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計画

「久しぶりだね、仕事以外でこんなふうに会うの」

会うなり優しい笑顔で、私の頭を撫でてくる。私的には頭を撫でられるのが好きなので、なんとも思う事もないが、傍から見れば子ども扱いしているように見えるのだろうか?そんな事を考えてみるが、久しぶりのプライベートでの大和に、私も笑顔になる。

「ごめんなさい。私もあれからいろいろな事があって…ちょっと忙しかったの」

「みたいだね。最近会社もたまに休んでいるから、よっぽど忙しいんだろうなと思って、ちょっとデートに誘うのも遠慮してたんだ。で、何か進展があったって事かな?」

「うん…本当にごめんなさい。今までたくさん協力してもらっていたのに、動き出した途端に話をしなくなっちゃって。話さなくちゃって思っていたんだけど、ちょっと修行と言うか勉強と言うか、居ても立ってもいられなくなっちゃって…」

「修行?」

通常ではあんまり聞かれない言葉を私が使ったので、大和はその修行の言葉に反応した。そうよね。普通の人は修行なんてなかなか無縁よね。

「そうなの。アストラル体を変化させる修行をしていたのよ。だから今ではもう完璧に使いこなせるわ。自分でもびっくりするくらいよ」

「へ~それは見れるものなら見てみたいね」

大和は興味津々で、私の話に耳を傾けてくる。私も自分の修行の成果が見てもらえるものなら、見せたいわよ。でも…大和に私の姿が見えたのはあの一度きりなのよね。

それに、実のところ上田先生に先生の事を、他の人に話す事を止められていて、説明できないのも事実なのだ。

「見せてあげたいけど…大和には見えないものね。それとね、弥生にも会うこと出来たのよ。ちょっとコツがあったのよ。それがわかっただけでいつでも会える様になったわ」

「って事は、いよいよ身体の交換の実行ってことかい?」

「ほんとうはね…すぐにでも実行したいわ。でも、弥生の方の準備もあるし、もう少し私の方も向こうに行った時の計画を立てなくちゃなのよ」

「そうなのか…で、いつごろに実行するんだい?」

「たぶん一ヶ月くらい先になっちゃうんじゃないかしら?弥生がその方が都合がいいみたいなのよね。理由はよくわからないんだけど」

本当は知っているんだけど、ちょっと言い難い理由だったので、大和にはすこしうそをついてしまった。ごめんね…先生の事も口止めされていて話せないし、弥生の事も…全部が終わったら話せない事も話すからね。

「あっ、そうだ。その事でお願いがあるの。弥生が私の身体でこっちに来た時に、案内役をやって欲しいの大丈夫かしら?」

「瑞樹の姿の弥生ちゃんと、デートすればいいのかな?どんなところを案内しようか」

大和が私に意地悪をするように、聞いてくる。やきもちでも焼かせたいのかしら?だったら…

「う~ん、そうね。親子関係が分かりやすい場所とかがいいのよね…デート感覚でって言うなら遊園地なんてどうかしら?」

「おいおい、本気でデートでいいのかな?」

「デートしたいんでしょ?弥生の私と」

「ごめんな…本当に冗談だって」

「ふふっ、大丈夫よ。私は弥生にこっちの恋愛とかの事情も教えてあげて欲しいの。向こうでは恋愛と言うよりも、交配が主みたいだから…」

「結婚とかも無いのかい?」

「だって、子供育てる必要がないじゃない。それだったらあんまり結婚とか意味無いでしょ。だから家族とかを知らないし、親子とかの感情も無い。それに一人に決めちゃうと、交配するのに支障があるみたいよ。毎回三人と交わるんだから…」

「おしどり夫婦とか言葉があるみたいに、鳥はペアになるってイメージが強いんだけどね…」

「大和も鳥の専門家なんだから知ってるでしょ。そう見えるだけって」

「うん、わかってる。おしどり夫婦って言うのは見た目だけだってね。それが種を護る為の鳥の手段なんだろうね」

「そうね…そう考えると、弥生の世界も理に適っているところもあるのよね。でも、親子関係が存在しないのは、自然に反しすぎよ。だからこそ、親子って言うものを感じて欲しいのよ」

「そこは瑞樹の中で揺るぐ事がないね…」

「そうね。私の信念が、何かを変えられるなんて思っていないけど、それでも少しでもいい。何か変化があれば…蝶の羽ばたきが、離れた場所で嵐がおこるって言うでしょ。私の行動がその蝶の羽ばたき程度でもいいの。何かのきっかけにさえなってくれればね」

「バタフライ効果だね…そうだね。君の蝶に賭けてみるのも悪くないかもしれない」

「うん。だからその時は、弥生の事お願いします。それに私の身体だから…私が無事帰ってくる為にもね」

「了解。こっちの事は僕に任せておいて。いろいろなカルチャーショックを弥生ちゃんに体験させてあげるよ」

「カルチャーショックって…ふふふ、まあいいわ。ありがとう。そしてよろしくお願いします」

私は座ったままではあったけれど、テーブルに頭をぶつける様に頭を下げ、大和に自分の中のめいいっぱいの礼を尽くした。

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