逃亡
「なぜだ!? なぜ、私が、逃げなければいけない!?」
ひとしはわからなかった。
もうひとつわからないことがあった。
「そんな私がなぜ駅伝に参加してる?」
そうだった。
ひとしはなぜか、
地方の小さな小さな駅伝大会に参加していた。
そして警察はそれを把握していた。
「この大会だ!」
と、警察はひとしの居場所までは把握していたが・・
どのチーム、そしてどのコースを走るまではわからなかった。
そのうえ、大会当局に要請はできなかった。
「ひとしは被疑者に過ぎない。公表するわけにはいかない。」
「ひとしは2区とわかった。3区との中継所で待つ。」
しかし、いつまでたっても中継所には来なかった。
そのころひとしは逃げていた、山中を。
駅伝など放り出していた。
「仲間には悪いが・・」
と思いながら。
「なぜ自分が犯人と疑われなきゃいけないんだ!」
ひとしは逃げながら必死で考えていた。
「確かに死体を発見したのは私だ。」
「だが、発見しただけだ。」
通報し、その場から去った。
「去ったのがいけなかったのか?」
しかし・・
「去らなければ逮捕されていた」
「ひとしさん、こちらです!」
助けてくれる人はいた。
「ひとしさん、あなたの行動は間違っていない。
日本での第一発見者が犯人だった確率は3%。
少ない。しかし、警察は必ず疑う。
それが基本だからだ。
そしてもし逮捕され、起訴されたら、
有罪となる確率は99%以上。
それを考えれば、あの状況では逃げてあたりまえ」
逃亡して一か月。
こうなると、
もはや、
「逃亡」
は、
「仕事」
だ。




