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トータルジャスティス1ー6

アイシャは今は亡き父親の声を聞いた。五年前、彼は歌舞伎町でその生涯を終えた。人造人間ホムンクルスから人類を守る為に。まだこの世界がホムンクルスに支配される前の話しだった。父親エラルドは彼女の心の深い場所にいた。エラルドが偶然、保護したホムンクルス。それがアイシャだった。




研究所には忍者カゲツが忍び込んでいた。彼もまた殺忍カゲツと恐れられた過去があった。ホムンクルスへの服従かアイシャへの友愛か。なぜかカゲツはその輪の中に加わっていた。




待機中のカゲツは考え事をしていた。





………俺はホムンクルスの傭兵部隊だった。あの日変わったのさ。人間を守る悪役に。それが過去への償いだった。この研究所も覚えている。地図も全て。だからアイシャを危険な目に遭わせたく無かった。ただそれだけだ。もう傷つけないと誓ったあの日。俺はヒーローなんてガラにも無い代物に憧れたのさ……………




[カゲツ聞こえる?任務を続行するわ][アア。聞こえてるさ][良かった。無事で。先ずは電力を落とすわ。それから30分。復旧までにかかる。その間に必要なデーターを盗み出す。電力は制御室で管理してるわ][なら、制御室を目指せば良いな][そうね。誘導するわ]




カゲツは制御室を目指した。




………おかしい。俺が来た時と違う。確かに地図は合っている。だがこの研究所。俺の知る物とどこか違うぞ………




アイシャの目前に少し先のビジョンが見えた。予知能力。彼女のホムンクルスの能力が少し先を伝える。





白い四角い部屋をカゲツが探索する。目の前に少女が現れカゲツは膝から崩れる。四方から兵に囲まれカゲツの残像が消える。




………これは?私に何を伝えようとしてるの?カゲツの身に危険が?…………




アイシャの見たビジョンは直ぐにわかる事となる。




[制御室に着いたぞ。兵はいるか?][扉の右に一人。作業員が二人。警備は手薄ね][潜入する。作業員は残しとく。操作をしたら殺るとしよう]




…あの少女は居ない。おそらくその先のビジョンね………




[バタン!動くな!手を挙げて壁に着け!][誰だ!お前は!][忍者カゲツ。貴様らの借りを返しに来た。利子は死を持って払え!]




カゲツの腕は炎の刀に変化し警備を切り裂く。



チャリーン。亡骸のポケットから鍵が飛び出る。[作業員!答えろ!これはどこの鍵だ!][チッ……地下実験室。第2世代の開発だ][ヨシ。電源を落とせ。今すぐだ][ワッ………わかった。ガチャン。頼む。命だけは。孫が居るんだ。わかるだろ?][わからん。ザクッ]カゲツは作業員を殺め、鍵を拾い、制御室の扉に爆弾を仕掛けた。





………これで良い。異変に気づけば来るだろう。後は自滅するだけだ。だがしかし、あの作業員。人間だったのか?許せ。お前の選択が間違えていただけだ。





アイシャの鼓動が高まる。先のビジョンは見えたがそれが何を意味しているのかわからなかった。




カゲツは自分の炎で周りを照らしながら地下に進む。長い螺旋階段の先に白い部屋が見えた。[ここか?地下実験室は。もうこれ以上犠牲者は出したくない。手短に済ますぞ]





アイシャはピンと来た。





…あの白い四角い部屋。間違いない。これを意味していたんだ…………




[カゲツ!聞こえる?その部屋に入ってはいけない][………ジージー………ザーッ][電波が届かない。彼に伝えなきゃ。間に合って]アイシャは崖を滑り降り研究所に向かった。





コツコツコツ。カゲツの足跡だけがこだました。




地下実験室は広いホールになっていた。



腕のモニターでカゲツを確認しながら研究所の奥に進むアイシャ。[クッ………もう無理!間に合って。父さん!もう失いたく無い]




バッと照明が当たる。カゲツはとっさに隠れ場所を探す。




[遅い!カゲツ君。せっかく目を掛けてやったのにとんだ茶番だ!][オッ………お前は!ジェイル将軍!][全く不良品の鏡よ。わからんのかね?最初からお前を誘きだす罠だと。上手く行きすぎだと思わんかね?全ては私のシナリオ通りだと][わかっていた。俺の勘が導いていた。お前への道を][その勘は死への道かね?命運尽きたな][尽きて無いさ。いずれ対峙する因果なら。今がその時だ][スペシャルなプレゼントを用意した。受け取れ!カゲツよ]ジェイルはピンと指を鳴らす。床から試験管が上がる。[見たまえ!君の罪を!大罪を!][………マッ………まさか!キッサマー!][クックックッ。知ってるのか?この中の者を。実に残念だ。良いサンプルにはなれたが奴は適合者では無い][黙れ!ジェイル!一度でもお前を目指した俺がバカだった。それが第2世代とやらの答えか!][おかしいな。ここは絶望にひれ伏すシナリオのはずだが。でないと美しく無い。人間らしく散るシナリオなんだがな。君は][少し話をさせてくれ。この少女と][構わんが。死んでるぞ]




[コツコツコツ。ミサ。君か。俺を再生してくれたマドンナ。俺は………俺は、君を守る為に味方を寝返った。一言、礼を言いたかった。お前に着いていけばこの悪夢も終わると信じていた。もし、あの日、君との出逢いが無かったら………]カゲツは試験管の前で崩れ落ちた。[バタン!カゲツ!無事?][アイシャ。………お前………][アイツはジェイルよね。父を殺めた天敵!][タイムアップだ。延長は無い。サア、選べ。服従か死か。それともコイントスで決めるか?][クッ…………黙れ!悪党!世界に混乱を招いた汚物共!貴様は俺が刈る!我が命に代えても!][その少女は?][俺の過去だ。彼女が居なかったら俺は違う道を進んでいた][話してくれないかしら?ジェイル!延長よ!][構わん。楽しめるならな]カゲツは深く目を閉じ語り始めた。





続く

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