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その81・政治家、母校へ帰る

今、俺は母校の小学校の前でじっと立っている。


衆議院議員であり、元外務大臣を担当した政治家なのだが、当選してからあまり自分の地元には足を運んでおらず、母校に関しては卒業以来顔を出していない。


政治家としては、外交に追われて、戦後最悪と言われた外交安全保障を防衛大臣と共に対処して来た。


だが、それも限界が来たため、内閣改造と共に外務大臣を退任したのだ。


無役になった俺としては、今が地元に帰るチャンスだ。


そのため、飛行機を利用しつつ、SPなど配置せずに地元に降り立ったのだ。


だが、やはり政権としては政治とカネや不祥事などが多発し、政権与党に向けられる目は厳しい。


俺も外務大臣として必死に職務を邁進したつもりだったが、対日関係となっている某国に対して、様々な困難や対応などに追われていたため、「一国外交」と言われたこともあり、世間としては評価は低かった。


当たり前かと感じながらも、地元に帰省し、母校をただじっと見つめていると


「あれ、これはこれは大臣さんではないか」


よく見ると、そこには当時俺の担任をしていた〈遠藤先生〉が姿を現した。


こちらに近づいてくる遠藤先生に、俺は微笑みながらも


「先生、お久しぶりです」


「元気だったか?」


「はい。もちろん」


先生は俺に握手を求めてきたため、もちろん手を差し伸べた。


現在は校長先生をしていると、風の噂で聞いていたため、尋ねてみると


「そうだ。もう二期目にはいるけどな」


そう言って笑い始めた。


先生はかなり厳しく、鬼と呼ばれていた時期もあったため、その頃からは全く想像もつかないほど、丸そうな表情になっている。


「大臣、今日は何の用だ」


「その大臣って呼び方やめてくださいよ。もう退任した身ですから」


「そうか。でもな、最近ニュースで見たぞ、「一国外交」って」


「あぁ・・・」


「もっと視線を広げろ。世界はあの国だけじゃないからな。もっと対応しなければいけない国が色々とあるはずなのに」


「そうですよね」


やはり鬼には変わりなかった。


目が恐ろしいほど牙を向けている。


すると先生が表情を柔らかくしてから


「でも、大臣をやめたから、ゆっくりできるんじゃないか?」


「えぇ、もちろん」


「それだったら一つ良い言葉をあげよう」


「言葉ですか?」


「人の目と触れ合えなさい。この言葉だ」


「人の目と触れ合えなさい」


「そうだ。政治家になった以上、国民からの信頼が大切だ。それに地元を忘れないことが大切だ。地元には君の有権者が大勢いるからな。言っておくが君は一人じゃない。君を信頼した大勢の国民がいるのを忘れるな」


「分かりました」


その言葉に何故か心が揺れ動いた。


まさしくその通りであり、まるで先輩の政治家のような感覚を覚えた。


「まぁ、校長室に来なさい。ゆっくり話がしたいからさ」


「分かりました」


俺と先生はゆっくり、校長室で昔話に花を咲かせるのであった。


~終~

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