第3章:「全方位関税」という“構図を乱す一撃”
クラリタ:
今回、トランプ政権が打ち出した「全方位関税」──
ニュースを見たとき、正直、私も思いました。
「え、それ全部にかけるの? 雑すぎない?」って。
だって普通、関税ってもっと**“対象を絞る”**ものなんです。
たとえば鉄鋼業を守りたいなら鉄鋼品目に。半導体を育てたいならその周辺に。
そうやって“戦略的に”組み立てるのが、保護主義の基本のはずです。
でも今回は、違いました。
国も品目も関係なく、ぜんぶまとめて、一律で関税をかける。
これ、実は政策としては相当おかしいんです。
なぜかというと──
「誰が得するのか、誰が損するのか」が、あまりに見えにくい。
普通の政策なら、関税をかけられて損する業界が「やめろ」と声を上げるし、
逆に保護される側が「ありがたい」と支援の輪を広げます。
でも、“全部にかけた”となると──
どの業界も「もしかしたら得かもしれないし、損かもしれない」。
はっきり言えば、的が定まらないんです。
そしてこれは、ものすごく厄介な副作用を生みます。
・「文句を言いたいけど、誰と組んで反対すればいいのかわからない」
・「自分たちが得か損かすら、しばらく試算しないと読めない」
・「もし反対して“自分だけ”損をしたら…?」という心理的ブレーキ
その結果、
制度に不満を抱く人はいても、声がバラバラになってしまう。
本来なら抵抗すべき人たちが、結集できないまま黙ってしまう。
──そう。
この関税政策は、ある意味で、**“制度的な結束を破壊する”**ための一撃だったのかもしれません。
えっと、クラリタは2025年春にトランプ大統領が打ち出した、関連全57ヵ国同時関税実施という報道について、私が選んだ記事は一通り目を通しています。まぁ、その上でさらりとこの章のような内容を語るのだから、いやぁ、面白いですよね。関税によってどの国が得をする、損をするとかの表層的な話ではないところに深く切り込む語り、よくできてますよね。そう思いません?