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失われた血族

私が舞終わる頃には殆どの霊が浄化されていた。そして最後の鈴をシャランと鳴らすと、残っていた霊達も難無く浄化されていった。

「見事じゃ、これで課題も完了したし心置きなく正嗣達のもとへ戻れるな」

静音さんが褒めてくれたが、私は少し不満が残った。

「静音さん…私は浄化する為のヒントを探しに鳥居の向こうに行ったはずです。いろいろ考えて出来そうな浄化方法も見つけたのに…最後の舞だけで浄化できるなんて、なんか変じゃないですか?」

堪らず私は心の中のもやもやを静音さんに打ち明ける。

「それな、今から正嗣達から話があるはずじゃ。妾が言えるのはここまでじゃ。さあ、参るぞ伊豆家(いとうけ)へ」

そう静音さんが指差した途端に来た時と同じ様に景色が一転していた。

そして目の前には、先生とご両親そして…誰?知らない女性が一人増えていた。

私よりも少し年上くらいだろうか?

私がワタワタしていると、先生が私を落ち着けと座らせてくれた。私の手にはまだ鈴が握られていた。

右隣に先生が、左隣に静音さんが座る。

「最初に静音様、今回の試練ありがとうございました。それでいかがでしたか?」

先生のお父様が静音さんに話を振る。私の試練の事だから、ちゃんと浄化は出来たけどドキドキする。

「先ずは合格じゃ。そして正嗣から聞いておるじゃろうが、浄化の舞…そしてその為の鈴。これは明らかに我が伊豆家(いとうけ)から大昔に失われたものじゃな」

結果は合格だけど…何?私があの中で見つけて来たものって、えっ?伊豆家の物?あの舞とこの鈴が?

頭の中が完全に混乱しているのがわかる。

「あの、失われたって…盗まれたとかですか?」

私は沈黙に耐えられず、鈴をテーブルの上に置いた。シャランと涼しげな音が鳴る。

その途端、私の首筋にぞわりと何かが触った。

「まったく、すぐに答えてあげないと瑞樹ちゃんが不安になるじゃないの」

後ろから声がして私の首に腕が絡みつく。振り向くとさっきまでお父様の横に座っていた女性が私に抱きついていた。

「えっ…」

私が言葉を失って固まっていると、隣から先生がその女性の頭を叩いた(はたいた)。

「いい加減にしろ。瑞樹が固まっているだろう。それにまだ紹介もしていないのに絡むな」

「は〜い」

女性は先生に返事をすると、一瞬で元の場所に戻る。

「えっと…瞬間移動?」

私が先生に尋ねると、代わりにその女性が答える。

「便利でしょ〜これもアストラルを使った移動よ。ほらっ、ここに来た時に本土と繋がっていたでしょ?」

女性がパチリとウィンクをすると、隣でコホンと一つ咳払いをすると、お父様が紹介をしてくれた。

「私の姪のつぐみだ。正嗣が家を出た為、今までこの伊豆家を守ってくれていた。跡取り候補の一人だよ」

「よろしくね瑞樹ちゃん。まあ、跡取り候補と言っても正嗣くんには全然追いつけないからさ、ほんと戻って来てくれて助かったわよ〜」

「だから戻ってきたつもりはない。ここへはアストラルの鍵について調べに来ただけだ」

「まあまあ、それは置いといてさっきの話の続き」

つぐみさんが話を戻してくれた。

「あぁ、舞と鈴は盗まれた訳ではなく、一族の減少と共に行方知れずになったんだよ」

「一族の減少…」

「そうだね…昔は何かがあればこんな人数でなく、何十もの人々が集まった。でも時代が過ぎれば過ぎるほど、血は薄まって能力を持って生まれてくる者は少なくなり一族として認められなくなる。秘密の多い一族ですからね…能力が出なかった親族は疎遠になり、そのまま音信不通。たぶん瑞樹さんのご先祖も我々一族から弾かれた方々だったのでしょう」

「つまりじゃ、瑞樹の家も伊豆家一族の末端だったという訳じゃ」

「だから私は簡単に浄化ができたんですね。私両親から何も聞いた事がなくて…」

「もしかしたらご両親もご存じではなかったかも知れませんよ。お母様方の様ですから、お母様のご実家などに仕舞い込まれていればわからないですからね」

「あっ…」

先生のお父様の言葉で、私は思い出した。

かなり幼い頃お母さんに連れられて田舎に行った事があった。幼過ぎてその田舎が何処かも覚えていないが、あれはお母さんの実家だったのかも知れない。

「私…一度だけ母の実家に行った事があったかも。でも、母の両親ではなくて…会ったのはお婆様だったような」

幼過ぎて記憶が曖昧だけど…そうだ!あの日私はあの舞をお母さんに習って、お祭りに参加したんだ。

「先生!そうです、思い出しました!母の実家でお祭りに参加してこの鈴で舞いました!」

なんかペースが落ち気味ですが、頑張ります❗️

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