交差
本日最後の投稿
短めです
いよいよ弥生との交差の時が来た。私達は最終の仕上げをいつも会う場所で行い、ついにどれだけの時間でもお互いの姿でいられる様になっていた。そして、弥生の都合に合わせてようやく決行の日が来たのだ。
「いよいよね。ちょっと怖い気もするけど、決まった事だからね。お互いがんばりましょうね」
私は、弥生の肩に手を置きながら、あきらかに緊張している弥生の気持ちをほぐす様に、ニッコリと笑いかけてみる。自分自身も内心緊張しっぱなしだったけれど、先生にいろいろ指導を受けたお陰で以外にも自信がついているようだ。
「向こうに行けば案内役がいるから、その人と話し合いながら動いていれば大丈夫。何にも心配はいらないから」
「うん、ありがとう。私の方も案内役いるから…そいつがいろいろ瑞樹の知りたい事知っているからね。聞きたいこといっぱい聞いて」
「ありがとう。私も不安だったのよ、それを聞いて安心したわ。そうそう、案内役の名前教えておくわね。『杉山大和』私の彼氏よ」
「彼氏?あっ、パートナーの事ね。わかったわ」
「そうか…彼氏って言うのも無いんだ。まあ、パートナーでもおんなじよね」
「こっちの用意したのは『相沢睦月』。結構使えるパートナーよいろいろな事に詳しいし、私の中では珍しく別格かな?それにこっちの事情は全部わかってるから」
睦月さんの説明をする弥生の頬がすこし赤い。彼氏彼女と言う表現は無いにしても、弥生がその人に好意を持っているのは確かのようだ。
「弥生の話からすると、その人とってもいい人みたいね。会うのが楽しみだわ」
私が言うと、弥生はその言葉に嬉しそうにニッコリと笑う。
「それにね、睦月は私よりあの世界のいろいろな事調べているの。だから、ずっと頼りになるよ」
「了解したわ。睦月さんを頼りにさせてもらうわ。弥生も大和を頼ってあげてね…あっと、でも上田先生の事は内緒にしてくれる?」
「内緒なの?」
弥生はちょっと驚いている。信頼しあっている中にも、秘密にしている事があるのが驚きなのだろうか。
「本当は大和にも話しておきたかったんだけど…上田先生がどうしても嫌だと言うのよ。あんまり人との交流が好きではないから、大和だけでもって言っては見たんだけど、『それなら教えん』とまで言われちゃってね。あっ、でも。弥生には会ってくれるって言っているから、安心してね」
「えっ、じゃあ上田先生のところに行く時は私一人で行くの?」
急に弥生の顔に不安の色が見える。
「大丈夫よ。私の着ている服のポケットに、上田先生の詳しい事を書いた紙が入っているし、その紙に書いてある時間に、タクシーが家の前まで迎えに来てくれる事になっているから。それに乗れば問題ないわ」
「そっか、だったら内緒にしておく。でも、口が滑っちゃったらごめんね」
「大丈夫よ。大和は私じゃない事わかっているから、内緒があるってわかっても怒らないし、そんなに心の狭い人でもないわ」
「うんわかった。後は大丈夫かな…お互い説明し忘れてる事ないよね?」
「そうね…たぶん大丈夫よ。それに事情をわかっている人がお互いいるんだし、なんとかなるわ」
私達はどちらからとも無くお互いの顔をみながら、力強く頷いた。
「じゃあ、始めましょう。と言っても、変化させてみるのはもう簡単だし、一気に姿を交換するわよ」
「了解。瑞樹に入るってとっても緊張。でも…すっごく楽しみ」
「じゃあ、一・二・三で姿を変えるわよ。一…二…三!」
最近はここまでは簡単に自然になっている為、難なく私達はお互いの姿に成り代わる。しかし…問題はここからだ。たぶん時間的に、もうすぐお互いの鈴が鳴る。いつもであれば自分の鈴に耳を傾けて、その音に引っ張られるように自分の身体へと帰る。でも、今日はお互いの鈴に耳を傾けてお互いの身体に帰らなくてはならない。それが出来れば今回のミッションは成功と言えるだろう。
その時だった。両方の鈴が鳴った!私はいつもと違う鈴の方に耳を傾ける。この音だ!これが弥生の鈴の音だ。
「弥生、私行くね」
「うん、私も行く。睦月によろしく!」
会話を交わした途端に、私達の身体はいつもと反対の方向に引っ張られた。
成功だ!今私の身体は…いや、アストラル体は弥生の身体に引っ張られている。たぶん未来にあるであろう、弥生の世界へ…私は祈った。弥生が無事でありますようにと…。
誤字脱字がありましたらごめんなさい




