第12話【お前に聞かねばならん事がある】
牢獄の空気が熱を帯びてくる
「…セブン。
あなた…本当に私に“物語の進行”を任せようとしているのね…?」
困惑と諦めと、ほんの少しの笑いが混ざった声。
「『誰か来るわ!』なんて…私が言う台詞ではないのだけれど…
あなたが望むなら…。」
殿下は鉄扉に寄りかかり、舞台に上がる前の役者のように小さく呟く。
「…NPC扱いされるよりはマシね。…でも、ひとつだけ言わせて。」
殿下はセブンをまっすぐ見つめる。
「“都合よくわたくしめと近い距離の牢に投獄されることを願っております。”
って…それ、どういう願いなの…?」
殿下は本気で困惑している。
「普通は“助けてください”とか“無実を証明してください”とか…
そういう願いをするものではなくて?…あなた、本当に物語の外側から来た人みたいね。」
…いや、それはずっと言ってきたんだが。
いままで何を聞いていたんだ、この人。
殿下は、あなたの“演出要求”に応じるため姿勢を正した。
「…そろそろ時間ね。」
殿下は、小さく息を吸った。
「…誰か来るわ。」
殿下は振り返り、階段へ軽やかに歩き出す。
去り際に小さく振り返り…
「…本当に、あなたの隣の牢に入る事になるかもしれないわね。」
冗談とも本気ともつかない響きだった。
そして、殿下は階段の上へと姿を消す。
次の瞬間、階段の上から、別の足音が響く。
重い。規律正しい。聞き覚えがある。
石段を叩く足音が、やけに現実に引き戻してくる。
これは…ガルド隊長だ。
ここに再び来ることはわかっていた。
ガルド隊長が階段を降りきったところで…先手を打つ。
「お待たせしましたガルド隊長。
ちょっと王妃殿下のターンが長引きまして…いやこっちの話です。
今回はどのようなご用向きでしょうか?」
「…!?」
普段絶対に見せない素の困惑。
「…?…お前…王妃殿下の…ターン?」
隊長は眉をひそめ、腕を組む。
「…いや、聞かないでおこう。お前の言う“こっちの話”は、
私が踏み込んではいけない領域な気がする。」
隊長は、何かを悟ったように一瞬だけ目を細めた。
だが、それ以上は踏み込まなかった。
そして、すぐに本題へ。
ガルドは咳払いをひとつして、いつもの厳格な表情に戻る。
「…セブンよ。お前に聞かねばならん事がある。」
王妃殿下の“ターン”とは違う種類の緊張を帯びていた。
「実は王妃殿下が…お前の牢の前から出ていくところを見た。」
隊長の目が細くなる。
「あのお方が、護衛もつけずに牢獄に来るなど…本来ありえん。
しかも、あの表情…何かを決意したお顔だった。」
ガルドは鉄扉に手を置き、小窓から中を覗く。
「お前いったい…王妃殿下に何を…?」
隊長の疑念は“怒り”ではなく“心配”。
「殿下は、今とても危険なお立場にある。その殿下が、お前の牢に来て、
何かを決意したように見えたのだ。
…まさかとは思うが、殿下を巻き込むようなことを言ってはいないだろうな?」
ここは正直に言うだけだ。
「巻き込むというより、私が巻き込まれているのが実情です。
王妃殿下からは重要な情報を頂きました。」
ガルド隊長は、あなたの言葉を聞いた瞬間、ただ事ではないと察した。
低く押し殺した声で問い返す。
「…王妃殿下から“重要な情報”だと?」
隊長は周囲を確認し、誰もいないことを確かめてから鉄扉に近づく。
「お前が巻き込まれているのは分かっている。
だが…王妃殿下が“情報を渡す”というのは、ただ事ではない。」
隊長の声は、普段の厳格さではなく、
本気で危険を察した男の声だった。
あなたの言葉を促す。
「…何を聞いた?」
その目は、あなたの冗談も軽口も一切許さない。
…ちょうどいい相手が来た。
この人だけには、伝える価値がある。
「王妃殿下はこうおっしゃいました。
”セブン、黒幕は王の側近長、ヴァルステイン卿よ。 王妃である私を監視し、あなたを投獄させ、
王の命令を偽造しているのは…あの男。”と…!!」
あとがき
ガルド隊長は理想的な逆三角形体型で力持ちですパワー系隊長です
あなたと同じですね!読んでいただきありがとうございます!




