静音召喚
結局私は先生の指導の元、魔法陣を使っての静音さんの召喚作業に集中することになった。
って!結構大変!簡単に考えていた召喚術は私の体力を予想以上にかなりのスピードで奪っていく。
魔法陣って描くだけでも体力とか私の中にあるパワーとかを消費するのに、召喚作業はそれを遥かに上回る勢いだった。
パワーって私のアストラル体自体を消費しているんじゃない?そのくらい結構きつい。
そう思う程きついのにまだ召喚作業は序の口。
そう序の口…なんだよね。手を翳して力を送り始めただけ。
しかも魔法陣はまだなにも反応が無い。
「瑞樹!集中を切らすなよ!今込めた力が無駄になるからな!」
直接手伝えない先生が、私の背中から力を少し補ってくれているけど、抜けていく方が早いから全然元気はでない。
そんな私を睦月と橘さんは見守るしかできずに、なんか脇でうずうずしている。
「集中、集中…」
私は再び集中して魔法陣に力を込めていく。
先生の補助を受けても体力的に厳しい。立っているのもギリギリで、とうとう私は片膝をついてしまう。
「くっ…」
そんな中、ようやくピリピリと描いた線が踊り出し、魔法陣は少しずつ色を変化させながら、だんだんと立体的になっていく。
息が上がり、呼吸音がひゅーひゅーと私の頭の中に響き渡る。
それでも召喚作業を止めることは出来ない。
「よし、変化が出てきたぞ!そこからは慎重に力を込めろ、少なくても多くても暴走するからな。一定の力を込めながら頑張るんだ。特に今力を止めたら力が一気に暴走するからな!」
先生の声がかなり遠くに聞こえる。
「…もう…少し…」
たぶんもう少しだ!私は自分に言い聞かせて、なけなしの力を振り絞っていく。
立体化した魔法陣が七色に光りながら、描かれた線に沿って赤黒くバチバチと踊る様に跳ね、少しずつゆっくりと回り出した。
真ん中から煙と放電が発生する。
「静音さん!出てきて…お願いします!」
もうかなり体力が限界に近い。
そんなギリギリの私の声に応えてくれたのか、煙の中に人影が見え始める。あの小さな影は間違いなく静音さんだ。
「静音さ…」
私が呼びかけようとすると、先生が下がりかけた私の腕を掴んだ。
「まだだ!力をまだ抜くな!放電で吹っ飛ばされる!」
「!」
そうだ、まだ姿が見えた訳ではない。先生に従い、わずかに残る力を使って込め直す。
「煙が消えるまでは集中しろ」
「はい!」
すると、魔法陣の真ん中から声が返ってきた。
「正嗣は真面目じゃのう…まあ、そのまま力を込めて貰うと心地いいし、安全じゃ。瑞樹もう少し頼むのじゃ」
「はい!静音さん」
そんなやり取りをしているうちに、魔法陣内の煙と放電が落ち着き始め、やがて空気が澄みはっきりと静音さんの姿が現れた。
呆然と手を突き出したまま見惚れていた私の目の前まで歩み寄ってきた静音さんに、私は今度こそ飛びついた。その勢いで私たちは倒れ込む。
「静音さ〜ん!」
「これっ!私は小さいのだから、無茶するでない!」
静音さんは拳を振り上げて文句を言っているが、そんな事はお構い無しだ。
私は嬉しくて仕方がなかった。
召喚に成功して、静音さんがこちらに来てくれた。こんな達成感は今まで味わった事が無かった。
「瑞樹よく頑張ったの」
静音さんの振り上げた拳は、いつの間にか優しく撫でる手になっていた。
撫でてくれる手が小さくて暖かい。
まだ向こうで別れて、こちらに来てからそんなに経ってはいないはずなのに…ヤケに懐かしい感覚になる。
「悪いな静音、無理にこっちに呼んでしまって」
後ろから先生の声がする。
「良い良い。なんとなくそんな気はしていたのじゃ」
「えっ!そうなんですか⁈」
予感って奴なんだろうか?普通に行ってきますしていたから全然気づかなかった。
「妾は生き神じゃぞ。自分自身のこれからを予知出来なくてどうする」
そうか、そうだよね…どんなにちっちゃくて可愛くても静音さんは生き神だった。
「あの…ほんとにその方が生き神の方なんですか?」
遠慮がちに橘さんが私たちに確認してくる。
「あっ…」
ですよね…見た目ゴスロリの座敷童子だし…
「ああ、こいつが静音…俺たちの時代の生き神だ」
先生は何故疑うとばかりの表情で、睦月と橘さんに静音さんを紹介する。
「そうじゃ、妾が生き神の静音じゃ。二人ともよろしくなのじゃ」
静音さんが何故か胸を張って、偉そうな態度だ。
「で、何があったのじゃ?呼ばれるとは予感していたが、こんなに早いとは思っておらなんだ」
そこで先生が細かく説明を始めた。
「なるほどのう、じゃったら妾を呼んだのは正解じゃ。弥生と言う娘はしばらく大丈夫じゃろう。安心せい」
うん、さすが静音さん偉そうです。
「ここまでは戦闘を避けていたようじゃが、ここからはそうもいかんの…」
静音さんが顎に手を添えながら考え始める。
そうか…戦闘なんて考えてもいなかった。
弥生を奪還するなら、向こうへ乗り込まなければならない。それには強硬手段も必要だ。
けど…
「先生…私は戦力にならないです」
そうだ。私は戦いなんて頭に無かった。それは私がこの事態を安易に考えていたからだ。
そう考えると力をつけてこなかった自分自身がうらめしくなる。
「そんな事は100も承知だ。俺だって大した戦力は無いぞ。だからこそ静音を呼んだ」
ご感想等ありましたらよろしくお願いしますm(_ _)m
しかし…なかなか話が進まない(›´ω`‹ )




