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TS魔術師幼女さんの旅日記  作者: 鶏の鷲掴み
第一章 学院での生活
5/11

5話 金の威力を知る

ふかふかのベット…

教員から寮の鍵を貰い、自分が今後住む寮に案内された。

うん、家だよねこれ、、

寮ってなんだっけ?


寮の説明を受けると、どうやら主席のみ、このような一軒家式の寮があてがわれると言う。

主席専用寮というやつで、

初等部一年〜六年

中等部一年〜三年

高等部一年〜三年、、

計十ニの専用の主席寮がある。


服を脱ぎ、魔術で体を洗浄しながら部屋の確認をすると、

広くて豪華なリビング、大理石?で作られた滑らかなキッチン。

本がケースに沢山並べられてある書斎室に、色々な道具がしまわれてある作業室。

ふかふかのベットが置かれてある寝室。

しかも魔導水洗式トイレにお風呂場!


なんて完璧な布陣なのだろうか、

やっぱ主席になってよかった…


今までの生活は、

うん。ノミみたいな生活だったな…


ゴツゴツした岩の上に寝たり、

湿った土の上に草を敷き詰めて丸まって寝たり、

当然雨風は凌げないし、病原菌とかで下痢やら熱やら、もう大変だった。


理不尽なことに自分が寝ている時、腹を思いっきり蹴飛ばされて以来、少しの物音でも目覚めるようになってしまった。

まったくの不本意だが、

やはりそういう環境に置かれると否が応でも順応しないといけない。


そういえば関係ないことだけどふと思ったが、自分はTS要素をいかせていない気がする。

唐突だが…

物語にあるTSモノの主人公はめちゃくちゃ女子力が高くて顔も女顔だった男の子がTSしたり、

逆に本当に男らしい男の子がTSしてギャップ萌というやつを引き起こしたり、


自分にはどちらも当てはまらないなあと思う。

関係ないことだけど、、


TS要素、、うーん、

自分は羞恥心が無いところだろうか?

ボロ服一枚のみで生活してきたし、汚れれば川へ遠出して洗い、乾かす時はずっと裸だ。


寝る前も殆ど服を着ない。

汚れるから。

その名残で現に今も裸だし、見られても…うん、そんな問題ないな。


今日は一日中休みだし、たっぷり寝ようと思う。

ベットにダイブすると、ボフッと耳障りのいい音が鳴る。

人間らしい生活を苦節七年余り、ようやく取り戻せた気がする。


「はぁ、幸せ…」


きっと運命操作が効いたのだろう。

幸せになるなんて曖昧な願いだが、こういう形で叶って良かった。


そんな時、、


「エルちゃんってここに住んでるの?寮って大きいんだねー。」

「違いますわ!寮は普通ここまで大きくは無いんですの。主席のみ住まうことが許される寮ですの。」

「そうなんだ。」


自分がこの世に生を受けて培われた地獄耳が、声をキャッチする。

もう少しで寝られたのに…


カランカラン、


寮のベルが鳴る。

流石に出ないとダメだな。

とりあえず毛布を畳み玄関に赴く。


「はーい、」

「エルちゃんこんばん…わ?」

「エルお姉様、ハレンチですわ!」


んー、

そういえば何も着てなかったな。


「え、エルちゃん、それって聖痕?」


フィアは手で顔を覆い隠してそう言った。

うん、指と指の隙間でしっかりとコチラを凝視しているよね。カナリアに至ってはガン見である。


「そうだよ。」

「そ、それは…美の女神、ミラウ様の聖痕!?全てのレディが欲しがる聖痕ですわ!」


全てのレディが欲しがるのか…

そういえば、身体中にあったアザとかシミがすっかりと消えて、肌にツヤとハリができた気がする。

まだ聖痕を付けられて一日しか経っていないのにもうこんなことになってるのかと驚いた。


まあ確かにこれは欲しがるか…

こんな健康体になるのならば。


「まあ上がってって。」


玄関でずっと立たせるわけにもいかないし、リビングに二人を招き入れる。


それからハンガーに掛かっている着物もとい和服をそのまま着る。


「え!?下に何も着ないんですの?」


和服の下って普通何も着ないよね。

エルさんは間違った知識を複数持っていることがある。


「うん。そもそも下着持ってないし、」

「こんなことしていられませんわ!エルお姉様はとても可愛らしいから飢えた獣に食べられてしまいますの!」


多分、この子はそのまま解釈しているんだなあと思う。

親とかにそう言われて純粋にそのままの意味で受け取ったのだろう。


「さあ行きますわよ!」

「エルちゃん行こ!」

「え?どこに?」

「「王都ですわ!」」


ちょ、引っ張んないで…

体格的にも全く対抗できないため連れ去られていく。

せめて鍵を掛けさせて。


そんなこんなで校門を抜けて王都の中心部に来ている。

もちろん寮の管理人にお出かけ申請はした。


「エルちゃんが履いてる靴?変な形だねー。」

「ああこれ?」


栗に木で作った下駄だ。

魔術を習得した際風の刃で加工して角を丸くするため研磨をし、作成したものだ。

栗の木だからとても丈夫で硬く、腐りにくい。

なぜこの世界に栗があるのかは知らない。


「これは下駄って言って、自分で作ったもの。」

「へぇー!」


フィアは興味津々そうに返事をした。


「で、自分は今どこへ向かってるの?」

「ランジェリーショップですわ!王都でもとても有名なところで…」


滝のように止まらない説明の数々。

あの、そろそろ話を…

めちゃくちゃ早口なだなおい。

説明が終わった頃には、それらしきお店の目の前に立っていた。


「あの、お金ないよ?」


なんかすごい惨めなセリフだなって思う。

こんな小さい子にする話じゃ無いだろう。

え?自分の方が小さい?

うるさい!


「お金なら私が出しますわ!連れてきたのは私ですもの。」


なんて可愛い子なのだろう。

初対面の時に感じたことが今になってはすっかり消え去っていた。


「いらっしゃいませー。あらこれは可愛らしいお嬢様方。本日はなんの入り用で?」

「エルお姉様の下着を探してるの。」

「ではご案内しますね。」


すごい、目に毒である。

いや、本当に可愛いものばかりなんだけどさ、

前世が男だったのもあるけど、値段が…さ、


「一十百千万…」


下着ってこんな高いものなの?

見ちゃいけない値段になってるんだけど。


貴族ってお金持ちなんだなあ、

貴族だからお金持ちなんだろうけど。

庶民よりも下のスラム街孤児貧民の自分には全くわからない感覚だ。


「エルお姉様!これエルお姉様に似合うと思いますわ!」

「わー、可愛いねぇ!」


ピンクと白を基調にし、フリルやレースが付いた可愛らしいパンツとブラジャーである。

値段が全く可愛くねーことを除けば…


お金の価値はおじさんに教わっている。

鉄貨が1ディル

銅貨が10ディル

銀貨が100ディル

金貨が1,000ディル


ただ、この世界の100ディルはとても高く、パンが1000個近く買える。

物価がとても安いのだ。


だから実際の日本円に例えれば、


鉄貨が100円。

銅貨が10,000円

銀貨が100,000円

金貨が1,000,000円


だから…この下着セットは600ディル。銀貨6枚分、60万円…


余談だが、この通貨ディル世界で最も普及し、発行しているのは世界魔術師協会、世界銀行だ。


「では試着室に行きましょう。」


そして店員と共に半ば強制的に連れていかれる。

そして着物の紐を解き、全裸になった。


「あ、あの…下着は?」


店員はすこぶる困惑していた。


「エルちゃんいつもノーブラノーパンなんだって…」


遠い目をしたフィア。

無言のカナリア。

あの、そんな目で見ないでください…いくら羞恥心が無いとはいえキツイです。


とりあえず下着をつける。

このブラってどうやってつけるんだ?


「後ろのホックをひっかけますの。私がやって差し上げますわ。」


カナリアって、甲斐性があっていいお嫁さんになりそうだなあと素直に思った。


「とってもお似合いです!」

「エルちゃん可愛い!」

「とっても素敵ですわエルお姉様!」


可愛いは可愛い。

いや本当に可愛いんだけれども…

本当に値段が可愛く無い。

だが目の前に店員がいるためそんなことは言えないし悟らせない。


心境としては素直に喜ばなかった。

七歳の女の子に六十万円もする下着をプレゼントされた自分の心境を答えなさい。





えー、なになに?


だろ?

苦笑いしか浮かばねえよ…



「他にもたくさん下着を買いますわ!」

「え?」


ん、聞き間違いかな?


「えっと、だれの?」

「もちろんエルお姉様のですわ!」


あ、はい…

少女に金銭力でフルボッコに敗北した瞬間だった。

おかねもちってしゅごい…


結局下着セットを四着、何故か黒と紫のドレスや白と水色のワンピース、白のポーチとモダンな茶色の鞄も購入していて、全て自分のために購入してくれたらしい。


カナリアを見るとすっごい笑顔になってる。

引き攣った笑を悟られないように口角を強引に吊り上げてニコッと笑う。


「わーうれしいな。」


棒読みである。


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[良い点] お金の力でフルボッコにされるエルちゃんかわいい
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