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9話 初めてモンスターを倒す

 冒険者ギルドへと続くとされるダンジョン内のドアを開くと、そこにはネットの情報通り、酒場のような空間が広がっていた。

 ハンターゲームやその他RPGなどでもお馴染みの、あの空間である。


「うおお! まるでゲームの中に入ったみたい!」

「そうだね! リアルで20歳以上だと、お酒も飲めるみたいだよ」

「私未成年だからな~」

「ふふ、そうだったね」

「あ! 違った違った! 私体質的にお酒飲めないからさ!」


 癖でこのようなことをどうしても言ってしまう。

 数日前まで中学生をやっていたのだ。無理もないのではないだろうか。


「で、どこでダンスマを貰えるの?」


 今回の目的は、ダンジョンスマートフォンを貰うことだ。


「あそこの受付で、探索者として登録をすると貰えるよ」

「なるほど! ありがとう! って、ダンジョンに入ったら探索者じゃないの?」

「一応探索者だけど、冒険者ギルドで登録をすると正式に探索者になるよ。基本的にはここで登録している人のことを探索者って呼ぶことが多いね」


 ノナはエムと一緒に、受付へと向かった。

 受付へ行くと、ゲームの受付のキャラのような恰好をした女性が対応してくれた。


「こちらにお名前をお願いいたします」


 用紙を渡された。

 ダンジョンネームと書かれている。


「ダンジョンネーム?」


 普通の本名や年齢とは何が違うのだろうか?

 首を傾げていると、エムが言う。


「ダンジョン内での名前だね。自由に決めてもいいけど、歩いているだけで公開される訳じゃないから、私は本名のエムで登録してるよ」

「ありがとう! そういうことか!」


 ノナは、下の名前そのままのノナで登録をした。

 それを受付の人に渡すと、その人は後ろの扉で奥へ行き、シルバーカラーのダンスマを持って来た。


 それを受け取ると、お礼を言った後、ノナとエムは酒場の木の椅子に座った。


「そういえば、ダンジョン内の物って食べてもいいの?」


 酒を飲んでいる人や、フライドチキンなどを食べている人もいるが、外から持ち込めないということはダンジョンで生成されたものだ。

 体内に入れても大丈夫なのだろうか?


「大丈夫だよ。食べた物とか飲んだものは、完全に分解されて体のエネルギーになるから、毒のあるアイテムとかじゃなければ基本的には何食べても大丈夫だよ」

「分解?」

「あ、ノナはまだダンジョンでモンスターを倒したことがなかったんだね」


 そういえば、探索者になったはいいものの、まだまともに探索をしていない。

 現実世界の問題が色々とあったので、それどころではなかったのだ。


「ダンジョンでモンスターを倒すと、ゲームみたいに粒子になるんだよ。食べ物や飲み物もそんな感じで、物理的には体内で完全に消えるの」

「なるほど! いくら食べても太らないってことか!」

「体のエネルギーになるから、食べ過ぎると太るよ」

「なんてこった!」


 そこは食べ放題だったら良かったのだが。


「というか、さっきの話で思ったけど、私まだまともにダンジョンを探索したことがなかったんだよね」

「今から行く? ここのダンジョンは元々強いモンスターは出にくいし、初心者向けに調整されているからおススメだよ!」

「調整?」

「ここのダンジョンは例え強いモンスターが出ても、冒険者ギルドのスタッフが倒しているから初心者でも安全に探索できるんだよ」

「それはいいね!」


 2人は冒険者ギルドを出ると、ダンジョンでスライムと遭遇する。

 水色のスライムだが、目はない。


「斬ればいいの?」

「うん! 剣の場合はそうなるね」


 ノナの武器はショートソードだ。

 おそらく、初期装備という奴である。


「私がお手本みせるね!」


 エムの手に、魔法少女が使うような、ピンク色の杖が握られた。

 非常に可愛らしい感じだが、ノナであればもっと派手にシルバー塗装をする所だ。


「【ファイアボール】!」


 エムが杖をスライムに向けて降ると、そこから小さな火球がスライムに飛んで行き、スライムに命中すると、青白い粒子になってスライムは消えた。


「おお! 強い! それだけ強いなら、この前の敵もなんとかなったんじゃないの?」

「いや、それはないよ! 確かに、私は初心者ではないけど、まだまだフェンリルとは戦えないよ!」

「そうなの?」


 ノナがプレイしたことのあるゲームで登場したフェンリルは、あまり強くなかったのだが、ダンジョンのフェンリルは強いようだ。


「今度はノナがやってみて!」

「うん!」


 もう一匹のスラムが現れると、ノナはショートソードを両手に構える。


「ファイアボール!」

「スラァァァッ!」

「へぶっ!」


 スライムの体当たりで、ノナは吹き飛ぶ。


「ちょっとちょっとー! 火出ないじゃん!」

「ご、ごめん! そういうつもりじゃなくて、剣で倒してって言う意味で言ったんだけど……」

「あ、そうなの? こっちこそ、勘違いしてごめん!」


 ノナは立ち上がる。


「【ファイアボール】のアーツを取得していれば、さっきのでも良かったんだけどね」

「アーツかぁ! そういえば、この前も【流星群】のアーツを手に入れたとかなんとか脳内に響いたし、特殊な攻撃をする時はアーツが必要なのかぁ……」


 おまけにこの前の流星群は、要約すると強さが今のノナと釣り合わないみたいで、もう使えない。


「ここのスライムなら、ショートソードでも簡単に倒せるから頑張って!」

「分かった! はぁぁぁぁぁ! バンか……」


 叫びかけた所で、スライムの体当たりをくらい、転んでしまう。


「やるなぁ!」


 ノナは、笑いながら立ち上がる。


「スキルとかアーツを発動する時は、敵の動きをよく見て発動するといいよ!」

「え?」


 スキルもアーツも使用せず、斬りかかろうとしただけなのだが。


「なんか発動しようとしてたんじゃないの?」

「いや? ただちょっとかっこつけようかと」

「あー……うん。そういうのも個人の好みだから勿論いいけど、最初の頃はあんまりおススメしないかな?」


 仕方がないので、ショートソードで何回か普通にスライムを斬り付けた。

 スライムは粒子になって消えた。


「これでレベル上がったりするの?」

「どうだろう? 内部的にレベルはあるかもしれないけど、数値に出てこないからね。ただ、皆最初はこんな感じだよ」

「そうかぁ」


 早くかっこいい装備や武器が欲しい。


「装備とか新しいの欲しいんだけど、そういうのってどうやって手に入れるの?」

「それだったら、あ! ほら!」


 スライムが消えた所に、水色のキューブが落ちていた。

祝! モンスター討伐!

良かったら、↓の星で応援してくださると嬉しいです!

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