『味通信』
暗黒グルメをお届けします
味に関する噂が今、サイトの書き込みで広がりつつある。
サイトの名は『味通信』。
そのサイトにアクセスして味の願いと自身の名を書き込むと、『味の化身』が願いを叶えてくれるというのだ。
味に関する願いなのだから、当然味覚に繋がる事のみ。
「味に関する願いか……そんな非日常的な事が、リアルに叶うわけが……」
飽くまでサイトの噂であって、まさか真実ではないだろう……などと思いながらも『味通信』にアクセスしようと試みる者がいる。
「有るわけ無い、よな……んぐ!」
大紅雷、彼は食べる事が好きな少年。
『味通信』の噂をクラス内で知り、味覚の願い事を叶えて欲しいとサイトを検索している。
今も好きなピザを頬張りながらパソコンのキーを叩き、願い事を復唱していた。
「全ての物がオレ好みの味になりますように。
全ての物が……ん、有った‼
マジで有ったよ、『味通信』」
『味通信』へようこそ。
雷のチーズまみれの唇が、サイトに書かれてある文を読み上げていく。
「当サイトでは、味に関するあらゆる願い事を聞き入れます。
叶えて欲しいと思う願い事と御名前をサイトに書き込んで、『味通信』まで送信して下さい」
雷の指が、高速で願い事と名前を打ち込んだ。
「これで、オレの胃袋は満たされるぜ‼」
『全ての物がオレ好みの味になりますように。
大紅雷』
願い事と名前を書き込み、送信した。
『願い事、聞き届けたり
あなたの『願い味』の質、『味変換』
この世に有る全ての物があなたの好きな味に変換されます』
(マジ?)
『味通信』と契約を交わした瞬間、雷の中に味への自信が湧いてきた。
部屋に有る伝言板に附属されているチョークが、雷の食欲を誘う。
(あのチョーク、ラムネみたいで美味そう……)
もう、彼は人間ではなくなっていた。
裏のサイトをイメージしました