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7人のろくでなし勇者  作者: えこーと
1/6

1-勇者召喚

7人のろくでなし勇者を読んでいただきありがとうございます。

初心者なので誤字脱字、書式間違いなどのご指摘、感想を頂けると嬉しいです。

更新は少なくとも3話までは一日一回ペースでいきたいと思います。

 王国大聖堂の穢れなき白の広間。

 魔法陣の上に5人の男と2人の女、計7人が倒れていた。

 一人が目覚め、起き上がろうとする。

 するとそれが呼び水になったかのように、次々に7人は覚醒する。


 ここはどこ?

 どうして自分はここに?


 7人の誰しもがそう思い、ついで複数の人を発見する。

 広間から上へ伸びる大階段。

 一目見て王と分かる人物と、聖職者、高官、騎士と思われる人がこちらへ向かってくる。


「ようこそ、勇者達」


 王は自分達7人に声をかける。


「ここはどこなんです?貴方達は?それにどうして俺達が――」


 王に答えたのはこれから光の勇者と呼ばれる者だ。

 他の6人も聞きたいことは一緒だった。


「ふぉっふぉっふぉ、慌てずとも一から説明しよう。勇者達、お前達はこことは別の世界から呼び寄せられたのじゃ。魔族を討つために」


 7人は現代の世界からそれぞれ呼び出された勇者達らしい。

 光の勇者、星の勇者、聖の勇者、剣の勇者、魔の勇者、大地の勇者、天の勇者。

 この世界はまるでゲームのようにステータスやスキルが存在するファンタジー世界。

 そして東の大陸には人類を脅かす魔族がいる。

 魔族を倒し、世界に平和をもたらすのが勇者の使命。


「俺達が元の世界に帰るためにはどうしたらいいんですか?」


 問うのは大地の勇者。


「ふぉっふぉっふぉ、人に仇名す魔族を全て討伐すればよい」


「全ての魔族?魔族を統率している――魔王などはいないのですか?」


「ふぉっふぉっふぉ、今は、おらんな。昔はいたようじゃが。既に倒れておる」


 大地の勇者は王の返答にあまり納得していないようだ。

 しかし王はすぐに話題を変えてしまう。


「ふぉっふぉっふぉ、わしの話が真実だと知ってもらうためにも、まずは自分のステータスを確認してもらおうかの」


 王はステータス画面の呼び出し方と項目の説明を始める。

 ステータスを呼び出すためには『ステータス』と頭で強く念じればいいらしい。

 言われるまでに光の勇者はステータスを確認し、他の勇者達も後を続く。




名称:光の勇者

レベル:1

称号:勇者


スキル:

勇者加護、勇者超能力、勇者冒険術、勇者交流術、勇者復活


術技:




「おぉ」


光の勇者はまず、王の言っていることは真だと実感する。

そしてレベル1ながら、自分が勇者としての能力を持っていることに、その強力さに感嘆する。

他の勇者達も似たような状況の中、一人違う反応を示している人物がいる。

剣の勇者だ。彼もまた自身のステータスをみたのだが・・・・・・



名称:剣の勇者

レベル1

称号:勇者


スキル:

最低剣術レベルUP(特大)、能力UP・体力・持久力・力・技・敏(大)、取得経験値UP(中)、剣技習得条件緩和(特大)

剣性能UP(中)


術技:

スラッシュ・ランク1




(な、なんだこれは。インチキにもほどがある)


 絶句しながら剣の勇者はスキルの詳細解説を見る。

 見たのは解釈が難しかった最低剣術レベルUP(特大)と剣性能UP(中)。




 最低剣術レベルUP(特大)

最低剣術レベルUPは、剣術レベルの最低値を上昇させる。

すなわちレベルや技能が低くても一定の剣の腕前を発揮できる。

何らかの方法で剣技術が減少してもこの一定の腕前は発揮される。

一方で、一定以上の剣技術を身につけると効果は発揮されなくなる。

(特大)の場合、最低剣術レベルは1000となる。


 剣性能UP(中)

剣性能UPは自身が使用する剣の攻撃性能と耐久度を向上させる。

(中)の場合、粗悪な青銅の剣でも良質な鉄の剣と同等の能力を得る




 またもや絶句、つまり剣術レベルは既にレベル1000相当であり、普通の剣でも持てば業物と化すのだ。

 剣術レベルというのがいまいちパッとはわからなかったが、レベル1000が弱いはずもないだろう。


「あの、皆さんのレベルを聞いてもよろしいでしょうか?」


 他の勇者ではなく、勇者達を呼び出したであろう王と聖職者、高官と騎士に尋ねる。

 剣の勇者の言葉に呼び出した者達は快諾し、答えてくれた。

 王はレベル120、聖職者はレベル190、高官はレベル130、騎士はレベル720。

 また騎士に「剣術レベルがわかりますか?」と追加でたずねる、彼は自身の剣術レベルを知っているらしく、590と教える。

 剣の勇者はさらに騎士に追加で質問する。


「すいません、貴方の地位、というか役職を教えて頂けると助かります」


 これにもあっさり答える騎士、彼は王室近衛騎士団長だという。

 つまり剣の勇者の剣術レベルは、王室近衛騎士団長の2倍ほどの剣術レベルということだ。


「ふぉっふぉっふぉ、剣の勇者殿は騎士に興味がおありなようで」


 王様の声は剣の勇者の耳には入ってなかった。

 それから剣の勇者は周囲をみて、その様子に何かをさとったようだ。


「・・・・・・」


「勇者殿?」


 剣の勇者が黙り込んだのをみて、騎士が呼びかける。

 それに応ずるかのように、剣の勇者は頭を上げて宣言する。


「悪いが俺はここを出させてもらう」


「「「は?」」」


 これには呼び出した者達だけではなく他の勇者も驚いた。

 その驚きに答えを返さず、剣の勇者は無言で大聖堂を出て行く。


「お、おい、なんで?」


「ヌルゲーすぎる。楽しくない。」


 剣の勇者は簡潔に答えた。

 後ろから他の勇者たちの声が聞こえる。


「待ってくれ!・・・なんて協調性のない奴なんだ」

「本当にここをゲームだと思ってるの?」

「なんなんだあいつは」

「ゲームと現実の区別があやふやになっているのか」


 剣の勇者は全て意に関せず進む。

 こうして勇者7人は異世界に召喚され、一人が別離した。

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