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堕ちた天使

一度だけと言いながら、それだけではすまないのが人間のさがだ。

結局私は何度か通う事になっていた。

わかってる先生の言っていたのは正しいって…でも心は必ずしも一致しない。

自分の子供と言うものが、こんなに愛しいと感じるなんて誰も教えてくれなかったから。

だから私が通っていたドアの不自然にも気づかなかったんだと思う。

私が気がついた時には、わたしは元の場所に戻るのはもちろん、菜摘ちゃんの部屋を出る事すら出来なくなっていた。

部屋の外には菜摘ちゃんとたぶん母親。そして一人の男が立っていた。

「弥生ちゃん!」

泣きながら私に手を差し伸べようとする菜摘ちゃんを抱きしめて話さない仮の母親。

鈍感な私でも何が起きたか理解出来た。

私は男に向き直り、にらみつける。

「あなたが羽島ね」

「私はそんなに有名なんですね」

「えぇ、瑞樹がお世話になったそうで。こんなに早く会えるとは思ってなかったわ」

「私もですよ。あなたにお会い出来る絶好の機会を私が見逃すはずないでしょう」

「でしょうね…私は最大のミスを起こした訳ね」

ほんとに自分が嫌になるくらい悔やんでも悔やみきれない。でも、ここで諦めるのはだめだ。

「で、あなたは私を捕らえた。何をたくらんでいるの?」

「少々飽きて来たので余興をと思いましてね」

そう言うと、羽島は落ち着いてきていた菜摘ちゃんの肩に手を置き囁いた。

「菜摘ちゃんあなたのお母さんはどっち?」

私は一瞬で身体の血が騒ぎだした。

「おじちゃん。ママはママだよ。弥生ちゃんは私のお友達だよ」

弥生ちゃんは不思議そうな目で羽島に答える。

でも一緒にいた母親は反応が違った。目を見開き、私を見つめたまま菜摘ちゃんを再びギュっと抱きしめた。たぶん私が誰なのかわかったのだろう。

「余興とか言って私を笑いものにしたいの?!」

「まさか私が優しいと思いましたか?」

そう言うと、羽島が目の前で指をぴんっと弾いた瞬間菜摘ちゃんとその母親は丸い透明の泡の様な中に入って、浮かび上がっていた。

「弥生ちゃん?!」

2人は泡の中でお互いを抱きしめたまま、何が起こっているのかわからず、オロオロとしている。

「菜摘ちゃん!何するの!」

「余興と言ったでしょ。菜摘ちゃんが言ったように、あなたはこの二人とは他人です。だから貴方との接点を持っているのは危険です。ですから排除する事に決めました」

「排除!!ちょっと何するつもりなの!」

羽島はうっすらと笑みを浮かべ、パチンと一回拍手をすると、二人のいる泡が真っ白になり中が見えなくなった。

「中の空気をガスに替えました。二人の排除完了ですよ」

「菜摘ちゃん!!」

私はありったけの声で叫んだ。

けれど、泡の中からの反応はもう無かった。

「羽島…本当に二人は死んだの?」

その場に座り込みながらも、もう一度確認する。

「嘘を言ってどうしますか?私がこの世界ではルールです。そして、あなたは私の玩具になった。逃げられないのを理解する為の余興です」

羽島は楽しそうにそう宣言すると、私の目の前で真っ白になった泡をパチンと壊した。その中から出てきたのは二人分の白骨化した骨だった。

小さい方の頭蓋骨がコロコロと転がり、私の前にある結界をすり抜け、足元で止まった。

座り込んでいた私はそのまま腕の中に抱えた。

「許さない…」

「何か言いましたか?」

「許さないって言ったのよ!!」

私が叫びながら睨みつけると、羽島は嬉しそうに笑った。

「いいですね。私の玩具はその位でないと」

「あなたはこの世界で何がしたいの!」

「私の理想の世界を作るんですよ」

「だからその世界って何なの!私はそんな貴方の世界を認めない!」

「あっはっはっはっ!認めるも認めないも、貴方は私の足掛かりの道具です。これから役に立って貰いますよ」

「嫌だ!ここから出せ!」

私の中では完全に我慢の限界、いや怒りの限界だった。

身体の中が全てザワザワと騒ぎ出し、アストラル体が抑えきれずに本体からブレ始める。

その為呼吸が上手く出来なくなってくる。だんだんと呼吸が荒くなり、急激に身体が思うように動かなくなっていく。

ダメだ!このままでは奴に抵抗出来なくなる!

そう思う私が何処か片隅にいるけれど、もう冷静になれる私は殆ど存在していなかった。

プツンと言う音と共に私の視界は完全に強制終了されてしまったのだった。

ペースを上げなければと思いながらも、なかなか上がらない(´•̥ ω •̥` *)

誤字脱字等あるかも…です。なんでも言ってください

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