表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/90

卵の違い

年末最後の更新です


何もわからず乗り込んだトラックに積み込まれていたのは。私達の卵とは違ってかなり成長した卵が積まれていた。私達の卵は産み落とされてから成長する。

普通の自然界ではありえない事だけど、それは孵卵器があるお陰だと子供の頃に教わった。

大きさからして中の子供は0歳位だろうか?

私達は3歳まで卵の中にいた…

「ここから3歳まで育つ施設に移されるのかなあ?」

「ああ、そうだろうな。あそこでは孵化後の施設は無かったからな。孵化後すぐに対応できる施設に行くんだろうな」

「孵化後って事はカプセルのある例の教育施設よね?」

「ああ…それか、別の施設か。行ってみないとわからないだろうな」

「別の施設?カプセルじゃないかもって事?」

「行けばわかる…」

睦月はまた何か考えるように黙ってしまう。ちょっと私はわからないことに苛立ちつつも、黙って待つしかなかった。

さっきと同じように少しするとエレベーターは止まって、トラックのエンジンが始動し、走り始めた。すると、睦月が動き始める。

「ここから出るぞ。この区画を確認しよう。」

「えっ、この卵の行き先じゃなくて?」

私はこのまま卵たちと一緒に動くと思っていたので慌てた。

「卵の行き先は、俺たちの卵が孵化する時でいい、それよりもこの区画で調べたい事があるんだ。それだけ今回確認したら帰ろう」

「あ…うん。わかったけど…帰ったら全部話してね」

私が言うと、ああ。と返事をして睦月はトラックを抜け出した。私もそれを追う。

でも、トラックから抜け出した途端。私達は呆然としてしまった。

そこは、羽根の無い人間が溢れていた。自分達の生活とは比べものにならない程、色に溢れ、時間が優雅に動いている。

それに…私達の年齢だけではなく、子供もいれば年配の人間もいる。確実に私達とは違う別世界。

それはまるで…この間見てきた瑞樹の世界のようだった。

「私達過去へ、瑞樹達の世界に来ちゃったわけではないよね…?ここって私達の世界と同じ?」

「やっぱりな…」

私が混乱している中、睦月は何か掴んでいるのか、核心を掴んだような顔をしていた。

「やっぱりって?どういうこと?みんな羽根無いよね?」

「さっきの卵は孵化間近の卵だ。あれを見ろ」

私は睦月の刺した先を見た。そこには男女が連れた赤ん坊がいた。

「赤ん坊…だ」

「つまり俺たちとは違って3歳まで卵には居ない。赤ん坊の姿で産まれて親に育てられるんじゃないのか?」

混乱している私の腕を取ると、睦月は精神を集中し始めた。

「睦月?」

私が声をかけると、集中を解いて指差した。

「向こうだな…」

「向こう?」

「ああ、ここから俺たちの区画は遠くない。さっきのエレベーターで近くまで戻ってきていたんだよ。感じないか?俺たちの身体の位置」

そう言われて確認すると、確かにさっきまで確認できなかった私達の身体の場所が確認できた。

「って事は、この区画は、私達の区画に近いと言う事?」

「だろうな」

この距離なら、一瞬で身体に戻れる距離。私は遠回りをさせられていたと言う事なんだろうか?

「とにかくそろそろ時間だ。今日は帰ろう。ここならいつでも来れるからな、調べたい時にここへ来ればいい」

「うん。そうだね…でも、この距離にこんな区画があったなんて」

灯台下暗しって事なんだろうか…それとも区画自体が違えば、距離なんて問題ないと言う事なんだろうか…。

「あっ、でも。ここの場所をどうやって次見つけるの?」

場所の把握をしていないと、帰ってしまったら見つけるには、行きの道を通って来ないとわからなくなってしまう。

「上に出ればいいんだ」

睦月は私の問いに簡単に答えてくれた。その言葉に素直に上を見上げてみる。

「上?」

「ああ、地上に出て目印を捜す。そうすればここの場所がどの場所かも判断できるし、方向も確認できる」

私は睦月がこんなに頼りになるとは思っていなかった。仕事場は一緒でも、同じグループで無い限り、一緒に仕事をする事は無かったから、だからこそ今回の事で、睦月の実力と言うか、判断力に驚くしかなかった。

そのまま上に登るとすんなり地上に出て、すぐに場所を確認する事ができた。

目の前に大量の緑色が広がる。

ここは…大量の木々に埋もれてはいるけれど、これほどのビル群の廃墟。そして、過去の遺物東京タワーの朽ちた残骸が目の前に眠っていた。そう、東京だった。

「この東京タワーの残骸は目印になるな…と言うよりも、この下の施設は東京タワーの地下を中心にして作られたものかもしれないな。とにかく今は戻るぞ、かなり時間を使ったからな」

睦月が全て仕切ってくれたお陰か、全ては順調に動いている。今日はこのまま、帰ろうと言う事になった。

二人で手を繋ぐと、自分の身体の近くの鈴を、チリンと鳴らす。いつもの作業…でも、この作業はいつも集中力を使うから気を使う。二人なら尚更、二人で一緒に戻るにはしっかりと、二人が音を確認しなければならないから。私達は二人の精神を同調させて、一気に身体に戻っていった。

読んでくださった皆様ありがとうございます

来年も頑張りますので、宜しくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ