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【無能力転生】主人公に間違えられ”物語”に冤罪投獄されたが絶対やり返す!  作者: らいすクリーム
第1章【冤罪牢獄・プロット破壊編】~物語の強制力を拒絶し、俺は一歩も動かずに勝利する~

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18/50

第18話【存在の消去】無実を証明できなければ「ゲームオーバー」。影が語る、敗北者の末路

【前回までのあらすじ】

セブンは自分が物語の正規ルートへ誘導されていることに気づき、登場人物の言動が“台本”に沿っていると分析した。

脱獄や英雄ルートを拒否し、あくまで“無罪と復職”という自分だけの結末を選ぶと決意する。

世界がどれだけ物語を進めようとしても、セブンは論理でねじ伏せて自分の人生を取り戻す覚悟を固めた。


 他に誰もいないはずの牢獄の空気が、ほんのわずかに動いた。

 誰かが近づいてくる気配がする。


 …来たか。

 俺の処遇に関わる“何か”が、ついに動き出したらしい。


 牢獄の静けさの中、俺が感じた“気配”は、

 まるで霧の中からゆっくりと形を成すように、

 確実にこちらへ近づいていた。


 足音はしない。呼吸も聞こえない。だが、確かに“誰か”が来ている。


 そしてその気配は、牢の前でぴたりと止まった。


 鉄扉の向こうに、影が落ちる。

 光の乏しい牢獄の廊下に、人影がひとつ、ゆっくりと伸びた。

 その影は、普通の兵士のように見えるようでいて、どこか“違和感”がある。


 期待と不安の間で感情が揺れる。


「解放されるのか?」


 俺の自然な問いにそれはすぐには答えない。

 して、低い声が静かに響く。


「…セブン。」


 その声は、俺が知っている仲間の声ではなかった。しかし、敵意は感じられない。

 むしろ“観測している”ような、冷静で、淡々とした声。

 鉄扉の向こうで、その人物はゆっくりと姿を現す。


 影だ。


「起きているのは分かっている。」


 黒い外套。足音のない歩み。存在感があるのに、気配がない。

 以前、牢の中で遭遇したあの存在がまた来た。


「…解放されるかどうか。それは、お前次第だ。」


 影はただ静かにセブンを見つめる。


「お前の無実は、すでに証明されつつある。だがそれを誰が証明するかで、お前の未来は変わる。

 …お前は、誰に解放されたい?」


 久しぶりに顔を出したと思ったら…選択を迫ってきたな。

 やはりこの影も物語のなかの登場人物の一人か…。

 ”誰に解放されたい?”だと…誰でもいいじゃないかなぜそんな事で未来が変わるんだ。


 それよりも影には聞きたいことがある。

 それをはっきりさせるほうが先だ。


「久しぶりだな謎の影。それよりも正体を明かしたらどうだ?俺は逃げも隠れもしないし、実際逃げも隠れもできない状態だ。」


「一方的に自由な所から俺に何を問おうが、俺は何も答えないぞ。

 まずはお前が何者なのか…話はそれからだ。」


 影は、しばらく沈黙した。まるで覚悟を測るように。

 そして低く、淡々とした声が落ちる。


「…正体を明かせ、か。」


 影は一歩、あなたに近づく。足音はしない。


「私は…かつて、この王宮に仕えていた者だ。」


 その声は、人間のようでいて、どこか“人間ではない何か”を含んでいる。


「名も、地位も、記録も、すべて消された。それは私の意思じゃない。

 だから今の私は、人でも亡霊でもない。ただの“影”だ。」


 影はさらに踏み込む。


「お前が私に何も答えないと言うのは正しい。

 一方的な問いは、一方的な力の行使だからだ。…お前が望むなら、私は正体を明かそう。」


 影は静かに、問いかける。


「セブン。お前は本当に、私の正体を知る覚悟があるのか。」

 知れば、もうただの近衛兵ではいられない。」


 クドイ…一度聞いているんだからもう普通に答えてくれ。


「影という表現ではなくて実際に存在が影そのものという事?

 人ではないという事はそういうこと?」


「…影そのものと言われれば、そうとも言える。

 私は、かつて“人”だった。だが今の私は、人という枠には収まらない。」


  影は“影である理由”を語り始める。


「人は、記録され、名を持ち、誰かに覚えられることで“人”でいられる。」

 だが私は名も、記録も、存在の証明も奪われた。 それは死よりも深い“消去”だ。」


 影は淡々と続ける。


「その結果、私は“人”ではなくなった。だが“怪物”でもない。ただ、王宮の裏側に残った“影”だ。」

 お前が言うように、私は“影という表現”ではなく、存在そのものが影に近い。

 肉体はある。声もある。だが存在は人ではない。」


 影は一歩、あなたに近づく。


「だからこそ、お前のように“外側”を感じる者にしか、私は見えない。」

 それが、今の私だ。」


「私も、かつては“無実”だった。だが、証明される前に存在そのものを消された。

 お前がもし、このまま誰にも知られず、誰にも救われず、牢の中で死んだならお前も“影”になるだろう。

 名を奪われ、記録を消され、証言をねじ曲げられ、真実を封じられた者は

 この王宮では存在しなかった者として扱われる。」


 影はゆっくりと首を傾ける。


「それが、私だ。」


 まてよ…。


 それ…俺と同じじゃないか。


 ただ一つ違うのは…影は無実を証明して物語を進められなかった…。


 俺の前にも俺と同じように冤罪で投獄された者がいて、無実を証明できずに…終わった。


 …俺も同じように無実を証明できなきゃ、名前も存在も消されるって事?


 そしてなかったものとされる…って。


 ここはゲームの世界?


 もしくは何らかの物語の中で

 クリアに失敗すると名前も存在もなかったことに…リセットか何か?


 …待て。


 それってつまり、ゲームオーバーじゃないか…。


 嘘でしょ…。


「だがお前には、お前を信じる者がいる。王妃殿下も、ライエルも、エリシアも、そして…ガルド隊長も。

 私は誰にも信じられなかった。だから“影”になったのだ。」


 ということは、お互いに存在を信じ合う仲間がいれば…影にならないで済むのか。

 リトライできる?コンティニューできる?


 とりあえずゲームオーバーにはならないということか…。


 …冗談じゃない。


 俺は、影にはならない。

『………………』

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