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計画相談、そして提案

移動した私達は、睦月が淹れてくれたお茶をすすりながら、早速核心の話に入った。

「カプセルの場所…養育施設もそうなんだが、たぶんその前の段階の方が正体がつかめないんだ」

「その前の段階って卵の事?」

睦月は返事の代わりに、私の瞳をみつめながら首を縦に振った。

「俺たちはさっきの交配所で、繁殖期に三日間交配を行なうのは知っているよな」

「うん。弥生からその話は聞いているわ。三日で三人と交配するって」

「そうだ。それで高い確率で女性は妊娠する。まあ、繁殖期にするんだから当然だが…そして三ヵ月後に卵を排卵所で産む。それが大体、年に二回だ結構多いだろ?それに対して社会人として表に出る人数は少ないんだ。だからこそいろいろ確認したい事がある。社会に出てくる以外の卵は全部死んでいるんだろうかってね」

「社会に出てくる人数と卵の個数か…それは気になるわね。自分の遺伝子を受け継いだ卵が、無事生まれているのかもわからないんでしょ?」

私が聞くと、睦月はちょっと複雑そうな顔をしながらも、首を縦に動かした。自分の遺伝子が繋がっているのかどうかもわからない。それは、どんな気持ちなんだろう?

「確認したかったんだけど、俺はアストラル体にはなれないし、弥生もアストラル面では動けるけど、こっちの世界はアストラル体で動けないらしいんだ」

「それが不思議なのよね…私は向こうの世界も自由に動いていたけど…個人差があるのか…それとも何かがあるのか」

「そう言う瑞樹は、こっちで動けるのか?」

「大丈夫よ。まかせて」

睦月の質問に私は自信を持って答える。何故なら、大丈夫なように上田先生に修行してもらったからだ。弥生の姿のアストラル体を維持するのと共に、私はいろいろな事態に対応できるように、吸収できる物はすべて教えてもらったのだ。

「すごいな…瑞樹は」

「すごくはないわ。たぶん偶然が重なっただけ、アストラル面で弥生に出会ったのも、アストラル面以外も移動できるのも、何でも知っている先生に出会ったことも…私は選ばれたんじゃないの。全部が偶然だと思ってる」

そうだ。私は運命なんてものは信じない。すべては偶然によって出会ったり、出来たりするもの。だから努力によっては、その偶然をいろんな形に持っていく事が出来るし、流れているものを止めることもできるはずなんだ。

「偶然か…普通はそれが運命って言うんだろうけどな」

「運命なんて言葉は駄目。それを使ったら人間駄目になるわ。運命だから仕方がない…運命だから変えようがない…そんな考えになっちゃう。だから、私は偶然が好き。偶然で弥生に出会ってしまったんだから、今の歴史の流れも偶然で変えることができるかもしれない。それが良いと思わない?」

「運命は駄目か…面白い考え方するな瑞樹」

「考え方は人それぞれよ。自分がそれがいいって思った方を取ればいいの。自分が最善だと思う考え方をね。だから私にとっては、すべてが必然な訳ではなくて、偶然なのよ」

「それで、今までやってきてるんだろ。それで良いなら俺は従うよ。瑞樹の力が無ければ、今回の計画は達成できないんだからな」

「うん。ありがとう。あっ、そうだ!もう一つ私行きたい所があるの」

「行きたいところ?」

「うん。ここは絶対行っておきたい」

「それって何処だい?」

私が行きたい場所…それは、私達の産まれた場所。私はゆっくりと天井を指した。

「地上よ」

「地上…か」

睦月は私に意外な顔を向ける。どうしてだろう?私にとってはこの異常な世界が創られた理由の一番が地上にあると思っている。だって地上に人間が住めなくなったから、住む場所を地下に求めた訳で、それでも人間はキマイラを除いて滅びてしまった。

地上はそれ程にひどい状況なのだろうか?それに動物たちの状況も知りたい。人間が住めない場所に、生き残っている動物たちの進化の過程から、今の生息状況までを。

なのに、なんで睦月は私の言葉を意外そうに見つめているんだろう?

「地上は駄目なの?」

「いや、アストラル体なら地上にも行けるだろうさ。でも、何も無いと思うぜ。だって人間が住めないところに何があるんだよ」

やっぱりそんな所は、睦月もこちらの世界の人間だと言う事だろう。おそらく行っても、危険動物が跋扈していて、何も無い場所だと習っているのだ。

「人間が行けない場所だからこそ、何かがあると思わない?もしかしたら何かヒントがあるかもしれない。もしくは、私達の世界から百年程度の経過だったとしたら、私達の世界に繋がる何かがあるかもしれない」

その地上の状況によっては、こちらに何か影響を与える事ができるかもしれない。私は、睦月の顔をじっくりと見つめた。すると、睦月が仕方がないと言うように、苦笑するとため息をつきながらも返事をくれた。

「わかった。一番地上に近い場所を教えるから、そこからアストラル体で出ると良いよ。俺は結局のところ何も出来ないからな」

「ありがとう。本当は睦月もアストラル体になれれば一番良いんだけどなあ。そうすれば一緒に何処でも見に行けるのにね」

私がふふっと笑うと、睦月は眩しそうに目を細め、それから空を仰ぐように天上を見上げる。

「俺も昔は何度か出来たんだよ。カプセルにいる頃だけどな。あの時、こんな考えが出来たなら、いろいろ見てまわっていたんだろうな…」

「…!」

私は睦月の言葉に驚いた。弥生の他にもアストラル体になった事がある人が、こんなに身近にいたなんて…。弥生の方からはそんな話は聞いていなかった。

「ん、どうした?そんなに俺がアストラル体で動き回っていた話が驚きだったか?」

「びっくりなんてものじゃないわ。それなら…」

私は、言葉を出そうとして、少し躊躇した。どうしよう…これを言っていいだろうか?

「それなら?何だよ。何か案があるのか?」

「それなら…一緒にアストラル離脱してみない?」

次の更新は10月20日です

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