その92・パトカーの中にて
俺は一人の警察官だ。
毎日、警察署勤務で忙しい毎日を行っているが、一番楽が出来ると言っても過言ではないのが、パトカーに乗っての巡回だ。
常に悪党退治のために日々、見回りを強化しなければらないのだが、俺は日々のストレスというものと戦っているため、この時間が俺にとっては急速以外何物でもないのだ。
周りから見れば税金泥棒と言われるのだが、毎日〈正義の味方〉としていられることもできない。
毎日、どこかしらに悪党がいるわけではないため、ただこの車両を使って、ドライブをしているだけなのだ。
今日も後輩である男性巡査と共に巡回を続けている。
後輩が運転をし、俺は窓を眺めながらもパトカーを動かしている。
「先輩。今日は収穫ありますかね」
「そんなゴロゴロと悪人がいるわけないだろ。ここは治安が良すぎて、俺たちの仕事がなさすぎるだけ。こりゃまた税金泥棒って言われるさ」
「そうですよね」
税金泥棒と言われるのも正直慣れてしまった。
最初の頃はイラついていたが、次第にしょうもない者たちだと自分の中に言い聞かせており、今では何を言われても動じない、まるでロボットのような感情になってしまった。
これが良いことなのかどうなのか分からないが・・・
すると後輩が
「酒あります?」
「は?」
「酒飲みたいんですよ」
「ダメに決まってるだろ」
何を言いだすんだこいつは。
確かに後輩はかなりの仕事量をこなして、努力家だなと思っていたが、まさかの一言に、遂にストレスで爆発したかと思った。
俺も正直、飲みたい気持ちもあるが、今は勤務中だ。
これがばれてしまえば、減俸じゃ済まないことになる。
俺は飲みたい気持ちを押し殺してから
「今はダメだ」
「丁度、コンビニで無料券貰いましてね」
「無料券?」
「はい。ストロング南極ビールですよ」
「嘘だろ!?」
ストロング南極ビールは、ビール界隈の中でもかなり高級類に入っている物であり、入手するのはお小遣い制の男たちは、かなり困難な値段もする、高級品だ。
俺は目を煌めかせてから
「でも、これバレたら大変なことになるぞ」
「大丈夫ですよ。今は俺が飲みますから。先輩は運転して帰ってくださいね」
「いや、俺が飲む」
「は!?」
「お前にはまだ早い。俺が飲んでから帰る」
「ふざけないでくださいよ。俺が飲みますからね」
「お前、刑事になって何年目だ?」
「またマウントですか?」
「違う。俺が当然歴は長いから、そこは譲れ」
するといきなり道路をUターンしてから
「どうした」
「帰ります。もう許せない。これ課長に報告しますからね」
「はぁ!?お前が言い出したことだろ!」
「そんなこと言いましたっけ」
とぼけた顔をした後輩。
目は完全に怒っている。
これはどうしたらいいのだろうか。
俺は戸惑いながらも、安定した警察生活に別れを告げる準備をするのだった。
~終~




