この物語のいく先は。
大好き
そう思ったことはありますか。
そう思える恋をしたのなら。
最後まで大好きって思える恋なら
列車は自動停車します。
1
時代は私の小学六年生。
四月の最初の席替え。
黒板に席順を表す表が貼ってあった。
「私の席どこだろう?」
「見つかんねー」
そんな喧騒の中表を見ようと背伸びする。
彗月、彗月……
うーん、なかなか見つからない。
だんだん脚が痛くなってきた。
「沙秋ちゃん、前の方でどんまいだね。」
脚が痛くなって背伸びするのを休んでいたら、愛里ちゃんに言われた。
「え、うそでしょ。」
もう一度伸び上がる。
休憩してた脚がびっくりして一瞬脚がつりそうになる。
バランスをなんとか保ちながら前を見てみると確かに、確かに教卓の目の前の席に彗月の名があった。
隣がきになる。
前の方も空いてきたので 表の目の前に立つ。
隣は…佐藤優也
いいなあ、読みやすい名前で。
100人中100人が読めるよ、この名前。
ちなみに彗月沙秋は、はづきさき、と呼ぶ。
まず、読めない。
新しい先生に初めて名前を呼ばれるときはどう間違われるかが見ものってくらい。
めっちゃ間違われます。
先生が入ってくる。
慌てて席に着いた。
隣を見る。
話したことがない子だった。
黒縁メガネのガリ勉ですって顔。
真っ黒で少しだけふわっとしているくせっ毛が神経質そうな顔を包んでいる。
私よりちょっとだけ低い身長。
でもモヤシのようにすらっとしている体。
「よろしくね。」
人見知りの私は少し小さな声で囁く。
「よろしく」
もっと小さい声で佐藤君が呟いた。
同じく人見知りらしい。
「あ、席替えしたんだ〜。席さっさと座れよ〜」
先生が辺りを見渡す。
さあ、どうなることやら




