↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

/F_o_a_F/ (たぶん)友達のともだちから聞いたはずの不穏な話

サイキック・バトル

作者: 小林鶏男
掲載日:2026/08/23

挿絵(By みてみん)



_/80年代前半/北海道札幌市/男性/16歳/生徒/



 十代の頃のGさんはそれなりに “やんちゃ” をしていた。

 現代ではすでに死語となりつつある「ヤンキー」でさえなく、「不良」とか「ツッパリ」という言葉がよく使われていた時代のことだ。


 その日もGさんと仲間たちは明け方まで外で騒いでいた。

 遊び疲れたGさんたちは仲間の家に戻った。金持ちのボンボンで、「勉強部屋」としてけっこうな広さの離れをあてがわれていたその仲間の家が、Gさんたちの溜まり場だった。


 疲れていたので何をするでもなく、皆てきとうに、駄弁ったり煙草を吸ったり缶チューハイの残りを啜ったりして、時間を無為に溶かしていく。Gさんは特に仲の良かった友人と一緒にシンナーを吸っていた。

 窓から徐々に差し込んでくる初夏の朝日がまぶしい。部屋の中が黄金色に染められていき、白光に照らされたレースのカーテンが落とす淡い影の綾を見ているうちに、思考の輪郭が曖昧になってきた。口元も緩んでくる。

 恍惚となって目を閉じ、しばらくして瞼を上げると、


 ぴぃーーーーーーー


 という甲高い音とともに両目から「ビーム光線」が発射された。当時流行っていたメローイエローという炭酸飲料を思わせる鮮やかな黄色の光線だった。


 うわあーおもしれえ、とますます口元を緩ませ、Gさんはこの「目からビーム」で遊びはじめた。

 こめかみに意識を集中させるとビームの出力が上がるらしく、1オクターブ高い音が出て光線の幅が太くなる。色もスプライトの瓶を思わせる透き通ったエメラルドグリーンに変化した。きっと破壊力が増しているに違いないが、長時間続けると消耗してしまう。もしかしたらと片目をつぶってみると、発射されるビームは1本になる代わりに、こめかみに意識を集中させたときと同様の強力な光線になった。こっちのほうが簡単だし、広範囲には攻撃できないけど逆に狙いをつけやすいかもな……などと戦略を練っていたGさんは、ビームを放出したまま何気なく友人のほうを向いた。

「おっと」

 と言って友人はGさんのビームから身をかわした。

「テメ、なんで見えんだよ!」

 とGさんが思わず叫ぶと、友人は無言でにやりと笑う。

 なに余裕ぶっこいてんだよ、とカッときたGさんは、こめかみの血管が切れるほど力を集中させて最大出力でビームを発射した。が、それを友人はひょいと首をすくめてよける。

 かわしにくいように横一文字になぎ払ったり、フェイントをかけたり、激しくまばたきをして弾丸状のビームを発射したり、眼球をぐるぐる回して螺旋状のビームを放ったりといろいろ試してみたが、友人はにやにや笑いながら、ことごとくかわしていく。

 ほとんど首だけしか動かしていないが、Gさんは息切れしてしまった。

「お前、達人だな」

 と荒い息でつぶやくと、友人は少し恥ずかしそうに「うへへへ」と声を出して笑った。



 それからちょっとあとに、そいつダンプと衝突して死んだんだ。だからよく憶えてる。とGさんは懐かしそうに言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。