時を渡る力
次のヒントが最後と信じて探す事にしたが、私はそのヒントを見つけられずにいた。
わかっている事と言えば、さっきからいくつかの同じ景色が繰り返し流れている。
目の前の景色は3つに分けられた。
1つは最初と同じ子供たちの生活風景。2つ目は私の記憶…両親がいた時であったり、両親が亡くなった後の記憶だったりいろいろだ。そして3つ目がよくわからない…
そう、それは奉納舞の映像だ。それも幼い頃の私が舞っている。
自分の中にはこんな記憶は無いと思うのだが、私は舞った事があるのだろうか?と、言うような映像を観ている感じだ。
まあこんなのがヒントであったとしても、私には舞える気がしない。
「さて、私に何をさせたいんだろう?」
舞いと言うものは神様に奉納する為の儀式の一つだ。アストラルにとっては信仰の形を確かなものにする為のものだ。
ここでの神様は…考え様によっては、座敷童子も神様と捉えられる事もある。つまり静音さんへ贈る舞い?
舞う事でアストラルの鍵に近づけたり出来るの?
確信はないけれど、ちょっと惹かれるものはある…何故なら今は亡きお母さんに教えてもらえるからだ。まあ、習っているのは幼い自分ではあるけれど、横で一緒に舞っていれば習っている感覚にはなれる。
今はとにかく何でもいいから手掛かりが欲しい。だったらなんでも試してみるのが一番だと私は思う。
だから…少しだけ何も考えないで試してみる事にする!そう自分にいいきかせてお母さんと幼い私の元へ小走りで向かった。
「鍵になる為には伊豆家の嫁になることが条件なんだな」
「だから話は彼女が戻ってからだ」
あくまでも先生のお父様は私が戻らない限り話さないらしい。
「だったら話を変える。羽島正人と言う人物を覚えているか?」
「羽島?…ああ、あの少年か知っていると言う程ではない。昔何処で聞きつけたのか、伊豆家の噂を知った様でな突然訪ねてきたんだよ」
「あの当時俺は家を飛び出す直前だったからあまり気にしなかったが、何日か家に滞在していた気がする。奴は何を知りたがっていた?」
お父様は少し昔の事を思い出す様に考えていたけれど、しばらくして話を始めた。
「彼は弟子になりたいと直訴してきたんだよ。アストラルを通らなければ入る事もできないこの島に突然現れ、平然と弟子にと懇願する者を信用する訳にはいかないからな、私達は何日かの滞在は許したが、許可する訳も無く却下したよ。まあどちらにせよ、伊豆家の秘術は身内のみの継承だからね」
「弟子入り…その滞在の間奴は何をしていた?」
先生が羽島の行動の意味を考えながらも、次の質問に入る。
すると次はお母様が答えにまわる。
「大丈夫よ。何処も入らせてはいないわ。ずっと私が付き添って見張っていたわよ」
「本当に大丈夫か?」
先生が年を押すと、お母様がお父様を見る。
「……。」
ふう、とため息を吐くとお父様が口を開く。
「実はな…夜に貸した部屋でアストラルの空間を作っていたんだよ。彼が帰って2日目には発見出来たから、大事には至ってないかとは思うが…」
「やはりか…」
「やはりと言うと、彼がなにかしているのか?」
お父様の目つきが変わる。それは当然だろう、大切な一族の情報が盗み出されていたかもしれないのだ。
「奴は今アストラル面の仕組みは勿論だが、瑞樹の能力…時を渡る力を利用して未来を支配、自由にコントロールしている」
先生の言葉で、今度はご両親二人の目が見開く。
「時を渡る力だと…瑞樹さんはそれが出来ると言うのか?」
信じられないと言う様にお父様が確認する。
「ああ、俺も瑞樹の力で一緒に未来へ行ってきたから確かだ」
「そうか…とうとう現れたか」
「現れただと?瑞樹を化け物の様に表現するな」
お父様の私への表現に先生は反発をしながらも、得も言われぬ不安感に取り憑かれた。
「時を渡る力とは何かあるのか?」
「話すが…先に瑞樹さんを連れ戻す。それを知っていれば静音様の元へは送らなかった。まだ間に合えばいいが」
お父様がかなり渋い顔をしている。
「だったら俺が行く。さっさと静音の元へ送れ」
そう言うと、先生は立ち上がる。
もう聞く耳を持たないと思ったのか、ふうとため息を吐くと、お父様は先生を一瞬で静音さんの所へ送り出した。
ギリギリで書いています!今までの様に確認が不十分ですので、誤字脱字等ありましたらご指摘お願いいたします^_^




