勝手にイケメン品評会
昼どき11時頃、とあるデパートのフードコートで某アイスクリーム屋から買ったダブルカップのアイスを頬張る2人。ただ遊びに来ただけの客を装いイケメンを探すのが2人の日常である。
その目つきは鋭く、獲物をみつけようと集中力MAX状態になっているの鷹のようだ。
その時、全身を真っ黒コーデで攻め目元にブルーのカラーサングラスをのせたイケメンが!
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にいざき「ア、ア、見つけたぞ、本日6人目のイケメン・・・。今日は確率が高いな、こんな短時間で遭遇するとは思わなかった。そのブルーレンズ奥の瞳で私の心臓を射抜けェェェい!」
こいずみ「まてまて早まるな。感じろ、あの“出会った女はもれなく全員キズモノにします”オーラを。全身黒コーデはそれなりに自分をイケメンだと思ってないとできないハズなのにヤツは堂々と歩いていやがる。おそらくその顔面を使っていろんな女を味見するタイプだ。私の好みではナイ。」
にいざき「ハッ!あぶねーぜ、ハート持っていかれるところだった。それならさっき3人目に見つけたワンコ系イケメンのほうが断然よいな。隣にいた彼女にワンコ通り越して赤ん坊みたいなバブ語で甘えてるの見てて切なくなったけど・・・。
あれはな~仮に世間様が許してもオデが許さね~~~。顔と性格どっちも好みの男ってこんなにもいないもんかねえ。」
こいずみ「理想100%の男なんてそうそう居ないわな。ちなみに偏見だけどあの黒男きっと女に対して「ねえちょっとさ、お金かしてくんない? ダイジョーブ倍にして返すから」とか「ねえねえ 〇〇ちゃ〜ん!オレあのピアスめっちゃ欲しいんだけど!〇〇ちゃんボーナス入ったんでしょ? たまにはオレへの感謝を形で表してくれても良くない?」とか言うと思う。」
にいざき「ヒィン・・・ヤツは脈ナシ確定だ・・・。 彼女になった女あわれなり。いやでも逆に、ギャップ萌え男かもしれない。「アレ、〇〇ちゃんもしかして疲れちゃった?ごめんね、俺気づかなくて。近くのカフェ入ってちょっと休も?パンケーキはんぶんこしようよ!」とか言う系男子かもしれない。」
こいずみ「あちゃ~その可能性は考えてなかったな。世の中まだ捨てたもんじゃないってか。ヘヘッ」
クソみたいな話に勤しんでいると、目の前を通った女性が今にも溶けそうな3段コーンアイスを 倒さんとしているではないか!
上手くバランスを取り席まで持ってゆこうとしているがその足は黒男の方へ向かってしまい・・・
にいざき「おいこっちがクソみたいな話してる間にあそこの女の子黒男めがけてアイス倒したぞ?!もしこいずみの想像の通りだったらあの子難癖つけられて怖い目にあうわ!」
こいずみ「このまま見てれば黒男の性格答え合わせできるとか密かに思ったけどそこまで人間落ちぶれちゃいねえ! 待ってろ今助けてやるからな!」
女性を助けようと勢いよく立ち上がる2人。
が、ここで予想外のことが起きた。
黒男「わ!あの、大丈夫ですか?」
こいずみ&にいざき「「ンっ?」」
黒男「すごくレベル高いアイス頼まれたんですね。咄嗟の事だったからよけられなくてすみません。でもお怪我がなさそうで良かったです。」
女性「わ、私こそお洋服汚してしまってすみません!美味しそうなアイスクリームがたくさんあったのでつい食い意地が張ってしまって・・・。 そんなことより、お洋服弁償させてください。 黒い生地だから1段目のバニラアイスが目立って目立ってもうどうしようもなくなっちゃってます!」
黒男「これくらい拭けばすぐに落ちますから大丈夫ですよ。僕の服よりアイスです。せっかくの楽しみを台無しにしてしまってごめんなさい。 良ければ新しいものを奢らせてくれませんか? もし嫌じゃなかったら2つずつ注文してシェアするのはどうでしょう。4つになるので1種類多く フレーバー選べますよ。」
女性「じゃ、じゃあ私がアイスを奢ります! 一緒にアイス食べたいですしお兄さんの事もっと良く知りたいしお話したいし何だかすごくかっこよくて、あれ、あ、あの…。何でもないです! ほんとご迷惑じゃなければ…。」
黒男「ふふ、嬉しいです、ありがとうございます。ではお姉さんのおすすめのアイス、お願いしても良いですか?僕その間にトイレで拭いてきますので。楽しみにしてます。」
女性「は、はい!特に美味しそうなものをチョイスして待ってます!ごゆっくりどうぞ!」
黒男「はーい。では、またあとで!」
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にいざき「…なんかさ、アイスのご縁でこんなに素敵な出会いがあるのに我々ときたらさ…」
こいずみ「何も言うな。これは神のおぼしめしだよ、あの2人は運命で必然的に出会ったんだ。 服装で勝手に人間判断しているようなヤツにアイスのご縁はないんだ。神よ教えてくれてありがとう。」
にいざき「(想像した性格が当たってた方に1万円賭けときゃよかったな)」
昼どき11時半、新しい恋に出会った男女を祝福しつつ、もし自分が声をかけていたら・・・なんて後悔する2人。
いつか理想の王子様が訪れる日は来るのだろうか。偏見物語はまだ始まったばかり。