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【完結】『無能力転生』冤罪投獄された近衛兵、動かず王国を崩す ――奇行主人公の伏線回収譚  作者: らいすクリーム
第4章【輪廻違和・因果逆転編】

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第51話【禁書庫偽装】そこにいるはずがないレオニードと、残された『セブン、来ないで』の手紙の矛盾

【前回までのあらすじ】

禁書庫に黒幕がいると判断したセブンは、主人公ルートを逆手に取り、王宮の全戦力を一斉に動かして盤面を制圧した。

その瞬間、“物語に飲まれた前任の主人公”の影が現れ、物語はセブンを禁書庫へ引きずり込もうとすると警告する。

勝利を確信し前室警護へ戻ったセブンの背後で、物語そのものが軋み始めていた。

 王宮内が騒がしい。


 前室へ戻る通路を歩きながら、俺はふと、牢獄塔での出来事を思い返していた。


 ――ガルド隊長の行方不明。


 あれだけは、どう考えても説明がつかない。

 隊長の“消失”だけは何かが違う。その事実が何もなかったかのように流れた。

 あの時、何があった?なぜ誰も見ていない?なぜあのタイミングだった?


 そして――


 なぜ、あれほどの傷を負って戻ってきた?

 “物語”が万が一の保険として、罠を最も身近なところに仕込んだのではないか。

 そんな嫌な予感が、胸の奥にずっと残っている。


 小さく息を吐き、前室へ戻る。


 まぁいい、事件の本筋と関係があるかは別の話だ。俺は前室でリオとともに警備につく。

 前室に戻ると、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っていた。

 リオが横に立ち、、真面目な顔で周囲を見渡した。


「……セブン殿。なんか、空気が変ですね。」


 俺は頷く。


 医務室での一件が終わり、皆がそれぞれの持ち場へ散っていった今――逆に“静けさ”が不気味だ。

 リオが横目で俺を見る。


「セブン殿、なんか怖いこと考えてます?」


「俺が牢獄にいる時、隊長が行方不明にならなかったか?……」


「え…そんな事ありました?」


 何もなかったのか…。


「いや、いい。」


 リオが 剣の柄に手を添えて周囲を警戒する。


「セブン殿……こういう時、何かが起きる前触れであることが多いです。


 俺は頷き、定位置に立つ。


 その瞬間――空気が、わずかにビリビリと揺れた。


 “何かが動いた”ような、しかし視界には何も映らない。

 リオも気づいたらしく、眉をひそめて周囲を見渡す。


「……今、何か……?」


 セブンが返事をしようとした、その時。

 前室の奥の扉が、勢いよく開いた。


 駆け込んできたのは、王宮の伝令兵だ。


「セブン殿、リオ殿!緊急事態です!!」


 リオが一歩前に出る。


「何事だ!」


「王妃殿下の居室周辺で……レオニード殿が動きました! 魔術反応が検知され、近衛兵が数名、倒れています!!」


 前室の空気が一気に張り詰める。“嫌な予感”が、現実の形を取って迫ってきた。


「レオニードはヴァルステイン卿とともに禁書庫にいるはずではないのか!!」


 声が前室に響く。

 リオも伝令兵も一瞬固まった。


「そ、それが……!禁書庫の封印は“開いておりません”!レオニード殿が外に出た形跡も……!」


 レオニードが禁書庫に“最初からいなかった”可能性。どれもあり得る。

 だが、今は推理している暇はない。


「セブン殿……!警備を強化するために配置された近衛兵が倒されたのであれば……これは、もう……!」


 セブンは短く息を吸い、


「行くしかない。」


 リオが頷き、剣を抜く。


「お供いたします!」


 二人は前室を飛び出し、王妃殿下の居室へ向かう。


 廊下には、倒れた近衛兵が三名。


 全員、外傷はない。しかし意識がない。魔術的な衝撃か、精神干渉か。いずれにせよ、レオニードの仕業である可能性は高い。


 リオが周囲を警戒しながら言う。


「セブンさん……!魔力の残滓があります。これは……レオニード殿の系統の魔術です!」


 俺は居室の扉に手をかける。


 扉は――半開き。

 中からは、かすかな風の音。

 そして、人の気配が――ない。


「……入る。」


 セブンが扉を押し開け、王妃殿下の居室へ踏み込む。

 部屋は荒らされていない。争った形跡もない。


 だが――




 王妃殿下の姿がない。




 リオが息を呑む。


「……殿下が……いません!!」


 そして、セブンの視界に“あるもの”が映る。


 王妃殿下の机の上に置かれた――


 一枚の紙片。


 そこには、震えるような筆跡で短く書かれていた。




『……セブン……来ないで……』




 リオが青ざめる。


「セブン殿……! これは……殿下の!」


 そして、紙片の端には――黒い“魔術痕”が焼き付いていた。

 レオニードの魔術特有の、“精神干渉系”の痕跡。


 禁書庫にいるはずの男が、王妃殿下の居室に“魔術を残した”これは矛盾だ。


 だが、矛盾だからこそ――


 真実に近い?


「遠隔魔法か……あるいは何らかのトラップ……?」


 リオが首を振る。


「いえ……セブン殿。この魔術痕は“直近の発動”です。遠隔では残らない種類のものです。」


 つまり――


 レオニードは禁書庫にいない。


 禁書庫に向かったというのは、ミレイアの推理であり、それを利用した“偽装”の可能性がある。


 あるいは――


 禁書庫に向かったのはヴァルステインだけで、レオニードは別行動を取っていたのか。どちらにせよ、王妃殿下は“連れ去られた”。


「セブン殿……殿下は、どこへ……?」


 俺はもう一度紙片を見つめる。震える筆跡。殿下の文字。




『……セブン……来ないで……』




 これは警告か。誘導か。


 あるいは――


 殿下自身が“操られて書かされた”のか……どれもあり得る。

 セブンは倒れた近衛兵の一人に駆け寄り、肩を揺さぶる。


「おい!大丈夫か!誰がここへ来た!?」


 近衛兵はうっすらと目を開け、焦点の合わない視線でセブンを見た。

 呼吸は浅いが、意識は戻りつつある。


 リオが横で支えながら声をかける。


「しっかりしてください!何があったのですか!」


 近衛兵は喉を震わせ、かすれた声で答えた。



「……ひとり……ひとりだけ……来た……」



「……“殿下をお連れする”と……」



「……殿下は……自分から……」



 俺とリオは同時に息を呑む。


「……抵抗しなかった……まるで……“その者を信じている”ように……」


 その瞬間、脳裏に 最悪の可能性 が浮かぶ……殿下自身が何かを隠している!?



 ミレイアの証言を信じて禁書庫へ全勢力を向かわせたのは――俺。



 もしレオニードが禁書庫にいなかったのなら、王宮の防衛線は“空洞”になっている。



 ”責任問題”



 そんなものは本来モブには降りかからない。


 だが――


 残された手紙に“セブン”と書かれている。これは、俺を“物語の中心”に引きずり込む罠だ。


 なんだこれは……



「謎が多すぎるだろおおおお!!」



 気づくと天井に向かって叫んでいた。

『………………ヴヴ』


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