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学園戦争  作者: ♤Spade♤
1/1

プロローグ 〜白夜〜

 2043年。日本は世界でトップクラスの発展国となり、全ての貿易を禁止し、鎖国と化した。

 それは2031年、日本に隕石が落下した。その隕石には地球外生命体「ナノストーン」が含まれたものだった。

 ナノストーンは、強力なエネルギーを生み出すことが可能で、どんな化石燃料をも上回るエネルギー量で、後の実験で、ナノストーンのエネルギーの量は、日本全国が毎日フルに使ったとしても約7000億年保つことができるほとだ。

 そして、その莫大なエネルギーを奪い取ろうと他国から戦争を仕掛けられる可能性がある。だから、日本は新たに武力を持つことを決断したのだ。


 ***


 2047年。鎖国化から4年。ある少年は東京へ来ていた。その少年は髪が日本人とは思えない白髪で制服を着ていた。

「今日から高校生か」

 僕は鬼竜白夜。今日から星条学園の生徒だ。

 星条学園は日本一の軍事科の学校である。日本は鎖国化してから、高校に普通科、技術科、そして軍事科という科目を追加した。

 軍事科とは、ナノストーンをめぐった戦争に備えるために軍事勢力を育てる場である。

 僕は立派な兵士になるためにわざわざ愛知から東京に引っ越してきたのだ。

 僕は鞄から地図を取り出し北を合わせてからどちらに進めばいいのか確認した。

「ええっと…。この突き当たりを右で、その二つ目の信号を……っうわぁ!」

 地図にずっと目を落としていたせいで気づかなかった。僕は制服を着た少女とぶつかり尻餅をついた。別に痛くはなかった。と、そうではなく、僕はすぐに立ち少女の方へ駆け寄る。

「あ、あの、すみません。大丈夫ですか?」

 少女は頭を抱えながら言った。

「う、うん」

 少女は髪が水色で、腰まで伸びている。背は自分より少し小さいくらいだろうか。

「あ、その制服…」

 少女は自分と同じ星条学園の制服を着ていた。ぶつかってその少女は同じ学校の人でしたとか、どこのアニメだよ!

「あなたも星条学園の生徒なんですか」

 少女は何も答えずにジーっと見てくる。

「な、なんですか?」

 ジーっと見てくる。

「なんか顔についてる?」

 ジーっと見てくる。

 僕はキリがないと思い、少女の横を通って学校の道を歩き出した。

 そしたら後ろから金魚の糞のようにその少女もついてきた。

 なんなんだこいつ…

「どうしたの?」

 返事なしっと…

 僕はハァっとため息をついてから少女に言った。

「もしかして、道分からないの?星条学園」

 少女は顔が赤くなりうつむいた。ビンゴだ。

「なんだ、それならそうと言ってくれれば良かったのに」

「ち、違うもん!」

 たく、往生際が悪いなぁ。

 僕はキリがないと思い、

「まぁどっちでもいいや。あまり誤解を生むようなことはしないでね」

 そう言うと、少女はこくりと頷いた。

 歩き出したらやはりついて来るのだった。


「うぉお!これが東京の学校か!でかい…」

 僕は学校を見て絶叫した。校舎は四、五棟程あり、一つ一つ5階まである。グラウンドは無く、その代わりによく分からない建物がズラッと並んでいる。

 まわりには同じ星条学園の生徒達が校舎へ向かっていた。

「僕達も行くか」

 僕はそう少女に言った。少女はやはり後ろからついてくる。

「そう言えば、君、名前は?」

 少女はうつむき、ハァっと深呼吸をしてから言った。

「…オン」

 ちっちゃ!なんて言ったか分からなかった。

「え?なんて?」


「シオン!」


 最初からそうしてくれよ…え、でも…

「シオン?外国人?」

「志恩。志に恩人の恩」

「あぁ。そういうことね。分かった」

 シオンはこくりと頷く。

「僕は鬼竜白夜。これからよろしくね」

 僕がよろしくと言うとシオンは急に目つきを強張らせ、予想外の事を口にした。

「よろしく?ふざけないで。ここは戦場なのよ。馴れ合わないで」

 その言葉を聞いて絶句するほかなかった。さっきとは全く違うシオンの表情と言葉に僕はその場に立ち尽くした。

 そのまま沈黙が続き、その沈黙を破ったのはシオンの方だった。

「ここまで案内助かったわ。私はもう行くから」

 そう言い残すとシオンは歩き出した。

 戦場?確かにここは軍事科で人と戦うけど、こんなのはおかしいんじゃないか…

「ま、まって!」

 シオンは歩くのをやめ、迷惑そうにこちらを見つめてくる。

「な、なんでもない」

 僕はシオンの気迫に負けて、何もいう事ができなかった。

 シオンはまた前を向いて歩いていってしまった。僕は言えばよかったと思ったが後の祭りだ。

 そして僕も気を引き締めてから校舎へ足を踏み出した。


 入学式。今体育館らしき建物の中で入学式を

 行っている。入学生は千人ほどと言われている。僕が中学の時でも全校千人もいなかったぞ。

「星条学園生徒会長、正道帝さん。よろしくお願いします」

「はい!」

 上がってきたのはとてもイケメンずらの人だった。この学校は戦力がものを言うので、あの生徒会長は相当の強さなのだろう。遠くからでもその気迫が伝わってくる。

「入学生の皆さん。星条学園への入学、おめでとうございます」

 そのまま生徒会長の話が眈々と続き、生徒会長がれいをして舞台を出ていった。

 それからもこれからの学校生活についての話が続いて、やっと入学式は終わった。


 入学式が終わり、生徒達は明日の予定を配られ、すぐ下校となった。

 クラス決めは明日の能力テストとやらの結果で決めるらしい。クラスというか、班みたいなものだ。

 一班4人の班らしい。それも一人一人役目があり、前線の二人「アタッカー」中距離からの攻撃「サポーター」遠距離からの精密射撃「スナイパー」の三つが大まかなものだ。他にもいろいろあるが、僕が今覚えているのはこのパターンくらいだ。

 あと、能力テストというのは、その名の通り、戦闘能力のテストである。これはこの一年の生活に関わるとても重大なテストだ。ヘマをおかすわけにはいかない。

 一体どんなテストがあるのかというと、「短距離走」「持久走」「動体視力」「瞬発力」「判断力」「射撃」「剣術」「対人戦」の八種類だ。一番大事な対人戦は、今までのテストの合計点数が近い同士戦い合うテストだ。


 僕は迷っていた。一体どこに引っ越したアパートがあるのかが分からないのだ。親の携帯にかけても何故かつながらないし、地図も意味不明で、完全に積んでいる。

 もう諦めかけたその時、

「助けてぇえ!」

 前の方から悲鳴が聞こえてきた。

 僕は助けるか一回ためらったが、朝みたいに後悔すると思い、恐怖をおさえながら声のした方向へと走り出した。


「やめて!お願い離して!」

「暴れるなよお嬢ちゃん」

「静かにしたら話してやってもいいぜ?」

 駆けつけると、そこには一人の女の子と二人の男がいた。

 はやく助けないと彼女が危ない!

 僕は叫ぼうとした。しかし、

「や…………め………?!」

 声が……出ない。

 声だけではない。足もガタガタ震えて身動きがとれない。気持ちでは助けないといけないって思っているのだが、心の隅で途轍もない恐怖を感じているのだろう。

「くそ!」

 僕はポケットの中に偶然入っていたペンを取り出した。そしてカチッとペンの先を出すと真上に振り上げ、自分の太もも目掛けて振り下ろした。

 グサ…

「あぐ!い、痛い!」

 痛い。途轍もなく痛い。でも足の震えも治まり、声も出る。

 僕は深呼吸をすると男達に向かって叫んだ。

「や、やめてあげなよ!嫌がってるだろ?」

「んだこのクソガキ!」

 男達は僕に向かってギランと眼を飛ばしてきた。でも怯むわけにはいかない。

「だ、だから、彼女を離してあげてよ!」

 男達は僕の方につたつたと歩いてきて、

「ぐはぁ?!」

 腹部に衝撃が走った。男の一人が僕の腹に向かって殴ったのだ。

 拳は僕の腹にグリグリとめり込み、意識が飛びそうになる。

 ここで倒れたら何も解決しない!

「うぉぉおぉォオオオ!!」

 僕は渾身の一撃を相手の頬に向かって叩き込んだ。男の頬はザラザラで、何日もろくなものを食べていないのだとすぐ分かった。

「うぅお?!」

 そのまま男は尻餅をついた。その瞬間僕はその男を飛び越え彼女の方へ駆け出した。

「だ、大丈夫ですか?」

 彼女はまだちょっと怯えている。

「あ、あなたは…」

「今は逃げるよ!」

 僕は彼女を抱き抱えると、急いでその場を逃げ出した。

「おい!こら!待ちやがれぇえ!」

 男達が叫んでいるが今は無我夢中で走り続けた。


「ハァ…ハァ……だ…大丈夫?」

 彼女を見ると少し顔を赤く染めていた。

「顔赤いよ?熱でもある?」

 しかし反応なし。でもよかった逃げ切れて、思ったより男達は足が遅かったのだ。まぁあの頬の痩せ具合からして全然栄養をとっていないからだろう。

 僕は改めて彼女の方へ顔を向け、

「え、えっと…君、名前は?」

 彼女はうつむいていた顔を上げて、そのままボーッと前を見つめながら答えた。

「………岸嶺…千奈」

「岸嶺さんか…よろしくね」

 しかしやはり安定の無視か…

 僕はさっきまでは気づかなかったが、岸嶺が着ているのは星条学園のものだ。

「その制服…岸嶺さんって星条学園通ってるんですか?ぐ、偶然ですね。僕も星条学園なんですよ」

 岸嶺はコクリと興味もなさそうに頭を下げただけだった。

 僕が携帯を見ると、もう7時になろうとしていた。

 まだアパートも見つからないし、一体どうすれば、

「岸嶺さん。このアパートってどこにあるか分からない?実はここに引っ越すことになったんだけど場所が分からなくて」

 岸嶺さんが知ってるとは正直思わないが、もう他にも聞く人もいないし駄目元で聞いてみた。

「知ってる」

「え?!」

 予想外だった。

 僕はびっくりして、変な声が口から漏れてしまった。

 僕は一つ咳払いすると、岸嶺の方に向き直って言った。

「あ、あの…できれば案内してくれると助かるんだけど…いいかなぁ」

 岸嶺はコクリと頷き立ち上がった。

 すると岸嶺は東の方向へと歩き始めた。

「あ、ありがとう。ホント助かるよ」

 しかし、やはり最後も安定のスルーなのであった。


「ここ」

 そこはそこまで大きくもなく、東京にしては地味すぎるアパートだった。

 アパートは二階建てで、一階ごとに五つ扉がある。僕の部屋は二階の一番奥だ。

「ありがとう。ホント助かったよ。それじゃぁまた明日」

 僕はアパートの階段へと歩き出したのだが、さっきから僕の後ろで足音が聞こえてくる。気にせず僕は階段を上がり、一番奥の扉へ向かった。

 扉に着くと、僕は鍵を取り出してドアノブに刺し込んだ。

「「ガチャ」」

「え?」

 僕が鍵を開けるのと同時に隣からも鍵を開ける音が聞こえてきた。

 僕は隣の方に視線を動かした。

「岸…嶺……さん?」

 僕の部屋の隣で鍵を開けていたのは岸嶺だった。岸嶺は「ん?」と首を傾げこっちを見つめてくる。

 僕は状況をしっかり認識してから岸嶺に言った。

「き、岸嶺さんもこのアパートだったんだ…ぐ、偶然だね」

 岸嶺はスルーするとそのまま部屋の中へと消えていった。

「マジか……」

 僕はため息をついてから扉を開けて部屋へと入った。


 能力テスト当日。僕はトランスルームへと来ていた。

 トランスルームとは、僕たちが軍事訓練を行う「仮想世界」へとダイブするところだ。言い忘れていたが、軍事科の訓練は現実世界では行わず、膨大の広さの仮想世界で行うのだ。

 しばらくしてから、前の方にパネルが浮かび上がってきた

「私はお前達の教官を務めることとなった遠藤だ」

 遠藤と名乗る男は、顔は分からないがなかなか怖そうだ。

「今からお前達はここに並んでいるトランスレーターを使い仮想世界へとダイブしてもらう。使うものは生徒手帳に書いてある自分の番号が書いてあるものを使え」

 トランスレーターとは仮想世界へとダイブための車より二周りほど小さい機械である。

 僕は生徒手帳を確認した。

「320番か…」

 僕は320番を探し歩き始めた。

 運良くすぐ見つかり、早速トランスレーターに乗り込む。

「乗り込むとタッチパネルが現れるはずだ。特に何もいじらずにリンク開始ボタンを押すんだ」

 言われたとおり、目の前にパネルが現れた。なんか色々とあったが何もせずにリンク開始ボタンだけを押す。

 すると一気に意識が遠退き、視界が真っ白になった。


「これは…」

 目覚めると、周りは大自然に囲まれた平原となっていた。それと、自分の服装が動きやすい物へと変わっていた。

 他にも続々と生徒達がダイブしてくる。

 五分後、また長官の声が聞こえてきた。

「全員集まったな。では、これより能力テストを開始する!」

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