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50/91

その50・強盗と子供

俺の手元にはわずか二百円しかない。


金がないこの状況に悔しさを覚えながらも、とある一軒家の前に立っている。


本当はこんなことしたくはない。


人様の家に入り、金目になりそうなものを盗むという行為自体、人として失格なことなのだ。


だが、俺には多額の借金がある。


到底返せない金額であるため、このようなことをしなければ、俺のこの先がないのだ。


俺は勇気を振り絞って、庭に入り、窓を割ろうとした。


この家の下見は済んでおり、周り近所の状況も把握しているのだ。


家主である夫も妻も、共働きであり、昼になると誰もいなくなる。


俺は絶好のチャンスだと思い、窓ガラスを割ってから、部屋の中に侵入した。


恐らく、妻のへそくりや、通帳など金目になるものは多く揃っているだろう。


それも夫は証券マンをしているため、貯金も多くあるはずだ。


微笑みながらも、まずは二階を散策しようと、階段を上がろうとすると、そこにうずくまっている男の子の姿があった。


この家に子供がいるという情報はどこにもなかった。


俺は驚きながらもトンカチを出してから


「そこで何をしてるんだ」


男の子がゆっくりと顔を上げると、頬は紫色になっており、目には小さなこぶがあった。


これは完全に怪我をしている。


俺は逆に心配の感情が勝ってしまい、トンカチをすぐそばに置き、男の子に近づいた。


「どうしたんだ、その傷」


すると、男の子が声を振り絞ってから


「パパとママにされたの」


その一言で全てを理解した。


恐らくこの子は虐待を受けている。だから、息子の存在を消していたのか。


それにしても、俺は強盗という一人の人間として失格なことをしているが、子供を虐待するということは、到底許せないと思った。


だが、このまま通報しても俺はどのみち逮捕される。


すると男の子のお腹が鳴り始めた。


「お腹空いているのか?」


「うん、何も食べさせてくれないの」


「何日もか?」


「うん・・・」


まるで鬼畜の仕業だ。


確かに子供の頬はこけ始めている。


可哀想に・・・


そう思った俺は


「・・・分かった。ちょっとおいで」


俺は男の子を連れて、キッチンに向かう。


だが、キッチンはまるでポルターガイストが起きた後みたいに荒れ果てている。


これでは料理も作れない。


俺はゆっくりと考えてから、男の子の背の高さまでしゃがみこみ


「お兄さんと一緒に、お巡りさんのところに行こうか」


「どうして?」


俺は微笑みながらも


「美味しいご飯、食べさせてもらいに行くためだよ」


俺は子供の手を優しく引っ張りながらも、近くの交番に向かうことにした。


俺の人生より、この子の命が最優先だ。


~終~

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