叔母が本物の霊能力者と文化祭で証明される!?
うちのクラスの文化祭の出し物は、叔母の力を使ったおみくじになった。
霊能力者の私の叔母にコピー用紙をお祓いしてもらい、それでおみくじを作るのだ。
「食べ過ぎない」「宿題をちゃんとやる」「別れた方がいい」「西に注意」など叔母が五十近く選んだ言葉をそのコピー用紙に印刷し、それをみんなで四角く切りおみくじにするのだ。一枚百円。
私は反対したのだが多数決で決まってしまった。
土日二日間の文化祭が始まると結構お客が来た。女子が友達同士で来ておみくじを引いて見せ合いキャッキャ騒いでいる。
生徒だけではなく保護者も来ている。子どものクラスの出し物だからおみくじを引いてくれるのだろう。私のせいではないのだが申し訳なく感じる。
土曜日が終了する。予想よりお客が来たので、数人で叔母のお祓い済みの紙を持って近くのコンビニで追加のおみくじを作った。
翌日も大賑わいだった。午後になるともうおみくじが少なくなってきた。
「ロッカーにあるコピー用紙を持って近くのコンビニでコピーしてくる。戻ったらすぐ切るよう準備して待ってて」
私はそう言うと一人で走ってコンビニへ向かった。クラスの連携でおみくじがなくなりお客を待たせるという事態は避けられた。終了した時にはおみくじが十数枚しか残らないという盛況さだった。
翌日は文化祭の片付けだった。私が教室へ入るとクラスメイトが寄ってきた。
「ありがとう。おばあちゃんが助かったの」
「おばあちゃんが助かった?」
「そう。昨日、文化祭に来た私のおばあちゃん。晩御飯食べた後におばあちゃん頭が痛くなったの。でも最近そういうのがあっても少し休めば良くなってたんだって。昨日も気にしなかったんだけど、おみくじが『病院へ行こうだった』から念のため救急病院行ったらお医者様に言われたの。『治療しなければ危なかった』って。ありがとう、叔母さんのおみくじのおかげでおばあちゃん助かったの」
周りからは「すげー」とか「本物だ」とか声が聞こえる。
「おばあちゃん助かって良かったね。でも助かったのは叔母さんのおかげじゃなくて、おみくじを信じたおばあちゃんが自分を助けたんだよ。叔母さんよく言ってるよ。依頼人が信じて行動してくれないとどうしようもないって」
私はそんなことを言いながら絶対に秘密にしなければいけないと思った。
私が一人でコンビニに行った時には叔母さんのお祓い紙はもうなくて、コンビニのコピー機に入っていた紙なのだから。