表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/90

決意

「まったく…俺の了解も取らずに弥生にそんな返事をしたのか…」

目覚めてすぐに先生の家に向かった。朝早かった為、私は先生と一緒に朝食をとりながら、先生に弥生の話をする。先生の家の朝食は古書店に似合う和食のシンプルな朝食。ご飯にお味噌汁、それに焼き魚…先生に似合いすぎてて笑えた。でも、真面目な話の途中なので、私はその気持ちを心の中に仕舞いこんだ。

「すいません。でも、私は、弥生達を死なせたくないんです。せっかく普通の人の心を育ててきている弥生達に、これからもずっと子供を見守らせてあげたいんです」

戻ってすぐに私は先生に相談に行った。とにかく一刻も早くこの話を先生にしたかったから。もう、仕事なんてどうでも良かった。今は何よりも弥生達が一番だった。

だから古書店に入るや否や、弥生の話を一気に先生に話したのだった。

「まあ、俺たちに何の相談も無く、弥生達が脱走やクーデターを起こさなかっただけいいか」

そう言って、先生は天井を仰いだ。

「でしょ?」

先生の言葉に、私は少し嬉しくなった。これなら先生も未来を変えることに協力してくれるかもしれない…。

「でしょ?じゃない、だからって未来を変えたらどうなるか、以前に話しただろう。下手すれば弥生達だって消えるかもしれないんだぞ。」

「それは…はい。でも、弥生達が殺されるよりいいです。」

私も、先生に負けないように言葉で返した。

「神にでもなったつもりか?」

「なったつもりじゃないです。神になるつもりでいます。」

「覚悟は出来ていると言う事か…」

「はい!私の気持ちはもう変えられません」

私のきっぱりとした言葉に、先生はもう一度ため息をついた。それは何を言っても無理だと言う諦めの入ったため息だった。

だったら…。と先生は話を始めた。

「わかったよ…。未来をあまり変えずに…いや、変えないと言う事は無理だが、弥生達の存在を消す可能性が低い方法で、尚且つ弥生達が逃げ込める場所を作るくらいならできるかもしれないが。それは、お前の決断が必要だ」

私の決断?どんなことだろう?私は弥生の為なら神にでもなると言ったのに、それとは別に何か決断しなければならない事があるんだろうか…?

「先生決断て何ですか?未来を変えるよりも大きい決断ですか?」

私が聞くと、ああ、と返事を先生は返してきた。

「お前は半年前に羽島正人に出会った。それは何の目的かわかるか?」

「私に存在を知らせる為?結局勧誘も無かったし…」

私は、勧誘があれば内部を調べる為にも入ることも考えていた。でも、それは無かった。と言う事は、私に存在だけ知らせて、私達と敵対する為?

「少し話したが、あいつらはアストラル面を使って色々と画策している。弥生達の世界で鳥の遺伝子を人間に組み込んだのは十中八九やつらだ。つまり、未来の世界を旧人類として支配しているのは、羽島正人が支配する『ナチュラルバード』と言う事だ。」

「と、言うことは…『ナチュラルバード』に働きかければ、弥生達のこれからの場所も確保できるって事?」

まだ私は全てを理解していなかったけれど、それだけは理解できた。つまり『ナチュラルバード』なら未来を組み替えられると言う事をだ。

「でも…あれから私には接触もないし、何よりもそんな組織の人たちが私達と取引をしてくれるかわからないんじゃないの?」

疑問を先生に投げかけると、先生は朝食の箸をとめて、私をまっすぐに見つめる。

「だからお前の決断が必要なんだよ」

「決断て何なんですか?それがわからないから聞いているんですけど…」

少し先生はそれを口に出すのを躊躇っている。それは私にも伝わってきていた。でも、言ってくれないと何も決断なんて出来ない…。

ようやく先生が口を開いた。

「弥生達を護りたいなら…杉山大和と別れろ。それがお前の決断だ」

「大和と…えっ、先生どういう事ですか?『ナチュラルバード』の話なのに…大和と別れろって…!?それってもしかして…」

大和が『ナチュラルバード』のメンバーって事?先生は答えなかった。でも、目がそう言っていた。確かに一度だけ大和は、普通の人では見ることの出来ない私のアストラル体を確認している。それで私も全てを打ち明けていた…でも、それが本当は全て仕組まれていた事だとしたら。

大和が私に近づいたのは…私の動向を監視する為?

もう私は、朝食どころでは無くなっていた。

片手に味噌汁のおわんを持ったまま、大和との別れを…私は考えに考えた。それでも、結果は同じ。すべてにおいて、私は先生を信じていたし、今まで何を置いても、私と弥生の為にいろいろな事を教えてくれた。そして、危険が及びそうになれば、助言や行動で助けてくれた。それを考えれば、信じないわけにはいかなかった。

でも…それでも、今までの大和との事が頭の中を駆け巡る。色々話し合ったこと、遊びに行ったこと、悩みを打ち明けた事。すべてが嘘だったんだろうか…違う。そんなこと無い。すべてが楽しかったし、悩みを聞いてくれた時は、心の底から大和に感謝した。それすべてを否定する必要は無い。私は、今の大和との別れだけ決断すればいい。今までの大和は大和で自分の中に置いておけばいいんだ。

私は落ち着くために、目の前にあるお茶をコクリと飲んだ。そして息を深く吸い込み、もう一度先生に確認する。

「大和が敵なのは確定なんですか?」

「十中八九間違いない」

「先生今まで大和が『ナチュラルバード』だなんて一度も言わなかったじゃないですか…」

それでも…やっぱり。

「わかりました先生…私、大和と別れます。そして、弥生を助ける。今はそれが一番大切だから…」

「いいんだな?大和は何も言わなければ、ずっとお前の傍にいてくれるぞ。」

「ううん、いいんです。大和が『ナチュラルバード』との接点だと言うなら、私は別れるほうを選ぶから…全ては私の決めた運命だから…」

「判った。だったら、明日にでもこの古書店に杉山大和を呼べ、そしてこの場所で、全て話をしよう」

先生が私の決心に付き合ってくれると言うことなんだろうか…?今まで、大和にこの場所も先生の存在も内緒にしてきたのに、今になってそれを話すと言う事は、先生も『ナチュラルバード』に知られてしまうと言う事ではないのだろうか?

「ここで良いんですか?先生の存在を知られても…?」

「ああ、もう一蓮托生ってやつだ。これからは俺も共犯者だ、お前たちと一緒に神にでも何にでもなってやるよ」

先生の言葉が嬉しかった。今までよりも先生が身近に感じる。

「ありがとう先生、これで、私も大和との別れをこれ以上悩まなくてすみます。全ては未来のため、そして私達みんなの為だから…」

私は全てを変える事を、決断した

いよいよ次は行動開始です!


ご感想等ありましたらよろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ