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その42・生まれて来てくれてありがとう

僕は今、病院にいる。


もうすぐ初孫が生まれるのだ。


赤ん坊というのは、とても小さく、そして愛おしい。


僕も子供を授かった時に実感した。


「もうすぐおじいちゃんかぁ」


そう微笑みながらも呟くと、隣にいた妻から


「私はおばあちゃんですよ」


「そうだなぁ。なんか実感ないなぁ~」


「誰でも生まれる前は実感はないんですよ。生まれてきて初めて感じるものですから」


「そうだなぁ」


すると、妻が何かを思い出したかのように


「今日は、確かあなたの誕生日だったよね」


僕はすぐにスマホのロック画面を確認する。


確かに日付は僕の誕生日の日だ。


完全に忘れていた。


初孫が出来る喜びと幸せで、僕の誕生日がいつということすら記憶から消えていたのだ。


妻は申し訳なさそうに


「ごめんなさいね。お祝いの言葉言えなくて」


「大丈夫だよ。孫が生まれる方が優先だ」


だが、よくよく考えてみれば、祖父の誕生日に孫が誕生するという、奇跡のようなことが起きている。


僕は微笑みながらも


「これも神様からのいたずらかな」


「そうかもしれませんね」


「これからは、孫と一緒に祝ってもらえる日が来るのかぁ」


「いいじゃないですか」


「うん。なんだろう、なんか嬉しくてね」


僕は微笑みながらもそういった。


子供のときから誕生日の時には、誰もが祝ってくれた。


大人になってからも妻・子供たちと祝ってくれる人たちが常に傍に居てくれた。


それに加えて初孫も誕生し、それも一緒に周りから祝ってもらえる同志となる。


そんな状況に僕はとても喜びを感じていた。


すると妻が微笑みながらも


「それより、誕生日プレゼント何が良い?」


「もうそんな歳じゃないぞ」


「冗談よ」


妻は本当に冗談が好きな人である。


まぁ、そこに僕は惚れたんだが・・・


すると、扉の向こうから赤ん坊の泣き声が聞こえて来た。


妻はすぐに立ち上がり、扉の方を笑顔で向き始めた。


「あなた、生まれましたよ」


すると、看護師の方が近づいてきて


「元気な男の子です」


「男の子ですか」


僕はつい嬉しくなり、微笑みながらも涙がこぼれ落ちてしまった。


しばらくして、赤ん坊が目の前にやってきた。


目をつぶっているが、それだけでもとても愛おしく感じており、僕は笑みを浮かべながらも、じっと見つめていると


「あなた」


「どうした」


「生まれて来てくれてありがとう」


僕も赤ん坊の方を見つめてから


「生まれて来てくれてありがとう」


なんだかこの子が成長する姿が楽しみになってきている。


そんな祖父になりたての出来事でした。


~終~

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