表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】『無能力転生』冤罪投獄された近衛兵、動かず王国を崩す ――奇行主人公の伏線回収譚  作者: らいすクリーム
第2章【王宮陰謀・最短攻略編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/76

第35話【無罪と復職】ついに手にした「日常」。物語の外側に“安全地帯”を築く、執念の目標達成

【前回までのあらすじ】

狂気の演技の裏に隠されたセブンの本心は、ただ「職務を果たし、昇進し、家を買って平穏に暮らす」という健全すぎる野望だった。

ガルド隊長はその願いを守るため“内部監察補助”という安全な役割を与えるが、それこそが物語の修正力が押しつける新たな主人公ルートだった。

セブンはその誘導を察知し、前室警備との“兼任”を提案してプロットの強制を押し返そうとする。

「ではこうしましょう。前室警備と兼任という形にしてください。隣にライエルを置き、王妃の部屋にはエリシアを配置する。警備を万全にしつつ、俺は補助に徹する形です」


 ガルド隊長は、予想外の方向から矢が飛んできたような顔で目を見開いた。


 だがすぐに冷静さを取り戻し、俺の意図を慎重に読み取るように、ゆっくりと口を開く。


「……セブン。お前は本当に、物語の中心から逃げるのが上手いな」


 呆れではない。むしろ感心に近い響きだった。

 腕を組み、隊長は俺の提案をひとつずつ吟味する。


「まず、前室警備との兼任だが……」


 わずかな沈思ののち、結論を出す。


「――可能だ」


「前室警備は王妃殿下の最終防衛線だ。そこにお前を戻すのは危険だが、“内部監察補助”の立場を持ったままなら、逆に安全が増す。前室に立てば、不審な動きは即座に俺へ届くだろう」


「ライエルを隣に置くのも悪くない判断だ。あいつはお前の性格も癖も理解している。余計な方向へ走り出せば、首根っこを掴んで止めるだろう」


「何より――お前を守ることに関しては、誰よりも信用できる」


 隊長の表情が、わずかに引き締まる。


「エリシアを王妃殿下の部屋に、か。……非常に良い。冷静で判断力があり、王妃殿下への忠誠も揺るがない。安全を考えるなら最適だ」


 ガルド隊長は俺に向き直り、はっきりと言った。


「お前の提案を採用だ」


「前室警備に復帰しつつ、内部監察補助として動け。ライエルを隣に置き、エリシアを王妃殿下の部屋に配置する。これで警備は万全だ」


 そして、少しだけ声を落とす。


「この配置は最適だ。事件の中心には立たせない。そして、お前の望む現場復帰も叶える」


 隊長は俺の肩に手を置き、短く、力強く告げた。


「これでいいな、セブン」


「はい! セブン近衛兵! これより前室警備の任に戻ります!」


 俺は鋭く敬礼した。


 その堂々たる動作を見た瞬間、隊長の目が見開かれる。

 驚きというより、「ようやく戻ってきたな」という安堵の色だった。

 ゆっくりと、しかし力強く敬礼を返す。


「……セブン近衛兵。前室警備への復帰を正式に認める」


 凛とした声。近衛兵隊長としての威厳が宿っている。

 一歩近づき、俺の肩に軽く手を置いた。その手は重くない。だが、確かな信頼が込められていた。


 俺は控の間を出て、前室へ戻る。


 そこには、先ほど警備を頼んだライエルが待っていた。


「ガルド隊長から正式に前室警備を任された。復帰だ」


 俺の姿を見た瞬間、ライエルの口元がわずかに緩む。

「……おかえり」と言いたげな表情。


 だが、俺の宣言を聞くや否や、その顔はいつものライエルに戻った。


「ガルド隊長から正式に、ね。……やっと戻ってきたか、セブン」


「喜べライエル。お前と入口の両脇に立つことになった。」


 ライエルはわざとらしく肩をすくめ、ため息をつく。


「喜べ、ねぇ……。お前とまた並んで立つってだけで、面倒事が倍になる気しかしないんだが」


 皮肉な言葉とは裏腹に、声の奥にははっきりとした安心があった。

 俺の肩を軽く小突く。


「……でもまあ、悪くない。やっぱり、お前がいないと落ち着かん」


「ガルド隊長がわざわざ俺を隣に置くくらいだ。お前のこと、相当買ってるんだろうよ」


 ここで自分を上げるのがライエルらしい。

 ライエルは入口の両脇を指さし、いつもの調子で配置につく。


「じゃあ、セブン。今日からまた“いつもの仕事”だ」


 俺の望んだ日常が、ゆっくりと戻ってくる。

 王妃の部屋の扉は静かに閉ざされ、廊下には規律ある静寂が満ちる。


 俺とライエルが立つ前室は――


 まるで、物語の中心から一歩外れた、安全地帯のようだった。



 これで獄中からの目標、『無罪と復職』が叶った。

『…………………ヴヴセブン』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ