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79話 vs異世界の勇者

 アリアが【帰還】スキルを発動させると、3人をまばゆい光が包み込む。


「うわっ!」


 気が付くと、RPGでよく見る噴水広場に立っていた。

 街並みもRPGでよく見る、中世ヨーロッパのような世界だ。

 ゲームの世界に入ってしまったのだろうか?


 ちなみにこの世界での3人の姿は、地球のダンジョン内の姿と全く同じだ。


「ここが異世界か……ネット小説によく出てくる世界と同じだね」

「良かったです! 無事に戻って来られました! って、私が住んでいたのは正確にはここ……王都じゃないんですけどね」


 ミソギとアリアの会話によると、どうやらここは王都のようだ。

 王都ということは、王様が住んでいる街なのだろう。

 この辺りは、歴史について詳しくないノナでも、ゲームの知識でなんとなく知っている。


「アリアちゃんはここに住んでないの?」

「そうですね。別な世界から【帰還】スキルを使ったせいか、少しズレちゃったみたいですね」

「なるほど」


 それでも、危険なダンジョンに放り出されるよりは、良いだろう。



 少し歩くと、アリアが住んでいた街へ辿り着く。

 王都から1時間もかからない内に、歩いて行くことができた。


 王都から近いのに、なぜかそこまで人がいない。

 日本で例えるのであれば、都心に近いからと言って、その街に都心と同じくらい人が住んでいるかと言われれば、それは違うのと同じかもしれない。


「アリア……?」


 本当の自宅へと帰って来たアリアは、中から出て来た女性、男性と見つめ合う。


「お母さん……お父さん……ただいま!」

「本当にアリアなんだな!?」


 長い年月、行方ゆくえをくらましていたのだ。

 生きていたことが信じられなくても、仕方がないだろう。


 アリアは両親と抱き合い、涙を流す。


「私達は邪魔だから行こうか」


 ミソギにそう言われたので、一旦その場を離れた。



「それじゃあ、私達はこれで!」

「はい! ありがとうございました!」


 別れは、ダンジョンへ入る前に済ませた。

 湿っぽくなるのも嫌だったので、ノナとミソギは彼女と軽い挨拶をかわし、その街をあとにした。


「魔王が倒された後で、良かったね」


 と、ミソギが言う。

 自称神は異世界の魔王が討伐されたと言っていたが、それは本当だったようだ。


 なぜ本当だと言い切れるのかと言うと、王都やアリアの故郷でそう言った話が耳に入ったからだ。

 魔王やその仲間達によってもたらされた被害もあるらしく、復興中の場所もあるらしい。


「そうだね。ダンジョン内とは訳が違うからねぇ」


 ゲーム感覚で挑めるダンジョンと違い、本当の意味で命の取り合いをすることになっていただろう。

 それを考えると、魔王が倒された後の世界というのは有難ありがたかった。



 王都へ戻って来たノナとミソギは、宮殿の前まで来ていた。

 それはなぜか? 異世界の術師の居場所を聞く為だ。


 異世界の術師は化身を地球のダンジョンへと送り込む程の力がある。

 となれば、かなりの実力者だ。

 もしかすると、勇者の仲間という可能性もある。


 勇者関係ということは、もしかすると王様が何か知っているのかもしれない。

 そう考えたのだ。


 だが、やはりノナ達は部外者ということもあり、兵士には厳しい対応を受けた。

 王様を守る者として、当然かもしれない。


「お願いします! 王様に合わせてください!」

「駄目だ! いきなり王に合わせろなどと、怪し過ぎるだろ!」


 せめて、自称神の名前さえ知っていれば、ここを通れたのかもしれない。


「ホッホッホ! 通してやりなさい!」

「王!」


 宮殿の中から、白髪でヒゲを生やした、絵に描いたような王様が出て来た。

 兵士は王様に対して、ひざまずいた。


「貴方が王様ですか!」

「図が高いぞ!」


 ノナは思わず王様へ口を開くと、兵士は怒りの声をあげた。


「ホッホッホ! 気にしなくていい! ささっ! 中へ入りたまえ!」


 王様の許可を貰った2人は、宮殿の中へ足を踏み入れる。

 宮殿へ入った後は、王様の部屋へと案内された。

 すると中には、絵に描いたような剣とマントをたずさえた、青年が座っていた。


「ホッホッホ! 実は今から、勇者君と食事をしようとしていたのだ!」

「王様、こいつら誰ですか?」

「ホッホッホ! 人探しをしている連中だ!」


「連中とか口悪いね」


 王様と勇者の会話に対して、2人に聴こえない程度に、ミソギはボソッとつぶやいた。


「ホッホッホ! とにかく座りなさい! 今料理を持ってくる!」


 そう言うと、王様は部屋から出て行った。


「君達、歓迎するよ。それにしても、なぜここに?」


 勇者の問いに、ノナは正直に答える。


「異世界の術師に会いに来ました!」

「異世界……?」


 地球で言う所の異世界の術師。

 つまりは、こっちとしては異世界でもなんでもない、現地術師だ。


「えっと、なんて言ったらいいのかな……ドラゴンの化身を操ったりする人のことなんだけど、分かりますか?」


 それを言った瞬間、勇者の表情が変わった。


「貴様!!」

「えっ!?」


 勇者が剣を抜いた。


「お前の目的はなんだ!」

「えっと……」

「怪しい奴だ! 成敗してやる!」


 その後、勇者は部屋の壁にめり込んだ。


「ノナ、大丈夫!?」

「なんとかね!」


 咄嗟とっさに【リサイクル】を発動させ、シルバーソードを出現させた。

 向かってきた勇者の腹を剣の柄で殴り、カウンター攻撃を決め、吹き飛ばしたのだ。

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