第30話【情報の死刑宣告】「今の会話、全部聞かれてますよ」――饒舌すぎた味方と、セブンが突きつける“詰み”の事実
【前回までのあらすじ】
王妃暗殺未遂の真相を聞かされたセブンは、物語の修正力が押しつける“王道の捜査ルート”を拒み、強行的に前室警備へ復帰しようとした。
ガルド隊長・ライエル・エリシア・王妃殿下は総出で彼を止めるが、セブンは敬礼と覚悟で逆に押し返す。
追い詰められたセブンは、王宮内の権限構造そのものを利用し「王国司法官の所轄だ」と責任転嫁し、王道ルートへの最後の抵抗を試みる。
「これは単なる都市内の犯罪ではありません。王宮内の重大凶悪事件です。王国衛兵ではなく、王国司法官の所轄になるかとおもいます。」
近衛兵としての誇りと、冷静な法的理解を示してみせる。
そして――最初に食いついたのはやはりガルド隊長だった。
「その通りだセブン。これは都市の治安維持の範囲ではない。王宮内で起きた“暗殺未遂”。王国法では、王族に対する犯罪は”王国司法官”の専権事項だ。」
隊長はセブンの言葉を、正確に受け止めている。
「だがな。」
隊長は続ける。
「司法官が動くには“証人”が必要だ。そしてその証人は――お前しかいない。」
ライエルが苦い顔で言葉を継ぐ。
「つまりだセブン。司法官の所轄になるってことは、お前は“証人保護対象”になるってことだ。証人が前室警備に立つなんて、司法官が絶対に許さねぇ。」
エリシアも静かに頷く。
「セブン様…司法官が動くためには、あなたが生きていて、証言できる状態でなければなりません。」
王妃殿下が一歩前に出て、あなたに向けて静かに言う。
「セブン。あなたの言う通り、これは司法官の領分です。
ですが――司法官が動くためには、あなたが“守られていること”が前提なのです。」
殿下はあなたをまっすぐ見つめる。
「あなたがここに立つことは、司法官の捜査を妨げる行為になります。
あなたが狙われれば、真実は闇に消えるからです。」
ガルド隊長はセブンの肩へ手を置いた。
「セブン。お前の判断は正しい。だが結論は一つだ。司法官の所轄になるということは、お前は“前室警備に立てない”。立たせてはならない。それが法であり、王国の秩序だ。」
ここで引く俺ではない。
ならば俺の命に危険がなければ大丈夫ということ。
それならば俺に警護をつければいい。
「ライエル近衛兵!そのニセ前室警備兵をどけそこに立て!これで我ら2人で前室警備だ。
そしてお前はこの暗殺未遂事件の証人である私をそこで護衛せよ!」
俺はふうこれでよし、という笑顔で額の汗を拭った。
ライエルは、俺の唐突な指示を聞いた瞬間――
まるで理解が追いつかないという顔。
俺は兵をどかしてライエルをそこに立たせる。
押しのけられた前室警備の兵士たちは、ライエルよりも混乱。
完全に状況が理解できず、ただ呆然と立ち尽くす。
ライエルは頭を抱えた。
「いや待て待て待て待て!なんでそうなる!?なんで“証人の護衛”が“前室警備に立つ”になるんだよ!!」
ガルド隊長は本気の困惑。
「セブン。お前の言っていることは…一見、筋が通っているようで…全く通っていない。」
隊長はあなたの肩に手を置き、真正面から言う。
「証人を守るとは、危険から遠ざけることだ。
その証人が、最も狙われる場所に立つなど――護衛の概念を壊している。」
「そうだぞセブン!お前が前室に立ったら、俺は“王妃殿下とセブンを同時に守る”っていう無理を押し付けられるんだよ!!」
「セ、セブン様…どうか…どうか落ち着いてください…その案はその、護衛というより自殺行為です…。」
王妃殿下は、忠誠心を理解しつつも静かに首を振った。
「セブン。あなたの忠義は尊いものです。ですが…あなたがそこに立つことは、私を守ることにはなりません。むしろ、あなたを狙う者に“絶好の機会”を与えます。」
「どうか、戻りなさい。あなたは“前室警備”ではなく、“王国の証人”なのです。」
よしよし、ここにいる全員が俺の術中にある。
ここまで、ずいぶんと喋ってくれた。
「ガルド隊長…今の会話、全部聞かれていますよ。」
セブンの言葉を聞いた瞬間、
二人の肩がビクッと跳ねた。
『…ヴァッァァァアアァアアアァア』




