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第17話 恐怖!アーシャの種族、その名はラウム!

■大解剖!アークシャイン7つの能力!

①超科学の粋『ビーム』による無重量ブレード

 分かりやすく言えばライ○セーバーだ!

 無重量で、かつ分子レベルで切断し焼き切るため本来切断武器の使用に必要な『筋力』が要らず、女性や子供でも扱える超危険な剣だ!

 なお刃の大部分を構成する光子に質量がほぼ無いため、ライ○セーバーのように受け太刀とかは基本できないぞ!

 極めつけに、太陽光で動く! 維持コストのかからない、軍事費に親切な凶悪兵器だ!

 シャインソーラーのメイン武器だったが、義堂ハルカに奪われてしまったぞ!


②宇宙の圧力! 『超水鉄砲』

 ただの水を発射する兵器だ!日本ならいつでもどこでも安価で弾薬が調達できる夢の武器だぞ!

 真空とかを色々利用したその威力は普通に人体を貫通し、下位アビスの甲殻や爪も破壊可能だ! 水なので自然にも優しいぞ!

 シャインマーキュリーのお気に入りだ!


③対アビス最強の情報力『感知能力』

 これは科学じゃなく、普通にアーシャの能力だ! アビス粒子が放つ微弱な『波』を感知し、怪人の出現場所をシャインジャーへ指示するぞ!

 機械へ移植した劣化版探知機はシャインマーズが持っているぞ!


④対アビス地球人用護身術『シャインアーツ』

 『爪と牙、外殻を持った2メートル越えの人型の敵』から素手で逃げ切ることを想定した格闘術だ!

 戦う、ではなく逃げ切る、だ! 毛も甲殻も無い全身弱点だらけの人間は、全身刃物同然の筋肉達磨であるアビスには絶対に勝てないぞ!

 これの才能はシャインヴィーナスが発現したぞ!


⑤対アビス重装備対衝撃・斬撃装甲『アークアーマー』

 アビスの攻撃を防ぐ目的で作られた甲冑だ!

 厚さ0.8㎝の全身鎧で、重さは200kgもあるぞ!

 その重量のため、機動力が落ちるので装着者はシャインジュピターのみ! 彼は戦闘でアビスの攻撃を一身に受け止める「タンク」の役割だ! 攻撃は防げるが衝撃は中に通るので、誰にでも着せて良いものではないぞ!


⑥これだけあれば他の能力は全部オマケ! 最強の移動能力『ワープ』

 奇襲、撤退、諜報、なんでもござれ! 無敵の能力だ!

 能力移植をして世界中に展開させた『ワープ装置』と、精神の波長を合わせた個人のみ対象とする『ワープバイク』など種類があるぞ!

 現在純粋なワープ能力者はアーシャの肉を喰らって奪ったボルケイノ、アーシャと血の契約をしたパニピュアの合計3人だ!


⑦これがなければ何も始まらない! 能力も道具もすべて使う者の意思次第! 『正義の心』

 自己犠牲と信頼。それを軸にアーシャの文明は発展を遂げたぞ!

 何が正しく、何が悪いかは『集団の目的や都合』によって可変だ! 人間にとって悪いことでも、アビスにとっては正義となるのが今回の侵略だぞ!


 なおこれら兵器は非常に強力だが、地球での生産コストや素材の入手難度的に、量産はできなかったぞ!


――


『現在、我々は内戦中だ』

「えっ……」

 数日後。

 一段落着いた彩は、クリアアビスへ連絡を取った。そこで聞いたのは、クリアアビスの問題であった。

『我々を「旧世代派」と呼ぶ、自称「新世代派」による武装蜂起により、我々は二分された。元々数が少ないこともあり、生存者はかなり減ってしまった』

「……旧世代派?」

『スタアライトの姫。お前はアークシャインの種族を知っているか』

「ううん。詳しくは。アビスに敗けた種族でしょ?」

『そうだ。我々を地球の言葉で「アビス」と呼ぶなら、奴等は「ラウム」と言う』

「ラウム」

『奴等ラウムは、我々と同じく精神をエネルギーとしている。我々と同じく、こうして精神の相互干渉ができる』

「うん」

『だが奴等は、我々のように「貴族・市民・奴隷」と分かれていたりはしない。全てが対等なラウムだ』

「そうなんだ」

 彩は、初めはこの話が内戦とどう関係するのか分からなかった。ただ聞いていた。

『そうするとどうなると思う?』

「?」

『全ての人間が、全ての人間の心を見ることができる』

 彩は想像した。

「……やばいと思う」

『そうだ。控えめに言っても戦争が起きる。とても平和な世は作れない。繁栄もしない』

「……だからアビスは、階級を分けて支配するんだ」

『そうだ。少数の、信頼に足るアビスが、多数の下位アビスの精神を支配する。奴等も例外ではない。それに「相互干渉」はお互いが波長を合わせなければできないが、ラウム同士は意思に関係なく強制干渉する』

「皆対等なら、誰が支配するの?」

『誰も』

「……??」

 誰かが支配しなくてはならない。しかし、誰も支配しない。

 なのに、文明は発展した。矛盾している。と彩は思う。

『ラウムは、「群体」だ。つまり「個」が無い。王族という「脳」だけ分けて、後は「体」。どれだけの数が居ようが同じ思想の持ち主しか産まれない。一枚岩なのだ』

「え……それって……」

『産まれた瞬間に「ラウム」という種族に支配される。そしてラウムの人形と成り下がる。そこに自由意思は無い。独裁国家ならぬ「独裁種族」なのだ』

「…………」

『独裁は、完全なる平和を実現させる。自由意思が無いということは、争いを生まないことだからな』

「……でも」

『そうだ。我々や、現地球人類にとってそれは生きていると言えない。機械のように淡々と世代交代を繰り返すのみ。まさしく人形の王国』

「でもそれが、内戦と関係があるの?」

 ラウムはもう滅んだ筈だ。それを含んだ質問を投げ掛けた。

『我々は繁殖能力が低い。滅ぼした文明の雌を使って繁殖する』

「あっ」

 彩はようやく気付いた。その『新世代派』というものの正体に。

『そうだ。アークシャインの姫……「個体通称アーシャ」を始めとした、「ラウム」を母親に持つ子供達。奴等はラウムの意思を受け継いでいる』

「……じゃ、ラウムともう一度戦争してるってこと?」

『少し違う。奴等はラウムの支配下にありつつ、自分達をアビスだと自覚している。アビスの三階級体制に反発し、より良いアビスの枠組みを作ろうとしている。……ラウムの「独裁平和」をアビスで実現しようとしている』

「……どうするの?」

『駆逐するしかない。奴等の支配は遺伝子レベルだ。個体アーシャが死んだ今、どうやっても正気には戻せない』

「……大変だね」

『まあ、こちらはなんとかする。問題はそちらだ』

「えっ?」

『報告を聞いたぞ。「ラウムの血を摂取した子供の戦士」? 「個体アーシャの羽根を喰らったハーフアビス」? ……そんな危険な存在が地球に居るわけだ』

「!!」

 彩は思い出した。ワープ能力を得たボルケイノが言った言葉。『種族の為に尽くす』と。

『奴等にとってのエクリプス以上に、我らにとってのラウムが脅威だ。今まで個体アーシャに対しては問題視していなかったが、今回の内戦で我々の「地球帰還」の緊急性と優先度が跳ね上がった』

「……どうしよう?」

『個体ボルケイノはすぐに殺せ。ワープ能力は惜しいが、個体ハルカの覚醒が近い。彼女が覚醒すればワープはもう要らぬものとなる』


――


 その通信が終わり、彩はしばらく考えていた。アークシャインはそれほどまでに厄介だったのかと。

「姫」

「!」

 ボルケイノだ。その声にびくりとしてしまった彩。恐る恐る振り向くが、彼はいつもと変わらない様子であった。

「テレビを」

「え」

 彩はリモコンを手に取り、テレビを点けた。いつものニュース番組である。

 そこには、ある場所で大勢の人達が集まっている場面が流れていた。


――


「……戦争反対ー!」

「情報を公開しろー!」

「宇宙人を追い出せー!」

 怒号が飛び交う。大勢の市民は、どこかへ向かって列を組み、叫びながら歩いている。所謂デモ活動だ。

「戦争屋のアークシャインを止めろー!」

「情報を公開しろー!」

「俺たち国民には知る権利があるぞー!」

 彼らが掲げる旗や横断幕には、『侵略反対』『宇宙人は要らない』『国家の責任を果たせ』などが書かれている。

「戦争反対! 侵略反対!」

「知る権利! 知る権利!」

 デモ参加者はざっと1万人を越えている。多くは若者だが、中には子供を連れた母親と見られる参加者も居た。

「戦争反対! 侵略反対!」

「知る権利! 知る権利!」

 果てしない行列は、国会議事堂とアークシャインの基地と思われる場所の2ヶ所へ向かっているようだった。


――


『……現在国会議事堂前はデモ参加者で埋め尽くされています。警察の発表によると参加者は2万人弱と見られ……』

 それを見た彩は驚いたが、すぐに笑みを浮かべた。

「……良いね。パニックだ。人間は自分で自分の首を絞めている。チャンスだね」

「理解しがたい行動だ。これになんの意味がある?」

「日本人は平和だからね。意味が無いことに気付かないんじゃないかな」

 彩はすぐに行動を起こさず、しばし成り行きを見ようと考えた。このまま人間が自滅してくれれば、それに越したことは無いのだ。


――


「くそっ! これじゃ、基地から出られないぞ!」

 猛る拳を基地の壁に叩き付けたのは、シャインジュピターこと小野塚浩太郎。

 彼らは現在基地に釘付けにされていた。

「侵略反対と戦争反対ははっきり矛盾してるだろ! 侵略してくるから戦わざるを得ない訳で、戦争なんて俺らも反対だっつの! 知る権利? 情報公開したら街に潜むアビスにも筒抜けだろ! それが原因で太陽は暗殺されかけたのに!」

「待って浩太郎」

 その拳を優しく掴んだのは、ひかりであった。

「それ以上はよしなさい。彼らは守るべき人類よ」

「……っ!」

「地に堕ちた英雄。ヒーローの失敗例。ただの戦争屋。……世間での私達の評価よ。それは受け入れなければならない」

「……だがっ!」

「さっき博士から聞いたけど、政府から通達があったわ。『もう各国の支援も期待できない』と」

「!?」

「当然よね。合衆国の都市機能も半壊してるし、今の私達には力が無い。アーシャの損失は、世界からの信用も落としたのよ」

「だとしたら……誰が人類を守るんだよ」

「もう1回テレビ見たら?」

「は?」


――


『……緊急ニュースです。本日日本時間の23時頃から、アメリカ政府より重大発表があるとのことです。その会見は、世界中で中継されます。内容は、怪人問題についてです。繰り返します……』

「……重大発表だと?」

「取り合えず待ちましょう。もし、アメリカに技術協力で預けていたアーシャの兵器が量産可能になったとしたら、私達以外の戦力が増える」

 不安。

 『人類のヒーロー』シャインジャーの敗北、『正義の天使』アーシャの死亡、『国際組織』アークシャインの壊滅……そして合衆国の都市機能半壊。

 人々はこれまでにない不安を抱えていた。




――舞台説明⑭――

 今更ですが、アークシャインは日本政府が主体となって援助していました。

 『軍隊ではない軍隊』。シャインジャーの役割は世界的にとても重要だったのです。

 アーシャの言う『平和』『正義』が地球とずれていたのは、ラウムの影響でした。

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