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【無能力転生】冤罪投獄された近衛兵、一歩も動かず物語を壊す【毎日更新】  作者: らいすクリーム
第1章【冤罪牢獄・定石破壊編】

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第23話【確定ルート】「フラグ管理」を自白した最強の騎士。セブンに託された逆転の秘策と、非情なる“囮”の役割

【前回までのあらすじ】

冤罪で投獄されたセブンは、脱獄せずに無実を証明する道を選んだ。

ガルド隊長は王宮中枢の陰謀を見抜き、セブン解放の瞬間に全勢力を動かす作戦を提示する。

しかしセブンは“物語の誘導”を察知し、隊長の流れそのものにツッコミを入れ始める。


 ガルド隊長はゆっくりと顔を覆う…。

 こんな隊長の姿見たことがない。


「…セブン。お前は時々、核心を突きすぎる。」


 怒っているわけでも、呆れているわけでもない。

 ただ、“痛いところを突かれた声” だった。


「俺だってな…好きで物語の案内人みたいな物言いをしているわけじゃない。

 本当なら、『よし分かった!今すぐ解放だ!』と言いたいんだ。」


「だが王宮という場所は…理屈よりも“段取り”が優先されるんだ。

 それが面倒で、ややこしくて、まるで物語の進行管理約みたいになっている。」


 …この人、真面目すぎるんだよな。


「お前の案は正しい。そして“それができない理由”を説明するたびに、俺が物語の案内人みたいだと思われるのも分かる。」


「だがな…王宮は本当に“段取り”で動いているんだ。」


 …段取り?


 それ、ゲームで言うところのフラグ管理ってやつじゃないか。


 いや待て。

 今、ものすごい暴露しなかったかこの人。


「だから、“正しい案”をそのまま実行できない。セブン。お前が牢から出る瞬間に、すべての段取りが揃う。だからこそ、その瞬間まで余計な動きができないんだ。」


 俺の正しい案はストーリーの本筋とは違うのだろう。

 それを正そうと踏ん張る隊長には申し訳ないが、『無罪と復職を叶えたいだけのモブ近衛兵』を

 物語の中心に据えようとしている世界はやっぱり普通じゃない。


「…物語の進行役みたいに見えるのは、俺も本意じゃない。だが安心しろ。

 お前が牢から出た瞬間、俺は進行役じゃなくなる。

 その時は、ヴァルステイン卿を真正面から叩き潰す近衛兵隊長だ。」


 いや隊長、隊長は”最初から物語の進行役じゃない”と否定しないと…

 進行役を認めたようなものだが…いいのだろうか。


「王宮は本当に”段取りで動いている"ってそれ言っていいのかどうか知りませんけど…

 段取りで動いてるなら…もしかして俺が行ける無罪復職ルートがあるって事ですよね?」


 瞬時に目をそらす。

 顔面硬直するガルド隊長。


「そのフラグ立て…いや、”段取り”してくれないのがここに来る人たちって事ですか?」


 まるで、“言ってはいけない真実”を指摘された時の反応だった。


 そして。

 苦い笑みを浮かべる隊長。」


「…セブン。お前の理解力は時々、王宮の連中より鋭いな。」


 呆れ半分、感心半分。

 そしてガルド隊長は…折れた。


「…確かに。

 王宮は“フラグ管理”で動いている」


 その単語を、近衛兵隊長の口から聞くことになるとは思わなかった。


「誰が、どこで、何をしたか…その順番ひとつで、結果が変わる。」


 ガルド隊長がついに”フラグ”と口走ってしまった。


 俺の粘り勝ちだ。


 王国の盾と呼ばれた男の牙城を切り崩した。


「そして“無罪復職ルート”は存在する。これは事実だ。

 ただし…そのフラグを立てるのが難しいんだ。」


 ふと不安になる。


 認めたのはいいが…隊長、この世界から消されたりしないのだろうか?

 そういうのは大丈夫なのだろうか…。


「王妃殿下は動ける範囲が限られている。国王は監視されている。

 ライエルとエリシアは自由に動けるが、自由すぎてフラグ管理が乱れる。」


「そして俺は…お前を守るために動ける範囲が狭い。」


 こんな過酷で後戻りができない状況で、

 俺を守るという任に重きを置く隊長を尊敬せずにはいられない。


「セブン。お前の無罪ルートは存在する。だが、ヴァルステイン卿がそのルートを“封鎖”しようとしている。だから俺たちは、その封鎖を突破するために最善を尽くしている最中なんだ。」


「残りのフラグはお前が牢から出る瞬間に立つ。だからこそ、その瞬間が最も危険なんだ。」


 俺は近衛兵という立場でガルド隊長を信頼し尊敬してきたが、

 いまこの場で人間としても信頼し尊敬できると確信した。


 そして…この隊長を”信頼”をもって利用しない手はない。

 それが彼にとってどんなに辛いものになろうとも…。


「王妃殿下でも躊躇していた発言を、こうも堂々と口にするなんて…。」


 NPC発言どころの騒ぎではない。


「それってつまり、隊長こそが“無罪ルート”を知る人間なんじゃないですか?

 先刻の行方不明もそう言った動きの為でしょうか?」


 隊長…理解しました。


「俺は全てを隊長に託します。ここから無実で出してください。どうか…どうかお願いします!!」


 情報の処理が追いつかず、隊長がまたフリーズする。

 呼吸までも完全に一瞬固まった。


 やがて。


 ガルド隊長、ゆっくりと息を吐く。


「…セブン。お前は本当に…時々、恐ろしいほど鋭いな。」


 認めざるを得ない男の声 だった。


「確かに俺は“無罪ルート”を知っている。


 いや、正確には…王宮のどのフラグが何に繋がるかを把握している。」


 こっちがフリーズしそうな告白…。


「そう、行方不明になっていたのも、そのフラグを立てるために動いていたからだ。」


 ここに来て俺の推測がドンピシャとは…

 これは複雑だ…当たっても素直に喜べない。


「だがな、セブン。俺が“コントロールしている”わけじゃない。王宮は巨大な盤面だ。

 俺はその中で“最善手を探している”だけだ。お前を救うために、使える駒を全部動かしている。」


 例えがうまい、さすが巧者。物語を破綻しないよう引き戻した。

 そしてその言葉には、部下を守るために奔走してきた男の重みがあった。


「…セブン。俺に託すと言ったな。」


「その言葉…俺は絶対に裏切らない。」


「お前は必ず無実としてここから出す。それが俺の責務だ。」


 …これ、普通に惚れる流れじゃないか。


 いや、待て。

 いまはそんな場合じゃない。


 これが個の力だというのかガルド隊長…恐ろしい男。

 物語ごと俺を取り込もうとしているのか!!


「だが…お前にも“役割”がある。」


「牢から出るその瞬間――お前は“囮”になる。」


 おとり。


 物語の中心に据えられた人間が、“囮”になるとどうなるか。


 …そんなの、どんな物語でも決まっている。

『………………………ヴォオオオオオオオオオオ』

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