意味が分かると怖い話【ホンモノ】
「おはよう」
いつもどうり声をかける。
「おっはよー」
僕とは真反対の元気でトーンの高い声が返ってくる。花梨だ
「おはよ」
今度は僕のくらい感じとさっきの明るい感じのの中間みたいな声、真司だ。
「ねね、昨日近くのお兄さんが20歳になったから“特別なもの”を貰ったんだって」
「マジか」
「やっぱ優しくなってたか?」
「うん!」
“特別なもの”ってのは20歳になると貰える物だ優しくなったり性格が変わったり幸せなことがいっぱいらしい。
僕らはそれが楽しみでたまらない。正確には僕は、だ。
花梨と真司はだいぶ前に20歳になって貰ってる。だけど元々優しかったからあんまし変わらなかった。
この国では大人の犯罪がない。
子供が犯すちょっとした罪はあっても、大人の人はまったくない。
全ては“特別なもの”のおかげだ。
僕は19歳だけどもうすぐ誕生日だ。
「青城は誕生日いつだっけ〜」
「明日だよ。めっちゃ楽しみ」
「まじであればいいぞ〜」
「マジでワクワクがとまらない」
“特別なもの”は他人に教えてはいけない事が法律で決められている。
だからほんとに気になっている。
「明日なら今日誕生日パーティしようよ。みんな午後にコマ取ってないでしょ?」
「お、いいなそれ」
「マジ? そんなことやってくれんの?」
「もちろん!」
もう今から楽しみだ。きっとこれまでの人生で1番ワクワクしてる。
それからの授業は珍しく集中してあっという間に時が過ぎていった。
午後。
3人で僕の家に集まっていた。
「一日早いけど〜青城、誕生日おめでと〜!!」
「青城おめでとう」
何だかむずむずして言葉に表しずらい喜びに包まれている。
机には色んなお菓子やジュース、2人のお酒がある。
「二人ともありがとう。カンパーイ!」
僕がそう言うと2人とも「かんぱーい」ってコールをしてくれた。
これまでで楽しかったこととかを話してくと、2人が覚えてないことがあって僕が説明したりした。
でも不思議だ。僕より頭のいい2人が思い出を忘れるなんて。
この時はお酒が影響してると思ってた。
翌日。
僕は東京に来ていた。福岡から飛行機で1時間半くらい。
“特別なもの”を貰うには東京にある国の施設に入らないといけないからだ。
今はタクシーの中だ。
郵便で届いた。引換券と説明書を読み返す。
ワクワクするのと同時に少し不安だ。初めての体験とはいつもこういうものなんだろう。
「着きましたよ」
運転手さんに声をかけられてお金を出そうとすると。
「いいよ、今日で君20だろ」
「ほ、ほんとですか?」
こういうことはよくあるのだろうか
「あぁ逝ってらっしゃい」
「はい! ありがとうございます」
『可哀想に』と、運転手さんは青城に聞こえないように零した。
扉を開ける。
「いらっしゃいませ。青城様ですね。ご案内します」
愛想の良い声で案内される。
「このベットに横になってこの水を飲んでください。目が覚めるとあなたは“特別なもの”の正体が分かるでしょう」
言われるるままにベットに座る。
コップの水を飲む。
横になり目を瞑る。
眠気、とは少し違う意識が遠のく感覚がして。
目が覚める。
ウィーンという機械音がして蓋が開く。
周りを見渡す。
真っ白な壁に包まれた部屋に小さなモニターとVRのような機械や机があった。
モニターにはさっきまで僕がいた街とそっくりな
机の上の手紙を読む。
全てが書いてあった。
思わず手紙を落とす。
もう1枚紙があるのに気がついた。
「青城、飲んで」
よく見た。ずっと横で見てきた花梨の字だ。
AIなんかじゃない本物の花梨のやつだ。
僕は全てを理解した。
そして僕は紙の上にあったクスリを飲んだ。
僕は死んだ。
机の一枚目の手紙
【あなたのみているものはホンモノですか
あなたの話してた友達は本当にヒトでしたか?
青城、ホンモノの俺らと遊ぼう。
花梨、真司より】
すこし、急展開がすぎましたねw