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パットミトラッシュ  作者: 青野ハマナツ
シュガーダディ
18/33

18th デパートエスケープ

 完全体銀河さんは、すぐ近くのデパートの中に入っていった。そして、ちょうどやって来ていたエレベーターに乗ってしまった。


「あー!ど、どうしましょう!」


 夏来が落胆する。エレベーターに乗られてしまったら、どの階に行ったのかが分からない。オレたちは慎重に止まった階を確認する。婦人服売り場の四階、高級時計が売られている五階、レストランフロアの七階。この三つに止まり、それから上に上がることは無かった。


「四つ以上止まらなかったのは助かりましたね」


「とはいえ、どこに行ったのかな……」


「じゃあ、オレは七階行ってみます」


「じゃあ私は四階に!」


「ということは俺は五階か」


 オレたちはエレベーターに乗り、それぞれ四、五、七の数字を押した。そして、四階では夏来が、五階では相言さんが、七階ではオレが降りた。


 さて、まずは混雑の状況から確認していこう。今日はなにか特別なことがある訳でもない平日。しかし、やはり有名な百貨店。ブランド系の店だろうが少し列が出来てしまっている。もしこの階にいるとすれば、店の前にある全ての列を探してみればどこかにいると予想できる。さあ、探してみよう。


 一軒目、いない。二軒目、いない。三軒目、いない……四軒目――


 ということで、十三軒全て回ったが、七階にはいなかった。しかし、まだ十八時。ブランド品を買ってもらっている最中かもしれないので、夏来や相言さんのいる下の階にでも行ってみるか。


◇ ◇ ◇


 オレは何となく夏来のいる四階までやってきた。さて、夏来は何をしているのだろうか。


「うわぁーっ!!これ高いですねー!!ブランド品、ちょっとだけ憧れます!!」


 夏来は独り言をつぶやきながら値札を見る作業をしている。おいおい、銀河さんを探すのはどうした。


「おい、夏来?結局見つかったのか?」


「見つかっておりません!」


 なんじゃそりゃ。見つかってないんかい。なら探さないとダメだろ。


「じゃあ五階に行こうか」


「その前に相言さんへの連絡をせねば!」


「そうだな」


 オレと夏来はスマホを開き、なんとか相言さんに向けてメッセージを発信する。


『見つかりましたか?』


『いや、見つかってないかな』


 相言さんも見つけられてないのか。銀河さんはよほど神出鬼没な人なんだろうか。そんなふうに思っていると、相言さんからまたメッセージが飛ぶ。


『あ、見つかった』


 マジか!朗報だ。オレたちは急いで五階に行くための階段に向かった。


 五階に着くと、あまりに多種多様なお店が立ち並んでいた。時計屋はもちろんのこと、おもちゃ屋さんやスポーツ用品店……とにかくいろいろだ。


 オレたちはどこで待ち合わせをするかを合わせるためにもう一度メッセージを送った。


『どこで待ち合わせます?』


『そうだな、上りのエスカレーターの前で集まろうか』


『そうしましょうか』


 そうやって集合場所を決めると、先に着いたとか着いてないだとかの確認が始まる。


『もうすぐ着く』


 と相言さんが送った。すると、程なくして次のメッセージが送られてくる。


『あ、やばい。みつ』


 ――みつ……なんだろうか。オレたちは急いで何が起こっているのかを確認しに行く。すると、そこには銀河さんに拘束された相言さんがいるではないか!?どういうことだ!?


「捕まっちゃった」


 相言さんが「てへっ」と言わんばかりにあざとく言った。需要がないからやめて欲しい。オレたちの姿を見た銀河さんは、少し怒ったような素振りを見せた。


「ソーゴ、バレバレすぎ。もうちょっと上手くやらなきゃ……」


 銀河さんがそう言うのを見越していたかのように、相言さんが瞬間的に銀河さんの拘束を振り払う。


「逃げるよ!」


 相言さんがオレたちに向かって叫んだ。オレは相言さんのペースに合わせているが、夏来がものすごく疲れた表情で遅れていく。そして、銀河さんに「つーかまえた!」と言われながら拘束されてしまった!


 なにしてるんだ!!


「はーい、この子解放して欲しかったら帰ってこーい」


 オレたちは人質を取られ、仕方なく銀河さんのいる方へ戻ってみる。そして、銀河さんは戻ってきたオレの顔をまじまじと見る。


「キミ、どっかで見たことあるよね――あ、しふれんが紹介してくれた子じゃん」


 やばい、バレた。いや、別にバレたからどうとかではないが、何となく嫌な感じがする。


「じゃあ、とりあえずなんで君たちがこんなことやってるのか聞かせてもらおうかな」


 銀河さんの質問に、相言さんが回答を始めた。


「はっきり言って、パパ活の証拠集めだよ。こんなにおめかししてたら、男と会うんじゃないかって思うだろ」


 相言さんの答えに、銀河さんは「はぁ」とため息をついた。


「いやいや。ウチは今日パーティ用のボードゲームを買いに来ただけ。オシャレしてんのはデパート行っても恥ずかしくないような格好をしてるってだけ」


 ――よく考えてみたら、ここ五階は時計だけではなく、おもちゃも売っている。ボードゲームを買いに来たということも筋が通っている。


「まあ、これに懲りたら尾行とかしない!いいね!!」


 銀河さんはそう言って夏来を解放した。


 そんなこんなで、オレたちと銀河さんは別れを告げたのであった。


 それから、今日の反省点を三人で話し合う。


「いや、バレバレだったのが良くないですよね。いくらなんでも」


オレがそう指摘すると、夏来がピンと来たように回答を始めた。


「バレバレだったのなら、次はバレないようにすればいいのでは?」


 どういうことだろうか。バレないようにする……いまいちピンと来ない。オレが不思議がっていると、夏来がさらなる提案をした。


「まずは銀河さんに名前をあまり知られていない人に尾行させるべきですね」


尾行するなと言われてはいるが、やはり証拠集めには本人の行動を確認するのが一番だ。


「一週間開けて再挑戦すべきです。数日経てば、私たちのことを忘れてパパ活をするようになるのでは?」


 夏来がキメ顔で言う。いや、お前捕まってたじゃん。お前のせいでこっちは色々めんどくさい事になってるんだよ。と突っ込みたくなったが、オレはこの気持ちを心の中にしまうのだった。

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