第三話 お義理父さんと
今現在、上戸のとなりには咲そして正面には白髪のおっさんがいた。
「僕が咲の父親の正信だよ。よろしくね、慶太君。」
おっさんは笑顔で上戸に言ってきた。
「あ、あのおじさん。」
慶太が戸惑いがちに言うと
「だめ、だめ、お義理父さんて呼んでくれよー。」
と正信は笑顔で返してきた。
「お、お義理父さん」
「なんだい、慶太君」
「本当に、僕なんかと咲さんと結婚をみとめてくれるんですか?」
咲さんという単語に咲はちょっと赤くなる。
「認めるもなにも、僕はずっと二人が生まれる前から、その気だったけど。」
「「え」」
上戸と咲の声が重なる。「どういうこと、お父さん。」
上戸より先に咲が聞いた。
「あれ?言ってなかったけ。慶太君の父親の正宗と僕は親友でねお互い子供が生まれたら、結婚させようといってたのさ〜。」
マジかよ。
慶太は思った。正宗はごく普通のサラリーマンである。そんな父と黒田組の組長と交流があったとは考えられなかった。
「あいつはね、いまでこそ、普通だが昔は『拳の正宗』と呼ばれるほど強かったんだよ。」
正信は懐かしむように語った。
へーと父親の意外な過去を聞いていると、襖が開いた。
「のわっ。」
いきなり少女が上戸に抱きついてきた。
「へへ。」
「ま、舞ちゃん?」
かわいらしく笑う少女を見て上戸は言った。「こら、舞離れなさい。」
咲がキリっとにらみながら言う。
「えー、やだー。お姉ちゃんばっかずるいよー。」
と言い、舞は慶太を強く抱きしめた。
上戸がどうしようかあたふたしていると咲がドスのきいたこえで
「慶太君、浮気したらわかってるわよね。」
と言ってくるのでますます困った。
「修羅場だねー。」
正信はそんな三人をニヤニヤしながら見ていた。
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