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【無能力転生】主人公に間違えられ”物語”に冤罪投獄されたが絶対やり返す!  作者: らいすクリーム
第1章【冤罪牢獄・プロット破壊編】~物語の強制力を拒絶し、俺は一歩も動かずに勝利する~

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第19話【透明な疑惑】「更衣室に入ったか?」影を揺さぶる不埒な問いと、傷だらけの隊長が持つ“不完全な証拠”

【前回までのあらすじ】

影は自らを“名も記録も奪われた元人間”と明かし、無実のまま消されればセブンも同じ“影”になると告げた。

世界には存在消去=ゲームオーバーの概念があると知り、セブンは物語の強制力の正体を理解し始める。

だが彼には仲間がいる。だからこそセブンは「影にはならない」と誓い、物語そのものへの反逆をさらに強めた。



 影は、自分と同じ末路を俺に辿らせないために、観測しているということか。

 だから選択肢やヒントを出してくる…。


『この世界は物語の中』という俺の推測も、どうやら的外れではなさそうだ。


 しかし世界の理を知ったところで、それをどうにかできるほど甘いものではないだろう。

 ここは、何も知らないフリをしながら、都合よくこの世界を捻じ曲げていくしかない。


「肉体はあるが、俺以外には見えない。影だけが残る…。」


 俺は一瞬、考えてから言った。


「…つまり、影があるだけの透明人間ってことか?」


「透明人間…まさか!?

 見えない事を悪用してあんな事やこんな事をしてるのではないだろうな。返答によって俺はお前を止める必要がある。」


 影を利用してこの世界の出方を探ろう。


「…まさかとは思うが。」


 たっぷり間を置く。


「答えろ、影。更衣室に入ったことはあるのか?」


 “予想外の方向へぶっ飛んだ質問”を聞いた瞬間、

 牢獄の空気が ピキーン と凍りついた。


 影の顔は見えない。だが、それでも分かる。

 明らかに動揺している。


「…セブン。私を何だと思っている。」


 声はいつも通り淡々としているのに、明らかに“焦り”が混じっている。


「私は…その…そういう…不埒な行為をするために透明になったわけではない。

 更衣室には…入っていない。 断じてだ。」


「そもそも私は、“存在を消された者”であって、“覗き魔”ではない。」


 もう少し困らせてみよう。


「なら早く名をあかせ、いつまでふざけているんだ。

 俺だってお前の性癖を聞くためにここにいるのではない。」


 さっきまでの静謐で不可視な雰囲気はどこへやら、

 今は完全に 動揺している影 がそこにいた。


「…性癖の話などしていない。そもそも私は、そういう…欲求のために存在しているわけではない。」


 声は淡々としているのに、言葉の端々に“焦り”が滲んでいる。


 その時、廊下の奥で金属が擦れる音 が響いた。

 影は一瞬で気配を消し、あなたの前から“存在ごと”薄れていく。

 消える直前に言葉だけを残す。


「…次に会う時が楽しみだ。」



 足音が近づいてくる。


 その輪郭、その立ち姿、その“気配”。


 思わず叫んだ。


「ガルド隊長!?」


 その瞬間。低く、聞き覚えのある声が返ってきた。


「…セブン。無事で何よりだ。」


 行方不明になっていたはずの男。


 鎧は傷だらけ、片腕には包帯、顔には疲労と焦燥

 しかし目だけは鋭く、強い。まるで、“生きて帰ってきた戦士”のようだった。


「すまないな…遅くなった。セブン。お前の無実を証明する証拠を…見つけた。」


 牢獄の空気が一瞬で変わった。湿気が吹き飛ぶ。

 処遇を左右する決定的な言葉”証拠”。


「これで、お前は必ず解放される。だが…その前に話さなければいけない事がある。

 ヴァルステイン卿は既に動き始めている。そして、影も、お前に接触したな?」


 ガルド隊長は、まるで“すべてを知っている”かのように言った。


 影の存在は見えるものと見えないものがいるのに、俺が影と接触したことは

 誰かに知られている…そういうシステム?なのか。

 だが今それは置いておこう。証拠が手に入った!前進だ!

 ガルド隊長の思惑通りにはさせない。先手だ、先手必勝だ。


「ガルド隊長!気持ちはわかりますが先に証拠をお願いします。

 俺の知りうる限りこういう場面ではえてして証拠を持つものがそれを明かす直前で

 何者かに消されるのが運命。そうなっては困るのです!早く証拠を!」


 ガルド隊長は“理解が深すぎる警戒”を聞いた瞬間、

 まるで図星を突かれたかのように ピタッ と動きを止めた。


「…確かに、そういう場面は多いな。」


「証拠を持つ者が、明かす直前に消される…物語でも、現実でも、よくある話だ。」


 ガルド隊長は腰のポーチに手を伸ばす。その動きは慎重で、警戒に満ちていた。


「分かった。セブン、お前の言う通りだ。まず証拠を見せる。俺が消される前にな。」


 ガルド隊長はポーチから封蝋のついた小さな巻物 を取り出した。

 その封蝋には王妃殿下の紋章。巻物を鉄扉の小窓越しに掲げる。


「これは王妃殿下の“直筆の証言”だ。

 お前が無礼を働いていないこと、その場に“別の人物”がいたこと、

 そして、ヴァルステイン卿の側近が“何かを仕掛けた可能性”があること。」


 ガルド隊長の声は低く、しかし確信に満ちていた。

 さらに、もう一つ取り出す。

 今度は、黒い羽根 のようなもの。


「そしてこれが……“影”が関与した可能性のある痕跡だ。」


 それは鳥のものではない。光を吸い込むような、不気味な質感。


「本来、影は痕跡を残さない。だがこれは“人ではない何か”が王妃殿下の部屋に侵入した証拠になる。

 この二つの証拠があれば、国王は必ずお前を解放する。

 …安心したかセブン。証拠は見せたぞ。俺はもう消されない。」


 影が痕跡を?


 王妃殿下の部屋に?


 そんな事はありえない…冗談で言った覗きの性癖の件を本気で否定していたあの影が

 王妃殿下の部屋に侵入などするだろうか…。

 ふざけ半分だが、聞いておいてよかったのかもしれない。


 無実の証拠は手に入ったが、それは王妃殿下の直筆の証言でしか無い。


 発言力が弱まっているであろう殿下証言がどこまで通用するのか。

 ヴァルステイン卿がこういう自体を想定してないとは考えにくい。


 …どちらも“決定打”にはならない。


 ガルド隊長、随分と中途半端なモノを持ってきやがったな。

『ヴルァァァァァ……………』

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