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決定

少しの間2話ペースで行きます

少し躊躇しながらも、私は睦月に提案をしてみる。本来なら、アストラル離脱に慣れていない睦月に、こんな提案をする私ではない。でも…時間も無い。事前に場所を案内してもらってから、いろんな場所へ飛ぶよりも、直接アストラル体で、二人で飛びながら場所を教えてもらった方が手っ取り早い。

提案してから、私は睦月の顔を恐る恐る覗き込む。睦月はと言うと、唐突の思いもかけない提案に、考えているのか完全に身体が固まっている。

「それは…」

ようやく睦月の口から声が発せられた…。

「それは、本気で行っているのか?」

私は、無言でこくりと首を縦に動かした。

「と、言うか…俺がアストラル離脱って、出来ると思っているのか?」

睦月の言う事はもっともだ。でも、過去にアストラル離脱をしていると言う事は、才能と感覚はある訳で、それだけあれば私に出来ない事はない。

「上田先生に教えてもらった中に、人に影響を与えるアストラル体についての内容があったわ。アストラル離脱って言うのは、誰でも出来る事なのよ。でも、なかなかそんな事を簡単に出来る人なんていないのが現実よ。でも…過去に何度かアストラル離脱をしている人であれば、アストラル離脱した人が、アストラル体でその人に影響を与える事で簡単にアストラル離脱する事ができるのよ」

「そうなのか?でも、弥生の影響は受けたことがないぞ」

その言葉に、ちょっと私は胸を張った。これが私の修行の成果なんだから、少しは自慢していいわよね。

「上田先生のお陰よ。私はアストラル体のまま、地上に留まる事ができるし、力をいろいろ使えるの。その中の一つが人に力を少し分ける技なのよ」

「すげえな…そんな事まで出来るとは思わなかったよ。それなら、その力で弥生も地上にアストラル体を留まらせる事ができるんじゃないのか?」

私の言葉に、睦月はさっきと明らかに違う。うきうきとしていて、自分が自由に動ける事に興奮しているように見える。

「たぶん弥生も向こうで修行していると思うわ。弥生は、向こうの世界を見るのが一番の目的じゃなくて、本当は上田先生に指導してもらうのが目的なのよ」

「そうなのか…俺はてっきりこっちの世界と、向こうの世界の違いを見てくるだけなのかと」

「こちらにもいろいろ事情があるのよ。上田先生ってあんまり人に知られるのを嫌うから。私の彼氏にも秘密なのよ…本当は大和にも、あ、大和って私の相方なんだけど、大和にも上田先生紹介しようと思ったんだけど、駄目だの一点張りで、本当に秘密主義で困っちゃうわ」

肩を竦めながら、私が少し先生について愚痴ると、睦月は笑いながら、それを聞いてくれた。その時一瞬だけ、睦月が少し怪訝な表情をしたのだけれど、私はその事に全然気付く事はなかった。

「そうだ。睦月もこっちで修行しましょ。そうすれば弥生が帰ってきたときに、びっくりするわよ。ちょっと驚かせましょうよ」

ちょっと悪戯心を出しつつも、これは必然だと私は思う。睦月がアストラル離脱が、たとえ偶然だったとしてもだ。

「わかったよ。それじゃあよろしく頼むよ先生」

「うふふ、私は先生じゃないわ。私はもしかしたら、貴方にとっては死神なのかもしれないわよ。私達の側に引き込んでしまったんだから」

「それでもいいよ。俺は俺は真実を知りたかったんだからな」

「ならいいのだけど…でも無理はしないでね。アストラル体はアストラル面では危険は無いけど、地上では危険が無いとは言い切れないの」

「いいよ、危険は覚悟の上だ。それに生身で忍び込んだら、もっと危険な行動になる。それなら、危険はあっても立場上危険にならない方が、これからの事を考えれば絶対的にいい」

「わかったわ。それならアストラル体になるのは明日の朝一からにしましょう。今日は…」

「今日は?」

睦月が何だろう?と言う顔をする。

「もう、一番最初に職場に行くって言ったじゃない。弥生の同僚さんたちに紹介してくれるんじゃないの?」

私の言葉で、睦月は「あっ、」と思い出したように笑った。

「そうだったな。でも、紹介するわけにもいかないしなあ。とりあえずひと通りのメンバーに目通しだけしておくか。今日は俺たちは交配日で休みだし、ちょっと暇だったから見たいな感じで、一言二言話して帰る。そんな感じでいいだろ?」

「OKよ。その方が中身が違うってばれないしね。フォローよろしくね」

「了解。んじゃ、早速行きますか。我々の職場に」

睦月は悪戯を開始するようなわくわくした笑顔を見せる。今の状態が楽しくて仕方がないという顔だった。

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