継承2
なかなか進まずすいません〜少し更新です
「これが知識の継承と、忘却の封印?」
「そうです。この光の珠が私達の大切な知識、そしてその中身を一度知ってしまった者には鍵を差し込んであるのです。この鍵を抜いてしまえば、記憶の封印がされ、再び差し込まない限り記憶は戻りません。もっともその鍵は次の継承者の頭の中なので、記憶の復活は無理ですね。ただし、次の代への継承はまた違いますよ。詳細は内緒ですが」
そう言うとお父様は人差し指を口にあてた。その間にもつぐみさんから先生への継承は進んでいく。静音さんが光の珠を先生に入れると、続いて鍵を差し込んだ手が鍵を掛けるように、カチリと言う音とともに横に回転した。
「これで終了じゃ。」
先生の頭から手が抜かれると同時に先生がその場に崩れ落ちた。
「先生!」
私が突然の事でびっくりしていると、
「大丈夫ですよ〜」
今度はお母様が指を動かして何かを始めた。
先生の倒れている場所の周り四隅を二本の指で押さえていくと、先生の下からゆっくりとベッドが現れるとふわっと宙へ浮かんだ。
「正嗣くんは明日まで目覚めないのでこのままお部屋に移動しますね〜」
あっという間に先生は、お母様によって何処かへ運ばれて行った。
「先生大丈夫なんですか?」
静音さんに尋ねると、ゆっくりとお茶を飲みながら頷いてくれた。
「大量の記憶が頭に流れ込んだからの。最低でも明日までは目覚めんじゃろう」
「私なんて3日眠ってたわよ。あの情報量半端じゃないわよ!お陰で今の私の頭の中スッキリして記憶力回復したかもしれないわ」
つぐみさんはスッキリした顔でゆっくりお茶を飲んでいた。
「つぐみさんは本当に当主としての記憶が無くなったんですか?」
「んっ?忘却とかいいながら無くなってはいないわよ。たぶん記憶の引き出しに記憶はあるけど、鍵が掛かっているから思い出せない感じね。今まで部屋の中に散らばっていた玩具を、小さい引き出しにギュッと詰め込んで鍵を締められちゃったから、部屋はすっきりしたけど遊べない〜って気持ちわかるかしら?」
「ん〜なんとなく。すっきり片付いたけど、今までと景色が違って少し淋しい感じですかね?」
「そうそう!」
つぐみさんが嬉しそうに私を指差して笑った。
「そんな訳ですから、つぐみの役目はここまでですよ。これまで正嗣に代わってお役目ありがとうございました。また何かあれば呼ぶかも知れませんが、それまでは自由な日々に戻ってください」
お父様がつぐみさんにそう告げた。その言葉に、私はなんだか気持ち悪さを感じた。
それは本当に、つぐみさんとして納得のいく話なんだろうか?今まで散々家の為に尽くしていたつぐみさんを、お役目終わりました。自由にやっちゃってください。って放り出すような気がした。
でも…私は部外者の様なものだ。その事については何も言えなかった。
つぐみさんは手を振りながら、こちらを一度も振り返る事なく退出して行った。
私もその背中にずっと手を振っていた。
つぐみさんが屋敷を出ると、さてと、先生のお父様が私に向き直った。
「瑞樹さん。先程まで正嗣が隣にいた為、しっかりとしたお話が出来ませんでしたが、お休み前に少しよろしいでしょうか?」
「はい。大丈夫です」
先生が隣にいない時に上手く話せるだろうか。と、少しドキドキする。
「あなたの一族に関してです。先程も話した通り、静音様は貴方と同じ巫女の一族だった為、生き神として長い時間過ごす事を強いる形になってしまいました。今ここで子孫の貴方にお詫びしたい」
そう言うと、お父様とお母様は私に深々と頭を下げた。
「いえ、私は一族の事も知らなかったんです。謝らないでください。それに静音さんを今は大切にしてくれてるんですから」
「いえ、今からの話が本題です。私が話した事は正嗣には言わないでいただきたい。恐らく正嗣は記憶の継承で知ったとしても、貴方に話さない可能性がありますから」
私は背筋がピンと張るのを感じた。




