その83・総理、お答えください!
俺は今、予算委員会の場で腹を立てている。
野党第一党の幹事長である俺は、総理を目の前にして質問をしている。
この短期間で既にこの舞台に立つのは三回目だ。
俺は一貫して、総理の汚職事件に関して質問をしている。
だが、いつも総理は全く答弁席に立とうとはしない。
既に俺は我慢の限界が来たため、今日こそはけじめ・決着をつけなければならないのだ。
自分が所属している野党第一党・党首でさえ、頭の血管を切るのではないかと心配するほど怒りを表している。
だが、国の最高責任者でもあり、尚且つ国の第二の象徴でもある総理が黒い疑惑を持っており、それも一切時を経て流そうとしているのだ。
これはいくら何でも軽視しすぎている。
俺は予算委員会の場で語尾を強めながらも
「総理、あなたが献金をしてきた会社社長の秘書が、この会社は元々暴力団からのバックアップを受けていると、週刊誌のインタビューで話しているわけです。これに関して何か反論等ありますか?」
しかし、答弁席に立ったのは官房長官である。
「えぇ、それは週刊誌のインタビューであることは確かです。しかし、総理や我が党を含めて、その会社自体に接触をした記録も記憶もございません」
「あのね、官房長官が出てきても仕方がないんですよ。他にも色々と証拠が出てきているんですよ。資料にもあります通り、総理が秘書に現金を送り、それが暴力団に流れていることも明らかになっております。これどう説明するのですか?」
しかし、出てきたのは全く関係のない外務大臣だ。
「えぇ、それに関しましては一切記憶にございません」
周りからヤジが飛び出る。
まず外務大臣は全くの無関係なのだ。
誰が「行け」と命令したのか知らないが、これは国会を軽視している。
俺は語尾を強めてから
「外務大臣は無関係じゃないですか。総理!総理に聞いてます!お答えてください」
次は何故か別件で招待をした電力会社社長が出て来た。
「えぇお答えいたします。昨今の電力不足はとても深刻さを増しています。それに関しましては電力会社一同、協力体制に入りながら事態収束に向けて取り組む所存でございます」
俺はつい
「何を言ってるんですか?」
これは話をすり替えられたのだ。
いや、これをすり替えと言うのだろうか。
総理は目を瞑ったまま、何も動かない。
寝ているのだろうか。
「総理!お答えください。委員長も総理に御指名を」
するとやっと委員長は総理を指名した。
総理は立ち上がり、マイクに近づき、やっと喋り出そうとした。
だが・・・
「すいません、聞いてませんでした」
即内閣不信任案を出そう。
そう決めたのだった。
~終~




