い。笑顔が引きつってますよ?
今日の学習内容は算術だ。この世界で貴族の子供基準だと、二桁三桁の加算・減算を間違えない程度で十分優秀とされる。
だが、俺の教育方針ではその程度で満足してもらっては困るぜ!
ルシア様に【異世界通販】のスキルで計算ドリルを取り寄せてもらい、彼らにはすでに計算問題を嫌というほど解いてもらっている。
今では十進法や筆算のやり方を説明したこともあってか、加算減算だけであれば桁数はいくら増えても問題ない。
というわけで、ステップアップのお時間です!
さっそく乗算・除算を教えていくことにした。まずは九九を覚えるところからだ。
こればっかりは暗記であるため、じっくりと時間をかけていく。互いに問題を出したりして、最後に俺が暗記してるかをテストして確認する。
モチベーションの維持のために、正解者には料理長が作ったお菓子を用意してみた。
もちろん、材料はルシア様から提供してもらっている。レシピは俺が覚えているものだ。
俺の曖昧な記憶から料理長も試行錯誤しつつ、ほかの料理人からお菓子作りに適性のある人材発掘もできて、子供たちは美味しい思いができる。
みんなが得をしているから、まさしくWin-Winの関係と言っていいだろう。
それになんだかんだバーバラ嬢は、ノイルくんと問題を出し合ってイチャイチャできるため、この勉強会に不満はないようだ。
フィーネ嬢は普段家では受けられないような高水準の学習だからか、かなり真剣に取り組んでいる。
そういう真面目な子にはオジさんお菓子を追加してあげちゃうよ! 疲れた頭にはやっぱり糖分だよね!
ルシア様は電卓を使えば楽ができるのにという気持ちはあるだろうに、それを是としない。
実際、十歳から通う予定の貴族学園の入学試験などでは使えないだろうしな。
「そろそろ皆様お疲れでしょう。いったん休憩にしましょうか。お茶の用意ができていますよー」
「うぅ〜、やっと休憩だわ。ねえ、ルシア。前から思ってたけどダームって、普段からこんなに厳しいの?」
「ほかの科目では役立たずだから、算術はお任せを!って、張り切っていたのは見かけたわね?」
「で、でも、ダームさんのおかげで、スラスラと計算できるようになりました。教え方も丁寧で、かなり上手だと思います……」
フィーネ嬢からの言葉に天狗になってしまいそうだぜ! まあ、シーズーらしいペチャンコな鼻のままですけど。
女性陣が休憩するために移動していく。そんな中、ノイルくんに引き留められる。
どうやら密談がしたいようだ。
「どうしました、ノイル様?」
「実はダームさんに報告。いえ、相談しておきたいことがありまして……」
「ふむ、お伺いしましょう」
ノイルくんから聞いた話は、貴族であるこの家には被害はまだないが、放置すれば徐々に国全体に広がる可能性のある問題だった。
「塩の価格高騰、ですか……」
「はい。とある商会が塩を独占しようとする動きがあるんです。いつの間にか、この領内にある塩田がその商会に買い取られていて、これをどうにかする手段がないかと父上がこぼしていました」
どうやらお嬢様方が楽しくお茶会をしている間に、領主のおじさんたちは領地運営の話をしていたそうだ。
領主となる立場のノイルくんもその席に参加しており、この問題を共有しているみたい。
とはいえ、ちゃんとした契約のもと塩田が買収されているのであれば、こちらも無理な差し押さえなどはできない。
さすがにそれはいくら貴族でも横暴が過ぎる。
かと言って、放置もできないのが厄介だ。
うーん、搦手が使えないのかー。正攻法で攻めるしかないのでは?と思ってしまう。
「こちらが売り出す塩を安価に、それも大量生産できれば向こうも値下げるしかないのでは?」
「安価にはできるとは思います。ただ、生産にかかる人件費などといったコストと、大量生産という部分に問題が発生します」
「そっかー……」
犬は考える。真面目に考える。お嬢様たち楽しそうだなー。
む? ホットスライム、そこをどけ。ルシア様の膝の上は許さんぞ(嫉妬)
っと、思考が逸れた。だが、アイデアも浮かんだ。
これなら安価で大量生産が可能で、コストはむしろ下がるんじゃないかってものを。
多少、稼働に手間取るかもしれないが、動き出せば相手を余裕で上回る生産速度になると思う。
俺はできる犬だ。あんなスライムに居場所を取られてなるものか。
たまにはカッコいいところを見せて、ルシア様に褒めてもらいながらいっぱいモフられよう!
さっそく思いついた案をノイルくんに共有する。
驚きの表情を見せる彼が、「たしかに、それが実現するのであれば……」と考え始めた。
「まずは父上に相談ですね。その上で判断を委ねましょう」
「わかりました。では、その間はお嬢様方には遊んでいてもらいましょうか」
「えっ、ズルい……」
あ、あの、教えるのはただの数字当てゲームですからね? 遊びでも心理戦といった勝負の駆け引きを学んでもらうつもりなんです。
ノイルくんは賢いので、多少ハンデをあげないとね。バーバラ嬢なんてすぐに拗ねちゃうと思いますよ? ナッハッハ!
1週間使ってこの文字数か!と思うかもしれませんが、まだちょっと本調子じゃないのでお許しを。
少しずつギアを上げていきたいと思います……




