第48話【核心の遮断】感動の再会で尺を稼ぐヒロインと、予定調和を許さない「巻(まき)」の尋問
【前回までのあらすじ】
王妃の命を受け、セブンは意識不明の侍女ミレイアのもとへ向かい、ふざけ倒しながらも彼女の目を覚まさせる。
“物語”の誘導に抗い続けるも、その混沌すらもヒロイン覚醒の鍵として回収されてしまう。
目覚めたミレイアは震える声で告げる――「あの人は、王宮の中にいます」。
俺の問いに、ミレイアは唇を震わせ、ついにその名を口にしようとしていた。
この場の全員がミレイアの言葉に耳を傾ける。
ミレイアの魔力を奪った犯人、殿下の秘密を知るそのものとは……
「……殿下の……秘密を……知っている……その人は……」
ミレイアの喉が詰まり、言葉が途切れる。
王宮の中にいる“敵”。その正体が、今まさに語られようとしている。
ミレイアは、俺の手をぎゅっと握りしめた。
その指先は冷たく、震えている。
「……その人は…… わたしの魔力を奪い……殿下の秘密を……暴こうとして……」
呼吸が乱れ、声がかすれる。
俺は思わず声をかける。
「無理するな。ゆっくりでいい。」
(ゆっくりでいいが……はやく)
ミレイアは小さく頷き、震える唇を開いた。
「……“あの人”は……」
(もったいぶらないでくれ……)
「……王宮の者です……しかも……“高位の立場”の……」
(どこの誰かは、名前を聞けばわかる!)
「……名前は……」
(名前は!?)
ミレイアの瞳が、俺をまっすぐ見つめる。
その目は恐怖に揺れながらも、“真実を伝えよう”という強い意志を宿していた。
――その名を言おうとした瞬間。
「ミレイア!」
名前を叫ぶ声とともに、扉が勢いよく開いた。
「はぁ!?」
名前を聞く直前に入った邪魔が、俺をイラつかせ声が出た。
そして、立っていた人物は――エリシア
今の彼女は完全に取り乱していた。
「ミレイア!!無事なの!?意識は……!」
ライエルが驚く。
「エ、エリシア!?なんでここに……!」
エリシアはライエルを完全に無視し、セブンとミレイアの方へと駆け寄る。
その目は涙で潤んでいた。
「セブン様……!ミレイアが倒れたと聞いて……どうしてもっと早く知らせてくれなかったんですか……!」
ライエルが割って入る。
「いや俺は知らせようとしたんだよ!?お前が“今忙しいから後にして”って言ったんだろ!」
「そんなの覚えてないわ」
「……修羅場が始まったのかのう」
だが、ミレイアは弱々しく首を振り、エリシアの手を掴んだ。
「……エリシア……だいじょうぶ……セブンさまが……助けて……くれたの……」
エリシアの視線が、俺に向く。
その目は――感謝と、警戒と、複雑な感情が入り混じっていた。
「……セブン様。ミレイアを……本当にありがとうございます」
「なんでセブンにはいつも“様”付けなんだよ!俺なんて呼び捨てなのに」
「ライエルは黙ってて」
「ひどい……」
エリシアが来たことで流れが変わった。
ミレイアが言おうとした“王宮の中の高位の人物” その名はまだ明かされていない。
まさか”物語”が邪魔をしている?
正体をまだ明かされては困る?
ミレイアが言いかけた“名前”今すぐ聞き出す必要がある。
俺は静かに問い直した。
「話を戻す。ミレイア、名前を聞かせてくれ。」
全員が息を呑み、ミレイアの唇の動きを見守る。
ミレイアは、俺の声に反応するようにゆっくりと視線を俺へ向けた。
「……セブンさま……その名前は……」
喉が震え、言葉が途切れる。
俺はそっと促す。
「大丈夫だ。もったいぶらなくていい。」
ミレイアは小さく頷き、震える唇を開いた。
「……“あの人”は……」
そして――ミレイアは、俺の手をぎゅっと握りしめて言った。
「……王宮魔術師長……レオニード様……です……」
『ヴオヴヴィヴヴォヴォヴォ……』




